労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る] [顛末情報]
概要情報
事件名  鈴蘭交通 
事件番号  北海道労委平成21年(不)第33号 
申立人  鈴蘭交通労働組合、全自交北海道地方連合会 
被申立人  鈴蘭交通株式会社 
命令年月日  平成23年7月22日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   被申立人会社が(1) グループ会社への営業車両10台の事業譲渡を理由に、申立人鈴蘭交通労働組合(以下「組合」という。)の副執行委員長ら組合員を含む34名の乗務員を雇い止めしたこと、(2) 上記雇止めにつき、いわゆる経営事項として団交の議題とならないことや組合の交渉員に適格性がないことを理由として団交に応じないこと、(3) 組合費等のチェックオフを廃止すると一方的に通告したり、組合の執行委員長の経歴に係る誹謗的な発言をしたり、過去の組合役員の不祥事などに係る発言をしたこと等は不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 北海道労委は、会社に対し(1) 組合の申し入れた組合員の雇止め等に関する団交への誠実応諾、(2) 組合に対する団交拒否、組合の執行委員長の経歴に係る誹謗的発言等による組合への支配介入の禁止、(3) 文書掲示を命じ、その余の申立てを棄却した。
命令主文  1 被申立人は、申立人鈴蘭交通労働組合が平成21年12月15日付け、同22年7月10日付け及び同23年2月9日付けの各書面で申し入れた同組合の組合員の雇止め等に関する団体交渉を拒否してはならず、その席上、必要な説明を行い、又は必要な資料を配布するなどして、誠実に応じなければならない。
2 被申立人は、申立人鈴蘭交通労働組合が申し入れた団体交渉を拒否したり、同組合の執行委員長の経歴に係る誹謗的な発言をしたり、組合内部の問題を殊更に取り上げて指摘したりするなどして、同組合の運営に支配介入してはならない。
3 被申立人は、次の内容の文書を縦1メートル、横1.5メートルの大きさの白紙にかい書で明瞭に記載し、被申立人事務所の正面玄関の見やすい場所に、本命令書写し交付の日から7日以内に掲示し、10日間掲示を継続しなければならない。

 当社が行った次の行為は、北海道労働委員会において、労働組合法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないようにします。

1 鈴蘭交通労働組合が平成21年12月15日付け、同22年7月10日付け及び同23年2月9日付けの各書面で申し入れた同組合の組合員の雇止め等に関する団体交渉を拒否したこと。
2 鈴蘭交通労働組合が申し入れた団体交渉を拒否したり、また、同組合の執行委員長の経歴に係る誹謗的な発言をしたり、組合内部の問題を殊更に取り上げて指摘したりするなどして、同組合の運営に支配介入したこと。

 平成  年  月  日(掲示する初日を記載すること)

 鈴蘭交通労働組合
 執行委員長 X1 様
 全自交北海道地方連合会
 執行委員長 Z1 様
鈴蘭交通株式会社
代表取締役 Y1


4 申立人のその余の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 申立人組合の副執行委員長ら組合員の雇止めについて
 本件雇止めは、タクシー新法による減車の時期や台数が不確定な中、自然退職者が出ることを一切考慮せずに行われていることからして、その必要性と合理性に疑いがあったことは認められるが、殊更に組合員だけを抽出したものではなく、むしろ非組合員が過半を占めるという状況からすると、雇止めを断行した被申立人会社の決定的な動機が、副執行委員長らを狙い撃ちにして、組合を弱体化させることにあったということまでは認めることができない。よって、本件雇止めは、副執行委員長らが組合員であること、あるいは組合活動を理由として行われた不利益な取扱いであるということは困難である。

2 会社が本件雇止めに関する団交に応じないことについて
 組合が平成21年12月15日付け書面により本件雇止めに関する団交を申し入れたのに対し、会社は交渉事項ではないとして、ほとんど交渉を行っていない。このような会社の対応は正当な理由なく団交を拒否するものである。
 また、22年7月10日付け及び23年2月9日付け書面による団交申入れに対し、会社は、組合の副執行委員長が同業他社に在籍しているため、組合側交渉員としての適格を欠くことを理由として応じていないが、組合は自己の交渉員を任意に選任することができるし、同人が当該団交において交渉員としての役割を適切に果たすことを妨げる事情は見当たらない。したがって、会社のこのような主張が「正当な理由」に該当するということはできない。

3 会社の各行為が組合の運営に対する支配介入に当たるか否かについて
 上記2のとおり、会社が正当な理由なく団交を拒否していることは、憲法ないし労組法が権利として保障する団交を実質的に無力化する行為であることから考えると、組合の結成や運営に萎縮的効果をもたらす行為として、法7条3号の不当労働行為に該当するものと評価するのが相当である。
 会社が組合の執行委員長の経歴に係る誹謗的な発言をしたこと等は、当該行為が行われた当時、労使関係が会社にとって必ずしも思わしい展開になっていなかったことも併せ考えると、組合内部の問題を殊更に取り上げて、その名誉ないし対外的信用を失墜させる行為であることが認められるから、組合の結成や運営に萎縮的効果をもたらす行為として、法7条3号の不当労働行為に該当するものと評価するのが相当である。 
掲載文献   

[先頭に戻る]

顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
札幌地裁平成23年(行ウ)第38号 棄却・却下 平成24年7月12日
札幌高裁平成24年(行コ)第22号 棄却 平成25年1月25日
 
[全文情報] この事件の全文情報は約189KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。