労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成23年(不)第22-1号 
事件番号  大阪府労委平成23年(不)第22-1号 
申立人  X労働組合 
被申立人  株式会社Y、株式会社Z 
命令年月日  平成24年7月24日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   申立人組合は、組合員X2に対して支給された平成22年特別一時金、夏季一時金及び年末一時金の額が他の従業員と比べ低額であることは不当労働行為であるとして、大阪府労委に対し、同人の雇用主である株式会社Y及びその関連会社Z並びにこれら2社を構成員に含む企業グループAを被申立人として救済申立てを行った。この事件は、Y及びZを被申立人とする事件とAを被申立人とする事件とに分離され、そのうちの前者が本件である。
 大阪府労委は、Y及びZに対し、1 X2に対し、上記一時金についての従業員平均額と既支払額との差額を支払うこと、2 文書手交を命じた。  
命令主文  1 被申立人らは申立人組合員X2に対し、平成22年特別一時金、同年夏季一時金及び同年年末一時金について、それぞれ、下記により算出した額と既支払額との差額を支払わなければならない。
  被申立人株式会社Yの大阪府東大阪市内の工場の製造グループに属するプレス板金を担当する従業員のうち、Y3、Y4、Y5、Y6及びX2を除いた従業員の一時金平均額
2 被申立人らは、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
年 月 日
  なかまユニオン
   執行委員長 X1 様
株式会社Y
代表取締役 Y1
株式会社Z
代表取締役 Y2

  株式会社Y及び株式会社Zが、貴組合員X2氏に対し、平成22年特別一時金、同年夏季一時金及び同年年末一時金に関して、他の従業員に比して低い額を支給したことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。  
判断の要旨  1 被申立人会社Zが組合員X2の使用者に当たるかについて
 認定した事実によれば、Zの代表取締役Y2が被申立人会社Yの一時金額の決定に関与していることが窺われる一方、Yの総務・経理グループは同社の工場で勤務する従業員の賃金に関する業務を行っていない。
 その他の関連する事実も併せ考えると、Zは、Yの従業員の基本的な労働条件について、具体的かつ直接的な影響力ないし支配力を及ぼし得る地位にあるというのが相当であって、Yの従業員に関して、ZはYと併せて重畳的に労組法上の使用者の地位にあるものと判断される。
2 X2に対する本件一時金の支給が不利益取扱いに当たるかについて
 Y及びZは、本件一時金の支給額は業務内容や勤務実績に即して合理的かつ公正な査定方法に基づいて導き出されている旨主張する。しかし、各従業員の一時金の支給額は特定の計算式等は用いずに決定されている。また、査定の評価基準等に関する内部規定が存在しているとの疎明はない。そうすると、仮に査定制度があったとしても、透明性や客観性を有する一貫性を持った制度として運用していたとは認められず、各人の一時金額が公平で客観的な均一の基準に基づき決定されたかは疑わしく、額の決定に当たり恣意が入りやすい状態であったといわざるを得ない。
 Y及びZは、X2と同じくプレス板金を担当する3名の従業員を挙げ、単純作業を行う従業員の査定が高い専門性を要する作業を行う従業員に比べて低くなることは当然である旨主張する。しかし、X2の勤務ぶりは、上記3名の従業員には及ばないにしても、プレス板金担当者の中で最低ランクであったとまでいうことはできない。
 Y及びZは、査定において時間外労働の時間数をYの最優先事項への協力を客観的に示すものとして大きな評価要素としており、X2の時間外労働時間数は他の従業員に比べ相当に少ない旨主張する。しかし、X2の担当業務のうちレベラーを用いた切断作業は、切断された板金をストックしておくことも可能で、発注の集中等の事情に左右されにくい業務であるといえる。また、前述のとおり、Yでは一時金額を決定する際、特定の計算式等は用いられておらず、時間外労働時間数の多寡がどの程度一時金の額を左右しているかすら明らかではない。したがって、時間外労働時間数が少ないことを考慮しても、X2の一時金の額がプレス板金担当者の中で最低であることには疑問を感じざるを得ない。
 次に、労使関係について検討すると、本件の労使間にはそれぞれの前身というべきx労働組合とy株式会社の時代から、X2に対する不利益取扱いに関する件も含め労使紛争が存しており、繰り返し救済命令が発せられてきた。本件一時金が支払われた頃の労使関係についてみると、平成22年4月及び8月に組合がY等を被申立人として別件の不当労働行為救済申立てを行い、救済命令が発せられていることなどからみて、Y及びZの労働問題についての対応が従前と比較して改善されていたとはいえない。したがって、Y及びZは、本件一時金の支給時期において組合及び組合員に対する嫌悪が推認され得る状況であったというべきである。
 以上のとおりであるから、Y及びZがX2に対する本件一時金の額をプレス板金担当者の中で最低の額としたのは、同人の能力や勤務ぶりを公正・中立な立場から評価した結果とみることはできず、同人が組合員であることや組合活動を行ったことに影響された結果であるとみるのが相当である。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成24年(不再)第38号 一部変更 平成25年9月4日
東京地裁平成25年(行ウ)666号 棄却 平成27年1月15日
 
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