概要情報
事件名 |
大阪府労委平成24年(不)第77号 |
事件番号 |
大阪府労委平成24年(不)第77号 |
申立人 |
X労働組合 |
被申立人 |
Y府 |
命令年月日 |
平成25年12月20日 |
命令区分 |
一部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
申立人組合が、労組法及び地方公務員法がそれぞれ適用される組合員らの労働条件に関する団交を被申立人府に申し入れたところ、組合が交渉参加者名簿を事前に提出しないことを理由に団交を拒否されたとして、労組法が適用される組合員らの労働条件に関する団交について不当労働行為の救済を申し立てた事件である。
大阪府労委は、府の公立学校常勤講師に係る申立てを却下するとともに、府に対し、文書手交を命じた。 |
命令主文 |
1 地方公務員法第22条の規定により任用されたY府の公立学校常勤講師に係る申立てを却下する。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
記
年 月 日
X労働組合
執行委員長 C 様
Y府
知事 D
当府が、貴組合が平成23年10月31日付けで申し入れた団体交渉のうち、地方公務員法第3条第3項第3号で定める特別職のY府の公立学校非常勤講師である貴組合の組合員の労働条件に関する団体交渉について、貴組合に交渉出席者名簿の事前提出を求め、その提出がない限り団体交渉に応じないとする対応を行ったことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。 |
判断の要旨 |
1 申立人組合は申立人適格を有するかについて
申立人組合は混合組合(適用法規の異なる労働者で構成される労働団体)であるところ、混合組合は労組法の適用がある構成員にかかわる問題については労組法上の労働組合としての権利を行使することができ、同法7条各号の別を問わず、申立人適格を有するものと解すべきである。
そこで、本件申立てが労組法適用者の問題に関するものであるといえるかについて検討すると、組合は本件団交申入書によって、労組法適用者であり、かつ、登録職員団体に加入できない非常勤講師等にかかわる要求についても団交を申し入れていることが明らかであるから、本件団交申入書のうち、労組法適用組合員に関する部分に限り、組合は申立人適格を有すると解するのが相当である。
なお、地公法22条の規定により任用される臨時的任用職員については、同法58条において同法適用職員に対する労組法の適用除外を明確に定めている以上、当該職員に係る組合の申立人適格を認めることはできないのであるから、本件団交申入れのうち、地公法22条の規定により任用された職員に係る申立てについては却下する。
2 本件団交申入れに対する府の対応について
本件団交について府は、①府教育委員会(府教委)と組合とが従前、組合からの団交申入れに基づき行っていた交渉は、法的性格としても交渉経過の実情からみても労組法に基づく団交ではなく、地公法の規定に基づく地方公共団体の当局と職員団体との交渉と位置付けられるものである、②府教委が組合に対し、本件定期交渉に関する交渉参加者名簿の事前の提出を求めたことは、地公法及び府教育長通知(平成14年11月22日付け)に基づく正当な行為である、③定期交渉は、地公法に基づく交渉であることから、府教委は予備交渉の開催を呼びかけたものであるが、交渉参加者名簿の事前提出を求めたことを不服とした組合が予備交渉を拒否した結果、本交渉に入れなかったとしても府教委の行為は違法ではなく、不当労働行為には当たらない旨主張する。
しかし、上記①については、本件団交申入れに基づく交渉は労組法適用者の問題に関しては同法7条の保護を受けるべき団交であるとみるべきであるから、府の主張は採用できない。
上記②については、交渉参加者名簿の事前提出は労組法上、これを求める規定はなく、地公法上もこれを要請する直接の規定はない。府教育長通知に関しても、職務専念義務免除申請等の関係から事前提出が求められているとしても、交渉そのものとの関係における必要性から直接要請されているというものではない。したがって、府の主張は認めることができない。
上記③については、労組法には事前に交渉参加者の名簿を提出することを求める規定はないにもかかわらず、府教委が、平成21年度定期交渉までの取扱いを変更し、事前折衝の場において組合に対し、特別に交渉参加者名簿の事前提出を求めることに固執したといえ、このほか、本件団交を拒否するに当たり正当な理由があると認めるに足りる疎明はない。したがって、府の主張は採用できない。
以上のとおりであるから、本件団交申入れのうち、労組法適用者に関する事項に係る申入れについての府の対応は、正当な理由のない団交拒否に当たる。 |
掲載文献 |
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