労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  東京高裁平成28年(行コ)第215号
ゲオホールディングス不当労働行為救済命令取消請求控訴事件 
控訴人  株式会社X(「会社」) 
被控訴人  国(処分行政庁・中央労働委員会) 
被控訴人補助参加人  Zユニオン(「組合」) 
判決年月日  平成28年10月12日 
判決区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 子会社の大阪市内の店舗に勤務するA1が加入した組合は、親会社である会社に対し、A1の労働条件等について、大阪市内で団体交渉を行いたい旨を申し入れたが、団体交渉は開催されなかったため、組合が、会社の対応は団交拒否の不当労働行為に当たるとして救済申立てをした事件である。
2 初審大阪府労委は、会社の対応は団交拒否の不当労働行為に当たるとして、会社に対して団体交渉開催場所の協議が整うまでの間の大阪市内での団体交渉応諾及び文書手交を命じた。
3 会社は、これを不服として、中央労働委員会に再審査の申立てをしたが、中労委は、会社の再審査の申立てを棄却した。
4 会社は、これを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、会社の請求を棄却した。
5 会社は、これを不服として東京高裁に控訴したが、同高裁は、会社の控訴を棄却した。 
判決主文  1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は、補助参加により生じた費用を含め、控訴人の負担とする。  
判決の要旨  第3 当裁判所の判断
 当裁判所も、会社の請求は理由がないものと判断する。その理由は、次のとおり補正するほか、原判決「事実及び理由」中の第3の1から3まで記載のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決14頁9行目から10行目にかけての「A1」を「労働者」に改める。
2 原判決20頁17行目末尾の次に行を改めて次のとおり加える。
 「控訴人は、人事につき決裁権限を有するB1次長が本件本社を離れると業務に支障を生ずること、春日井市又は名古屋市で団体交渉を行う旨提案していたことを前提に、控訴人と補助参加人との間では団体交渉のルールについて協議中であったこと、開催場所等の団体交渉のルールは当事者の自治に委ねられており、安易に誠実義務違反を認めるべきでないこと、使用者に求められる誠実性は、組合の対応や交渉の経緯に鑑みて相関的に判断されるべきであること、控訴人担当者が交渉権限をB1次長以外の者に委任しないことを誠実義務違反の理由とすべきでないことからすれば、控訴人の対応は労組法7条2号の不当労働行為に当たらないと主張する。しかし、団体交渉開催場所を大阪市内とすることに合理性がある本件において、いくら交渉ルール(日時場所等)の協議中であったとはいえ、控訴人は、大阪市内を開催場所とする提案に応じない理由を十分具体的に説明せず、別の開催日設定や交渉権限の委任の模索もしないまま、参加人に対して開催場所を大阪市内の本件事務所とすべき法的根拠の説明という交渉実現に直結しない事項に時間を費やすなどしていたものである。原審において取り調べた証拠に加えて控訴人の当審における主張及び提出証拠を併せて検討しても、前記説示を総合すれば、控訴人は、団体交渉をすることを正当な理由なくして拒んだと言わざるを得ない。」  
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成25年(不)第4号 全部救済 平成26年1月27日
中労委平成26年(不再)第8号 棄却 平成27年1月28日
東京地裁平成27年(行ウ)第137号 棄却 平成28年4月25日
最高裁平成29年(行ツ)第35号・平成29年(行ヒ)第37号 上告棄却・上告不受理 平成29年3月2日
 
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