労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成23年(不)第42号  
事件番号  大阪府労委平成23年(不)第42号  
申立人  X労働組合  
被申立人  Y府  
命令年月日  平成25年1月21日  
命令区分  一部救済  
重要度   
事件概要   被申立人府が、労組法及び地方公務員法がそれぞれ適用される組合員らの労働条件に関する団交を、交渉参加者名簿を事前に提出しないことを理由に拒否したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は府に対し、文書手交を命じ、地方公務員法22条の規定により任用された職員である組合員に係る申立てを却下した。  
命令主文  1 申立人が被申立人に平成22年11月25日付けで申し入れた団体交渉に係る本件申立てのうち、地方公務員法第22条の規定により任用された職員である申立人の組合員に関する団体交渉に係る申立てを却下する。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
年 月 日
  X労働組合
   執行委員長 A 様
Y府
知事 B
   当府が、貴組合が平成22年11月25日付けで申し入れた団体交渉について、貴組合に交渉出席者名簿の事前提出を求め、その提出がない限り団体交渉に応じないとする対応を行ったことは、大阪府労働委員会において、非常勤講師・非常勤(若年)特別嘱託員・教育専門員・非常勤職員である貴組合の組合員の労働条件に関する交渉について、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。  
判断の要旨  1 申立人組合の申立人適格について
 適用法規の異なる労働者で構成される労働団体(混合組合)である組合(申立人組合をいう。)が労組法適用者の問題に関して不当労働行為救済申立てを行った場合、労組法7条各号の別によらず、申立人適格を認めるのが相当である。本件において組合は、労組法適用者であり、かつ、登録職員団体に加入することのできない非常勤講師等にかかわる要求についても団交を申し入れていることは明らかであるから、団交申入れのうち、労組法適用組合員に関する部分に限り、組合は申立人適格を有すると解するのが相当である。
 これに対して、地方公務員法22条の規定により任用される臨時的任用職員については、同法58条において、地公法適用職員に対する労組法の適用除外を明確に定めている以上、当該職員に係る組合の申立人適格を認めることはできないのであるから、同法22条の規定により任用された職員に係る申立てについては却下する。
2 団交申入れに対する対応について
 本件団交申入れに基づく交渉は、労組法適用者の問題に関しては、同法7条の保護を受けるべき団交であるとみるべきであるから、この交渉が地公法に基づく定期交渉であるとして不当労働行為の成否を一切問題にすることはできないとする府の主張は採用できない。
 また、交渉参加者名簿の事前提出は、地公法上これを要請する直接の規定はなく、府教育長通知についても、職務専念義務免除申請等の関係から事前提出が求められているとしても、交渉そのものとの関係における必要性から直接要請されているというものではない。労組法上からも事前提出を求める理由は見出し難い。したがって、当該事前提出がこれらの法規及び通知から要請される適正な交渉ルールであるとする府の主張は認めることができない。
 府は、組合が交渉参加者名簿の事前提出を求めたことを不服として予備交渉を拒否した結果、本交渉に入れなかったものであると主張する。しかし、本件団交が開催されなかったのは、府教育委員会が当該事前提出を求めること及び交渉ルールとして定着していた従前の取扱いを変更することについて、その理由又は必要性を折衝の場で十分に説明しないまま、また、組合と協議を行おうとすることもないまま、当該事前提出がないことを理由に、交渉を進めることを一方的に拒否した結果であるといわざるを得ない。
 以上のとおりであるから、本件団交申入れのうち労組法適用者に関する事項に係る申入れについての府の対応は、正当な理由のない団交拒否に当たる。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪地裁平成25年(行ク)第17号 却下 平成25年6月17日
大阪地裁平成25年(行ウ)第45号(第一事件)、同26年(行ウ)第8号(第二事件) 棄却 平成26年7月23日
平成26年(行コ)第148号 棄却 平成27年1月29日
 
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