労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名 オンセンド
事件番号 東京地裁平成19(行ウ)390(第1事件)・566号(第2事件)
原告 第1事件原告兼第2事件参加人 株式会社オンセンド
第1事件参加人兼第2事件原告 三重一般労働組合
被告 国(裁決行政庁:中央労働委員会)
判決年月日 平成20年10月8日
判決区分 棄却
重要度  
事件概要 X組合は、Y会社が、X組合に加入した組合員X1(パート従業員)に対し、①平成15年6月17日及び同月18日に人事部長を通じて組合を脱退するよう強要したこと、②平成16年2月20日付けで解雇したこと、③平成16年3月に不当解雇撤回等を議題とする団交を拒否したことが、不当労働行為であるとして三重県労委に救済申立てを行った。
 三重県労委は、上記①及び②については、不当労働行為に該当しないとして、③については、救済申立てを棄却する命令を交付した。
 X組合はこれを不服として、中労委に再審査を申し立てたところ、中労委は、三重県労委の命令を一部変更し、①X1に対する脱退慫慂による支配介入の禁止、②X1の契約更新問題の解決方法等に関する団体交渉の実施、③文書手交を命じ、その余の再審査申立ては棄却した(以下「本件命令」という。)。
 本件は、X組合及びY会社が本件命令を不服として、X組合は、本件命令の再審査申立てを棄却した部分の取消しを求め、Y会社は、本件命令の主文のうちの三重県労委の命令の主文を変更した部分の取消しを求めた事案である。


判決主文 1 原告会社の請求を棄却する。
2 原告組合の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,参加によるものも含めてこれを2分し、その1を原告会社の負担とし、その余を原告組合の負担とする。
判決の要旨 ① Y会社の人事部長の言動が不当労働行為に当たるかについて、同人の言動は、会社の意を表したものであり、X1に対し、同人のX組合の加入通告及び組合からの団体交渉申入れの直後に、他の従業員に知られない場所・方法により、相当の時間にわたってされたものであること、組合の存在や活動を否定し、家族を労使対立に巻き込むことも示唆するなどして、X1が組合に所属しつづけることを躊躇させ、組合から離脱するように精神的圧力を加えようとする内容であることからして、組合の組織、運営に関する支配介入であるというのが相当であり、これと同旨の本件命令が違法であるとはいえない。
② X1の雇止めが不当労働行為に当たるかについて、Y会社とX1との雇用契約においては、期間満了後も雇用関係を継続するには更新手続が不可欠であったところ、Y会社は、X1との雇用契約の更新手続きに関し、2種類の勤務条件及びアルバイトのいずれかの雇用契約書の提出をX1に対し求めるといった対応をしており、これまでのパート従業員一般に対する対応と比較し、格別不利益に取り扱ったものではなく、その一方で、X1は、X組合と協議するよう求めるのみで、雇用形態を特定して契約を更新する旨の何らの意思表示をもしなかった事情を踏まえると、勤務条件という基本的かつ重要な問題決定のために必要な手続きが行われていないという状態になったとして、会社とX1との雇用契約期間が満了するに至ったとしても、やむを得ないといわざるを得ず、本件雇止めを著しく信義に反する権限乱用行為であるとはいえない。したがって、本件雇止めが労働組合法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に該当するとはいえないのであり、これと同旨の本件命令が違法であるとはいえない。
③ X1の契約更新問題の解決方法等に関する団体交渉の実施について、Y会社は、X1は平成16年2月20日付けで従業員の身分を失っているなどと主張するが、労働者が自らの雇用契約上の地位を争い、その所属する労働組合が使用者に団体交渉による解決を求めたときは、合理的期間内に団体交渉の申入れがされているのであれば、当該労働者を労働組合法第7条第2号の「雇用する労働者」に該当するものとして扱い、当該労働組合が団体交渉の当事者になるというのが相当である。本件団体交渉は、雇止めから団体交渉の申入れまで10日ほどしか経過しておらず、X組合が団体交渉の当事者になるのが相当であるから、X組合の団体交渉申入れは正当な理由が存在し、また、本件命令後に行われた団体交渉が誠実に行われたとは認められず、依然として、会社に団体交渉に応じることを命ずる利益(救済の利益)があるといえることから、Y会社に団体交渉を行うことを命じた本件命令が違法であるとはいえない。



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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
三重県労委平成16年(不)第3号 棄却 平成18年1月6日
中労委平成18年(不再)第9号 一部変更 平成19年5月9日
東京高裁平成20年(行コ)第394号 棄却 平成21年6月18日
 
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