概要情報
事件名 |
育良精機大阪工場外1社 |
事件番号 |
中労委平成24年(不再)第38号 |
再審査申立人 |
株式会社育良精機大阪工場(大阪工場社) |
再審査申立人 |
株式会社育良精機製作所(製作所社)上記と併せて(会社ら) |
再審査被申立人 |
なかまユニオン(組合) |
命令年月日 |
平成25年9月4日 |
命令区分 |
一部変更 |
重要度 |
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事件概要 |
1 本件は、大阪工場社が、X組合員に対し、大阪工場社の東大阪市内の工場(「本件工場」)のプレス板金担当の正社員に比して、22年特別一時金、同年夏季一時金及び同年年末一時(「本件一時金」)について、それぞれ低い額を支給したことが不当労働行為であり、製作所社も「使用者」としてこれを行ったとして、組合が両社を被申立人として、救済を申し立てた事件である。
2 初審大阪府労委は、会社らはX組合員に対し、本件一時金について、本件工場の製造グループに属するプレス板金を担当する従業員のうちZ1ら3名、Z2及びX組合員を除いた従業員の一時金平均額と既支給額との差額を支払うこと、文書手交を命じたところ、会社らはこれを不服として、再審査を申し立てた。 |
命令主文 |
1 被申立人株式会社育良精機製作所に係る救済申立てを棄却し、初審命令主文を変更する。
2 その余の本件再審査申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 製作所社は、X組合員の労組法上の使用者に当たるか。
大阪工場社と製作所社との間には、製作所社のY社長等が本件工場において、年間方針を発表したり、特別賞与を支給することにしたと発言したりするなど、業務運営に関し一定の関係がうかがえる事実が認められるものの、両社には資本関係がなく、兼務役員はいるものの、Y社長等は大阪工場社の役員でもなく、同人らの行為をもって製作所社が大阪工場社の経営に支配力を有していたことの証左とまではいえないことからすると、本件工場が製作所社の建材事業部の大阪工場という位置づけにあるということはいえない。なお、本件一時金の支給決定過程等をみても、製作所社が大阪工場社の従業員の基本的な労働条件について、具体的かつ直接的な影響力ないし支配力を有していたとみることはできない。したがって、製作所社は、大阪工場社の正社員であるX組合員に対する関係において、使用者の地位にあったということはいえないから、労組法7条の使用者には当たらない。
2 組合員に対する本件一時金の支給は、組合員であるが故の不利益取扱いに当たるか。
ア 本件工場のプレス板金担当正社員の中ではX組合員の本件一時金が最低額であって、他の6名の正社員との本件一時金の格差について合理的理由が存するか検討する。
イ (ア) 大阪工場社は、本件一時金の支給額は、業務の専門性や時間外労働による会社への貢献に即して、公正な査定方法にのっとって導き出されている旨主張する。しかしながら、大阪工場社は、査定に当たり、査定対象項目を列挙した特定の書面を使用しているとの事実や評価基準等に関して、組織的に共有するための内部規定を有するとの証拠もなく、一時金の支給につき、明確な査定基準に基づいて査定を行っていたと認めることはできない。
(イ) 大阪工場社は、X組合員の担当する鋼板の切断等の業務は専門性が低いゆえに低査定となったと主張するが、X組合員は、一定の資格を必要とする金型の交換や、フォークリフトの運転業務に従事しており、必ずしも専門性が低いとばかりもいえず、加えて、上記切断業務は、ほとんどの製品の製造工程で最初に行われ、この業務が滞ることにより、他の製造工程にも影響が生じる業務でもある。よって、X組合員が行っている業務が、本件一時金の大きな差をもたらすほどの低査定を正当化するに足るほど低いとの主張に合理性があるとは認められない。
ウ X組合員の時間外労働時間数は、他の6名よりも短いことが認められるが、時間外労働が少ないのは、製造工程で最初に行われる切断作業に従事し、切断された板金を大量にストックしておくことも可能な業務によるものであり、同組合員の責によるものではない。
エ 以上によれば、一時金の査定に当たってあらかじめ定められた一貫性のある合理的な査定方法を採っておらず、その運用も粗雑であり、X組合員の業務の専門性が低いことや時間外労働時間数が少ないことをもって、査定を低く評価していることに合理性を認めることはできない。
3 大阪工場社が組合からの10回に及ぶ団交申入れに応じなかった事実は、組合の存在を否認し、組合の団交申入れを黙殺していたものと評価でき、さらに、初審申立て後に行ったアンケートの実施は、組合及びX組合員に対する嫌悪を明白に示したものといえる。
4 大阪工場社がX組合員の本件一時金をプレス板金担当の正社員の中で最低額としたことには合理的な理由がなく、大阪工場社は組合及びX組合員の組合活動を嫌悪していたということができるから、X組合員の本件一時金をプレス板金担当の正社員の中で最低額としたことは、労組法第7条第1号の不当労働行為に該当する。
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掲載文献 |
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