労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  三交タクシー 
事件番号  中労委平成22年(不再)第26号 
再審査申立人  株式会社三交タクシー(「会社」) 
再審査被申立人  自交総連なら合同労組(「組合本部」)、自交総連三交タクシー労働組合(「組合」) 
命令年月日  平成23年2月16日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   組合とその上部団体である組合本部(「組合ら」)は、21年7月27日付けで、連名で会社に組合の結成を通知し、同日付け、同年8月20日付け及び同月27日付けで団交を申し入れた(「本件団交申し入れ」)が、会社は、組合と組合本部の関係について釈明を求めるなどし、団交に応じなかった。そのため組合らは、上記団交不応諾が不当労働行為であるとして、救済申立てのあった事件である。
 奈良県労委は、会社が団交に応じなかったことは労組法第7条第2号の不当労働行為に当たるとして、会社に対し、①誠実に団交に応じること、②①に関する文書手交・掲示を命じたところ、会社はこれを不服として再審査を申し立てた。 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  1  組合及び組合本部は、本件についての申立人適格を有するか。
(1) 組合の申立人適格
 組合は、当委員会の資格審査において、労組法第2条及び第5条第2項に規定する資格に適合する労働組合と決定された。会社は、組合の結成が組合本部の先導によることや執行委員長の応対内容などを挙げて、組合は団体としての実体がなく、申立人適格を欠如していると主張するが、組合は10名程度の組合員を擁し、組合規約を持った団体としての実体が認められる。
 よって、組合は申立人適格を有するものと認められる。
(2) 組合本部の申立人適格
 組合本部は、当委員会の資格審査において、労組法第2条及び第5条第2項に規定する資格に適合する労働組合と決定された。
 また、組合本部は、個人加盟の者と加盟組合とから構成されるいわゆる「混合組合」であるが、結成以来、個人加盟の組合員のみならず、加盟組合の組合員の労働条件等についても、上部団体としての統制力に基づき、加盟組合と連名(共同)で団交を行ってきており、組合の組合員の労働条件に関し組合と連名で行った本件団交申し入れについて、上部団体としての団体交渉権を有することは明らかであり、本件団交の当事者適格を認められる。
 よって、組合本部は申立人適格を有するものと認められる。
2  会社が、本件団交申し入れに応じなかったことは、正当な理由のない団交拒否に当たるか。
(1) 会社は、組合らの連名の本件団交申し入れに対して、数回にわたりタクシー無線で組合の執行委員長を呼び出して、組合と組合本部の関係の明確化や組合規約の提出を求めるなどし、団交には応じず、また開催時期も明示しなかった。
(2) 会社は、団交申し入れを受けた当初の時期において、労働組合結成通知の記載内容やインターネットによる情報などから、組合が会社の従業員が加入する労働組合であり、組合と組合本部は連名で団交申し入れを行うような単位組合と上部団体の関係にあることを認識し得た。したがって、それ以上に組合と組合本部の関係の明確化等を求める必要はなかったというべきで、組合らが回答などをしなかったことを理由として、団交に応じないことには正当な理由はない。
 また、本件団交申し入れは組合と組合本部が連名(共同)で行っており、交渉事項、交渉権限、交渉の進め方などにつき不統一となるおそれは通常存しないから、会社は組合本部の本件団交申し入れに対し応じる義務がある。
(3) よって、本件団交申し入れに応じていない会社の対応は、正当な理由がなく、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たる。
3  初審命令の救済内容が相当といえるか。
 労働委員会は、その裁量により個々の事案に応じた適切な是正措置を決定し命令する権限を有するから、本件団交申し入れに全く応じようとしない会社の対応に、今後の正常な労使関係秩序の構築を期する観点から、初審奈良県労委が同様の不当労働行為を繰り返さない旨の文書手交及び掲示を命じたことに問題はない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
奈良県労委平成21年(不)第3号 全部救済 平成22年3月29日
東京地裁平成23年(行ウ)第209号 棄却 平成24年2月16日
 
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