労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  西日本旅客鉄道(訓告処分等) 
事件番号  中労委平成20年(不再)第39号 
再審査申立人  西日本旅客鉄道株式会社 
再審査申立人   
再審査被申立人  国鉄労働組合組合員X 
命令年月日  平成22年10月6日 
命令区分  全部変更 
重要度   
事件概要   会社が、Xに対し、①就業時間中の組合バッジ着用を理由として、訓告処分を行うとともに、本件訓告処分に伴い夏季手当を減額したこと(「本件訓告処分等」)、②奈良電車区の管理者らがXに対し、繰り返し本件組合バッジを外すよう強要したことが不当労働行為であるとして、申し立てられた事件である。
 大阪府労委は、前記会社の行為を不当労働行為と判断し、①Xに対する本件訓告処分がなかったものとして取扱い及び夏季手当の減額分の支払い、②文書手交を命じたところ、会社は再審査を申し立てた。
命令主文  初審命令主文を取り消し、本件救済申立てを棄却する。
判断の要旨  1 本件訓告処分等は正当な組合活動としてのXの本件組合バッジ着用行為に対する不利益取扱いに当たるかについて
(1)職務専念義務や就業時間中の組合活動禁止を定めた就業規則上の規定は一般的に合理性を有し、組合員が就業時間中に組合活動として組合バッジを着用する行為は、原則として正当性を否定され得る。ただし、やむを得ない組合活動としての必要性が認められ、かつ、使用者の業務を阻害するおそれのない行動もあり得ないわけではなく、認めるべき特段の事情が存在する場合には、正当性を否定すべきではない。また、就業規則上の服装の整正規定についても、使用者が経営上の抽象的な必要性に基づき従業員の服装の規制を行うことには合理性が認められるが、同規定に抵触するようにみえる組合バッジ着用行為も、やむを得ない組合活動としての必要性が認められ、かつ、服装整正の規律違反を問うことが不合理であると認めるべき特段の事情が存在する場合には、例外的に、同規定の違反として取り扱って正当性を否定すべきではない。そして、上記特段の事情の有無については、組合バッジの形状と着用の態様、組合バッジ着用者の職場の状況、組合バッジ着用を規制する特別の経営上の必要性なども考慮すべきこととなる。
(2) Xが着用した国労組合バッジの形状は、縦約1.2 センチメートル、横約1.3 センチメートルの四角形の金属製で、衣類に刺し着用するもので、目立った色彩やデザインでもないが、国鉄改革によって発足した会社は、職場規律の確立・確保を経営上の最重要課題とすることとなり、その一環として就業規則において、服務の根本基準等の規定を整備したものであるから、上記(1)の一般的合理性のほかに、特別の経営上の必要性があったものといえ、Xの本件組合バッジ着用行為については、このような特別の経営上の必要性から規制されたものであることを考慮する必要がある。
(3)次に、Xの本件組合バッジ着用の組合活動としての必要性についてみると、本件組合バッジ着用行為それ自体が国労西日本エリア本部(「西日本本部」)の意思形成過程における意見(意思)表明行為であるとの主張も立証もなされておらず、X個人の独自の意思表示行為としての性格が強く、国労ないしその西日本本部という労働組合の行為と見ることができるか疑問であり、少なくとも「労働組合の正当な行為」として保護すべき必要性は乏しいというべきである。
(4)以上を総合勘案すれば、Xの本件組合バッジ着用行為は、会社の就業規則に抵触しており、やむを得ない組合活動としての必要性が認められ、かつ、労働契約上の誠実労働義務と格別支障なく両立し、使用者の業務を阻害するおそれのないと認めるべき特段の事情が存在するとは認められず、当該行為を労働組合の正当な行為とみることはできないから、会社の本件訓告処分等は不利益な取扱いということはできない。
2 本件訓告処分等及び本件組合バッジ着用に対する奈良電車区の現場管理者らの注意・指導が支配介入に当たるかについて
 ①会社が、就業規則に従って組合バッジを着用する社員に対して継続して服装の整正を注意・指導自体を不当とすることはできないこと、②会社が組合バッジ着用等の違反に対する処分量定を加重に変更したことには相応の理由があり、変更の手順も、変更された処分量定の適用も慎重に行われたものといえること、③本件訓告処分等が本件組合バッジ着用に対する処分として不相当とはいえないこと、④奈良電車区の現場管理者らのXに対する注意・指導の態様等は、概ね冷静な対応の状況であり、Xに対して繰り返し行った注意・指導をもって不当とはいえないこと、⑤会社は発足以来一貫して国労内のどのグループに属するかを問わず、組合バッジ着用者に対し注意・指導や厳重注意、訓告等の措置を行ってきたことの諸事情が認められ、これらにかんがみると、会社による本件訓告処分等及び奈良電車区の現場管理者らの本件組合バッジ取外しの注意・指導は、Xの四党合意反対などの組合活動を嫌悪し、本件組合バッジ着用に対して不相当に重い処分や不相当に威圧的な注意・指導を行うことによって、これを抑制しようとした支配介入行為とは認められず、また、国労の活動及びその自主的な方針形成に対する支配介入行為とも認められない。
掲載文献  

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成13年(不)第47号 全部救済 平成20年10月3日
東京地裁平成23年(行ウ)第286号 棄却 平成24年10月31日
 
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