概要情報
事件名 |
大阪府労委平成24年(不)第14号 |
事件番号 |
大阪府労委平成24年(不)第14号 |
申立人 |
X労働組合 |
被申立人 |
Y株式会社、Z市 |
命令年月日 |
平成25年8月20日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人市から委託を受けて市バスの運行管理業務を行っている被申立人会社は、平成23年8月、市から組合掲示板の設置のための施設使用の許可を得て、申立人組合に対し、4つの営業所の施設につき同年9月1日から24年3月31日までを対象期間として、組合掲示板の設置を認めた。本件は、①その後、市が会社に対し、上記の施設使用の許可を期間満了後更新しない旨通知したことを受け、会社が組合に対し、組合掲示板を期間満了の日までに撤去するよう一方的に通知したこと、②市が組合掲示板に関する施設使用を議題とする団交の申入れに応じないことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
大阪府労委は市に対する申立てを却下し、会社に対する申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人Z市に対する申立ては、却下する。
2 被申立人Y株式会社に対する申立ては、棄却する。 |
判断の要旨 |
1 被申立人市は本件において労組法上の使用者に当たるか否かについて
市が被申立人会社に対し、営業所の施設使用の許可を更新しないこととしたことによって、申立人組合の分会が組合掲示板の設置を継続できなくなったことは確かである。また、市が会社の100%の出資者であることや、会社の売上げの98%以上が市からの委託料であることなどから、市は会社に対して一定の影響を及ぼし得る地位にあるといえる。しかし、会社の業務面における市の関与は、交通局の責任によって行う市バス事業の遂行に必要な範囲にとどまり、労務管理についても、本件掲示板の設置の可否等も含め、会社が独立した主体として自らの責任で行っており、そのほか市が会社の従業員の労働条件等について支配、決定していた事実の疎明もないことから、市が、会社に雇用される労働者の基本的な労働条件等について、会社と部分的にでも同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあったとはいえない。
したがって、市は本件において、労組法上の使用者に当たるとはいえない。
2 会社が平成24年4月以降における組合掲示板設置のための施設使用を認めなかったことについて
組合は、本件掲示板が組合内の連絡手段等として不可欠のものである一方、会社は、掲示板を撤去する合理的な理由がないにもかかわらず、市からの通知を唯々諾々と受けて、組合に対する具体的な説明等を行うこともなく、その撤去を通知し、組合の許可願について市に申入れすらしなかったことは組合に対する支配介入である旨主張する。
しかし、市から本件施設使用許可の不更新が通知された段階で、会社が24年4月以降における組合掲示板設置のための施設使用を認めることは事実上できなくなったとみるべきであり、市からの通知を受けた後の会社の対応が組合の弱体化や組合活動に対する介入を企図したものとみることはできない。また、会社は、組合からの団交申入れに応じて団交を開催し、掲示板の撤去を求めるに至った事情を説明するなど、組合の理解を求める努力を一定程度行ったとみることができる。
したがって、本件施設使用を認めなかったことに係る会社の対応が労組法7条3号の不当労働行為に当たるということはできない。 |
掲載文献 |
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