概要情報
事件名 |
GABA |
事件番号 |
中労委平成22年(不再)第1号
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再審査申立人 |
株式会社GABA |
再審査申立人 |
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再審査被申立人 |
ゼネラルユニオン |
命令年月日 |
平成22年10月6日 |
命令区分 |
却下 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、組合が会社に団体交渉を申し入れたところ、会社は、団体交渉ではなく協議なら応じてもよい旨を回答したことから、会社と組合で協議が行われた。その後の協議において、会社が「インストラクターとの契約は業務委託契約であって雇用契約ではないので、これは団交ではない、団交には応じない」として団交を拒否したことは、不当労働行為であるとして申し立てられた事件である。
大阪府労委は、インストラクターは労組法上の労働者であると認めるのが相当であると判断し、その上で、組合の団交申入れに対し、会社はインストラクターの労働条件及び労使関係のルールに関する事項について協議を行っていることから、会社の対応は、不誠実団交に当たるとまでいうことはできないとして、組合の申立てを棄却した。
これに対し会社は、①インストラクターは労組法上の労働者には該当せず、組合は同法に基づいて不当労働行為の救済を申し立てる適格を欠いていることから、初審命令は棄却ではなく却下すべきであった、②再審査申立てが、初審命令の理由中の判断に対する不服をいうものであっても、初審の労働者性に関する判断は、会社の労使関係における法的地位の安定性に関わる重要な問題であるから、再審査申立ての利益は認められるとして再審査を申し立てた。 |
命令主文 |
本件再審査申立てを却下する。 |
判断の要旨 |
1 当委員会の判断
(1) 都道府県労委が発した救済命令等に対して再審査の申立てをするには、再審査を申し立てる者に不服を主張する利益、すなわち再審査申立ての利益が存しなければならず、当該利益が存しないにもかかわらずなされた再審査の申立ては、不適法なものとして却下するのが相当である。
ここにいう不服を主張する利益は、再審査申立人が初審において求めていたところの全部又は一部が、その命令において排斥された場合に認められるべきであり、都道府県労委が発した救済命令等において求めていたところが排斥されたか否かは、当該救済命令等の主文を基準に判断すべきである。したがって、単に当該救済命令等の理由中の判断に不服があるにすぎない場合は、これを理由とする再審査の申立ては許されないというべきである。
(2) 会社は、初審において本件救済申立てを棄却する旨の決定を求めていたところ、本件の初審命令は、その主文において本件救済申立てを棄却したのであるから、初審命令において会社が求めていたところを排斥した部分はなく、初審命令は、会社に対して何らの不利益も課していない。
以上によれば、会社に初審命令に対する不服を主張する利益は存しないというほかないから、本件再審査申立ては、その利益を欠くものとして却下を免れない。
2 会社の主張に対する判断
(1)会社は自社のインストラクターは労組法上の労働者に当たらないというにすぎず、組合そのものが労働組合法上の手続に参与できる労働組合でないことを具体的に主張するものではないから、本件救済申立てが却下されるべきか否かの問題は生じない。
(2)会社は、初審の労働者性に関する判断は、会社の労使関係における法的地位の安定性に関わる重要な問題であると主張するが、会社が主張する事情は事実上の不利益があるという主張にすぎず、他方で、初審命令主文において、会社の求めていたところを排斥した部分はなく、会社は何らの不利益も課されていないのであるから、会社の主張をもって再審査申立ての利益を認めることはできない。 |
掲載文献 |
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