労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  ノースプランニング 
事件番号  平成22年道委(不)第13号 
申立人  ノースプランニングユニオン 
被申立人  株式会社ノースプランニング 
命令年月日  平成23年1月14日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   申立人組合と被申立人会社は組合員の未払賃金を2回の分割払いで支払うことなどを内容とする和解契約を締結したが、会社は和解契約書に基づく1回目の支払いは履行したものの、2回目の支払いを履行しなかった。
 本件は、会社が①上記和解契約書の内容遵守に関する協議の開催についての組合の要求に誠実に対応しなかったこと、②和解契約書の定めを履行しなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 北海道労委は、会社に対し①和解契約書の未履行部分を速やかに履行すること、②組合に対して当該未履行部分の現況について具体的に説明するとともに、履行方法・期限を示すなど誠実に応じること、③文書手交を命じた。
命令主文  1 被申立人は、申立人との間で締結した申立人組合員の未払賃金の支払に関する平成21年12月25日付け和解契約書の未履行部分を速やかに履行しなければならない。
2 被申立人は、平成21年12月25日付け和解契約書の未履行部分につき、申立人による同22年4月7日付け及び同月21日付けの現況説明に関する協議の求めに対し、資料を示して具体的に説明するとともに、未履行部分の履行方法・履行期限を示すなど誠実に応じなければならない。
3 被申立人は、次の内容の文をA4判縦長白紙にかい書で明瞭に記載し、その文書を申立人に対し、本命令書写しの交付の日から10日内に手交しなければならない。

当社が、貴組合に対して行った下記の行為は、北海道労働委員会において、労働組合法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。
今後、このような行為を繰り返さないようにします。
1 当社が、貴組合との間で締結した申立人組合員の未払賃金の支払に関する平成21年12月25日付け和解契約書の未履行部分を速やかに履行しなかったこと。 
2 当社が、貴組合による平成22年4月7日付け及び同月21日付けの現況説明に関する協議の求めに対し、資料を示して具体的に説明するなどの誠実な対応をしなかったこと。

 平成 年 月 日 (手交する日を記載すること)

 ノースプランニングユニオン
  執行委員長 A 様
株式会社ノースプランニング 
代表取締役 B ㊞ 
判断の要旨  1 本件協議要求に対する会社の対応は、法7条2号の不当労働行為に当たるか。
 申立人組合は、被申立人会社に対して本件協議要求により、義務的団交事項である賃金の支払いに関する本件和解契約の履行について団交を申入れたものということができる。これに対する会社の対応は、①会社代理人が支払いの目途が立たないことを通知したこと、②同代理人が組合からの文書を社長に伝達して説明協議の場を設定したいと述べたにとどまるものというべきである。
 会社は、社長が同代理人に対し少人数での「話合い」を設定するよう指示したと主張するが、同代理人から組合に対しそのような申出が何らされていないことからすると、信用できないものといわざるを得ない。
 以上によれば、会社は本件協議要求に対して、正当な理由がなく団交を拒否したものというべきであり、これら会社の行為は法7条2号に該当する不当労働行為である。
2 会社による本件和解契約の不履行は、法7条3号の不当労働行為に当たるか。
 本件和解契約は、組合の結成目的であり、かつ、活動上大きな位置を占める組合員の未払賃金問題を終局的に解決しようとするものであるから、組合結成後の組合活動の主要な成果であり、組合員及び組合にとり重要な位置を占めるものといえる。また、会社も本件和解契約の組合活動における位置づけを認識していたものと認められる。
 会社が本件和解契約に基づく2回目の支払いを履行しなかった理由について、社長は予定していた工事代金の回収ができなかったためであると陳述しているが、社長は組合に対し、和解交渉当初から一貫して、中小企業基盤整備機構からの借入金を支払原資に充てるとの説明をしており、この陳述内容は従前の説明と矛盾する。また、不履行の理由について、社長から組合に対し、事前事後を含め一切の説明がなかったことが認められる。さらに、組合が平成22年2月2日会社代理人に連絡し、不履行に対する会社の対応につき協議を求めたのに対し、同代理人は2月13日までに連絡するとしながらこれをしなかった。一方で、会社はその後入金のあった工事代金を本件和解契約の履行に一切充てず、仕入れ先などへの支払いに充てた。以上からすると、本件和解契約の不履行がやむを得ないなどの特段の事情があるとは認められないし、また、当該不履行に関して会社が誠実に対応したということもできない。
 以上によれば、本件和解契約の不履行は、組合員に不利益を及ぼすとともに、組合員に組合に対する不信を抱かせ、その運営に少なからぬ影響を及ぼすおそれがあるものといえるから、組合を軽視又は無視することにより、その弱体化を企図した支配介入として、法7条3号に該当する不当労働行為である。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
札幌地裁平成23年(行ウ)第4号 棄却 平成23年6月27日
札幌地裁平成23年(行ク)第4号 緊急命令申立ての認容 平成23年6月27日

 
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