労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名 日本ブリタニカ
事件番号 中労委平成18年(不再)第54号
再審査申立人 ユニオン東京合同、組合員X
再審査被申立人 日本ブリタニカ株式会社、ブリタニカ・ジャパン株式会社 外1社
命令年月日 平成20年7月2日
命令区分 棄却
重要度  
事件概要 (1) 平成13年5月31日、会社が英会話教室事業の閉鎖に伴い全従業員を解雇したところ、被解雇者であるXは解雇後に結成された組合に加入した。本件は、[1]組合と会社との間で、平成14年2月14日から平成15年2月13日までの間に行われたXの解雇撤回等を議題とする10回の団体交渉における会社の対応が不誠実であり、また、[2]Xの解雇は不利益取扱いであるとして、平成15年2月17日、救済申立てがあった事件である。
(2) 初審東京都労委は、Xの解雇に係る申立てを却下し、その余の申立てを棄却した。
(3) 組合らは、これを不服として、再審査を申し立てた。
命令主文 本件再審査申立てを棄却する。
判断の要旨 ア Xの解雇に係る救済申立ては労組法第27条第2項の定める申立期間内に行われたか
 Xの解雇は平成13年5月31日付けで行われた一回限りの行為であるから、同日が申立期間の起算日である。したがって、Xの解雇に係る申立て(平成15年2月17日申立て)は、行為の日から1年を経過したものであり、労組法第27条第2項の申立期間を徒過したものとして却下を免れない。
イ 本件団体交渉における会社の対応は労組法第7条第2号の不誠実団体交渉に該当するか
(ア) 解雇撤回要求について
まず、団体交渉担当者・出席者についてみると、会社側の担当者は、会社の経理部長として一定の権限を有する管理者であったこと、組合の要求に対し実質的な説明・回答を行っていたことが認められる。
 次に、説明の内容についてみると、会社は、ことさら解雇撤回について議論を回避していたとはいえず、事業閉鎖に至る理由・経緯及び解雇回避努力について再三にわたって説明を行っていることが認められる。また、会社が労働債権確保のために会社を存続させ、残務整理のための保安要員を雇用したことには相当な理由があったといえ、会社は保安要員の雇用の必要性等について十分に説明を行っていたと認められる。
上記のとおり、会社は組合の質問に対して具体的な回答や説明を行っており、会社の立場を明確に示しているものであるから、不誠実な交渉態度であったとはいえない。
(イ) 原職又は原職相当職の保障要求について
会社とBJCは別個の法人であることは事実であるから、本件団体交渉において会社がXのBJCへの再就職(組合のいう原職又は原職相当職への保障)は困難である旨の回答をしたことはやむを得ないものであった。よって、これをもって不誠実な交渉態度であったとはいえない。
(ウ) 組合の文書提出要求について
会社は事業閉鎖に至るまでの経営状況等について再三説明していること、会社社長による会社説明会での説明と本件団体交渉における説明の内容とは食い違いがなく一貫していることから、文書提出をしなかった会社の対応が不誠実な交渉態度であったということはできない。
(エ) 団体交渉会場及び録音・議事録について
従前会社に存在していた他組合と組合の団体交渉会場が異なることにより会社が意図的に差別的取り扱いを行ったとみることはできず、また、会社は組合と共通の書面を作成することが困難であるから議事録を交換する必要がないと判断したものであり、これらの会社の対応について誠実でないとはいえない。
(オ) 結論
以上のとおり、本件団体交渉における会社の対応は不誠実な交渉態度であったということはできない。また、本件初審申立後の団体交渉における対応についても不誠実な交渉態度であるとはいえない。したがって、本件団体交渉における会社の対応は不当労働行為に当たらない。
ウ EBHSA及びBJCに対する救済申立てについて
組合らは、上記2社をも被申立人として救済申立てをしているが、上記2社が会社とは別に不当労働行為を行ったとする具体的事実の疎明はない。よって、組合らの救済申立てを棄却した初審判断は相当である。

掲載文献  

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京都労委平成15年(不)第17号 却下、棄却 平成18年6月20日
東京地裁平成21年(行ウ)第39号 棄却 平成21年12月7日
東京高裁平成22年(行コ)第8号 棄却 平成22年7月29日
最高裁平成22年(行ツ)第404号・平成22年(行ヒ)第432号 上告棄却、上告不受理 平成23年6月28日
 
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