労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]   [顛末情報]
概要情報
事件名 オンセンド
事件番号 中労委平成18年(不再)第9号
再審査申立人 三重一般労働組合
再審査被申立人 株式会社オンセンド 
命令年月日 平成19年5月9日
命令区分 一部変更
重要度  
事件概要 1 本件は、会社が、組合に加入した組合員A(パート従業員)に対し、(1)平成15年6月17日及び同月18日に人事部長を通じて組合を脱退するよう強要したこと、(2)平成16年2月20日付けで解雇したこと、(3)平成16年3月に不当解雇撤回等を議題とする団交を拒否したことが、不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件である。
2 初審三重県労働委員会は、(1),(2)については、不当労働行為に該当しないとして、(3)については現時点において組合の申し入れた団交事項について団交を命じることは適当でないとして、救済申立てを棄却する命令を交付したところ、組合はこれを不服として、再審査を申し立てた。
命令主文 (1) 組合員Aに対する脱退慫慂による支配介入の禁止
(2) 組合員Aの契約更新問題の解決方法等に関する団体交渉の実施
(3) 文書手交(上記(1) 及び(2)について)
(4) その余の救済申立ては棄却
(5) その余の本件再審査申立ては棄却
判断の要旨 (1) 会社人事部長の組合員Aに対する言動について(労組法7条3号の不当労働行為に該当)
(1)平成15年6月17日の喫茶店における人事部長の言動は、組合の存在やその活動、特に団交を軽視する態度を表明するもので、かつ組合を非難する趣旨を含むものであり、(2)翌18日の電話における同部長の言動は、会社としてAの組合加入を問題視するというものであり、家族を巻き込むことによって同人に組合から離脱するように精神的圧力を加えようとするものである。人事部長のこれらの言動は、組合を除外して組合員A個人に働きかけることによって同人の組合からの脱退を慫慂するものであって、組合の組織、運営に対する支配介入に当たると判断され、労組法7条3号の不当労働行為に該当する。
(2) 組合員Aの雇止めについて(救済申立てを棄却)
組合員Aの雇用契約の更新手続における労使の対応をみると、会社がパート契約更新後の契約内容として「毎日曜日・土曜日・祝日・年末年始は勤務日となる」との勤務条件基準を示し、それを厳格に適用する旨を提示したのに対し、組合は、更新後の契約について組合員Aの希望する勤務条件やそのための交渉日時の要望等を具体的に示した上で協議・交渉を求めることをしなかったのであり、結局、会社と組合との間で組合員Aの契約更新問題に関する協議・交渉が何ら行われないまま、平成16年2月20日(契約期間満了日)となって雇用契約期間が満了するに至ったというほかない。
 そうすると、本件当時の労使事情を考慮しても、本件雇止めは、会社と組合ないし組合員Aとの間に、パート契約を更新するか否か、更新する場合にどのような勤務条件によるかという基本的かつ重要な問題の決定のために必要な手続が行われていないことによるものと解さざるを得ず、本件雇止めの決定的理由が、Aが組合員であることにあったと断定するまでには至らないというほかない。
 したがって、本件雇止めは不当労働行為には当たらないとした初審判断は結論において相当である。
(3) 本件団交拒否について(労組法7条2号の不当労働行為に該当)
会社は、本件団交拒否の正当理由として、(1)組合員Aが会社の従業員の地位を失っていること、(2)組合の団交申入れは不当解雇を口実にして金銭を払わせようとする意図からなされたものであって正当な団交申入れとは認められない旨主張するが、いずれの主張も採用できず、本件団交拒否には正当な理由は認められない。また、組合が申し入れた団交事項のうち「不当解雇の撤回」等に関しては救済利益は存在すると認められる。
 以上のとおりであるから、本件団交拒否は労組法7条2号の不当労働行為に該当し、組合が申し入れた団交事項について団交を命ずることは適当でないとの初審判断は取り消す。
掲載文献  

[先頭に戻る]

顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
三重県労委平成16年(不)第3号 棄却 平成18年1月6日
東京地裁平成19(行ウ)390(第1事件)・566号(第2事件) 棄却 平成20年10月8日
東京高裁平成20年(行コ)第394号 棄却 平成21年6月18日
 
[全文情報] この事件の全文情報は約289KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。