概要情報
事件名 |
日本ミルクコミュニティ |
事件番号 |
中労委平成19年(不再)第1・2号 |
再審査申立人 |
(1号・2号)全国一般労働組合福岡地方本部 |
再審査被申立人 |
(1号)福岡大和倉庫株式会社、破産者福岡大和倉庫株式会社破産管財人 |
再審査被申立人 |
(2号)日本ミルクコミュニティ株式会社 |
命令年月日 |
平成20年7月2日 |
命令区分 |
却下、棄却 |
重要度 |
重要命令 |
事件概要 |
1 (1) 第1号事件は、福岡大和が、[1]委託元のメグミルクと通謀して偽装解散し、分会員らを解雇したこと、[2]分会員らの雇用確保をしなかったこと、[3]会社存続に関する団体交渉に応じなかったことについて申立てがあった事件である。 (2) 第2号事件は、メグミルクが、[1]分会員らの排除を目的に福岡大和を偽装解散させ、分会員らを解雇させたこと、[2]分会員らの雇用を新たな委託先企業に引き継ぐなどして確保しなかったこと、[3]分会員らの雇用確保等に関する団体交渉申入れに応じなかったことについて申立てがあった事件である。 2 初審福岡県労働委員会は、上記1(1)の福岡大和の[3]に係る対応は不当労働行為に当たるとして文書交付を命じ、その余の救済申立てを棄却し、同(2)のメグミルクの[3]に係る対応は不当労働行為に当たるとして文書交付を命じ、その余の救済申立てを棄却した。組合は第1号事件及び第2号事件について再審査を申し立て、メグミルクは第2号事件について行政訴訟を提起した。 |
命令主文 |
(1) 第1号事件に係る初審命令主文を取り消し、福岡大和に対する救済申立てを却下 (2) 第1号事件に係る福岡大和破産管財人に対する救済申立てを却下 (3) 第2号事件に係る再審査申立てを棄却
|
判断の要旨 |
(1) 福岡大和に対する救済申立てについて(第1号事件) 20年4月16日、福岡大和の破産手続廃止の決定が確定し、本件再審査被申立人である福岡大和は存在しなくなったから、組合の救済申立ては、その余のことを判断するまでもなく、不適法として却下を免れない。 (2) 福岡大和破産管財人に対する救済申立てについて(第1号事件) 福岡大和は、上記(1)のとおり、既に存在しなくなっている以上、福岡大和破産管財人も、破産手続が終了したことにより任務が終了しているから、同破産管財人に対する救済申立てについても、その余のことを判断するまでもなく、不適法として却下せざるを得ない。 (3) メグミルクに対する救済申立てについて(第2号事件) ア メグミルクは、福岡大和との関係で、委託料の決定等について事実上強い影響力を有し、これにより福岡大和の経営面についても相当の影響力を有しており、福岡大和の解散及びこれに伴う分会員らの解雇は同社の再三の契約単価の引下げを契機にしたものであるとはいえる。しかしながら、両社の間には資本面及び人事面の関係は認められないし、福岡大和は自らの責任で本件業務を行っていたと認められること、メグミルクが本件業務について福岡大和の従業員を指揮監督していたり、賃金等の労働条件に関与していたとはいえないこと等から、メグミルクは、福岡大和の従業員の基本的な労働条件等に対して、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有していたとはいえず、労組法7条の使用者には当たらない。 イ 組合は、メグミルクは福岡大和による分会員の解雇という不当労働行為の救済に助力できる立場にあったから、分会員らの雇用確保について使用者性がある、とも主張するが、メグミルクが、福岡大和の従業員らの雇用について、部分的にも雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有しこれを行使したとみることはできず、上記組合の主張は採用することはできない。 ウ 上記ア及びイのとおり、メグミルクは、福岡大和の解散とこれに伴う分会員らの解雇についても、福岡大和の解散に伴う同社の従業員の雇用確保及び雇用確保等に関する団体交渉についても、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有していたとはいえないことから、本件について不当労働行為責任を負う者ではない。 エ 初審命令は、雇用確保等に関する団体交渉に関し、メグミルクに文書交付を命じたが、上記のとおり、同社は同団体交渉に関して分会員らの使用者に該当しない以上、当該判断は失当であるといわざるを得ないが、労働員会規則55条1項ただし書は再審査による不利益変更を禁止しており、そして、メグミルクは再審査申立てをしていないことにかんがみ、同交付命令は取り消さない。
|
掲載文献 |
|