労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  東新潟自動車学校 
事件番号  中労委平成16年(不再)第28号 
再審査申立人  株式会社東新潟自動車学校 
再審査被申立人  全国一般労働組合新潟県本部 
命令年月日  平成17年11月16日 
命令区分  再審査棄却(初審命令をそのまま維持) 
重要度   
事件概要   会社は、(1)支部組合員X1に対し、昇格に際して組合支部を脱 退させようとし、これに従わないことをもって退職強要発言を行ったこと、(2)X1に対する組合支部を脱退しなかったことを 理由とした職 務変更及び懲戒処分を行ったこと、(3)組合支部の役員及び組合員 に対してX1を非難する言動を行ったこと が不当労働行為であるとして、争われた事件で、新潟県労委は、会社に対し、(1)教習業務全 般の停止措置及び懲戒処分のな かったものとしての取扱い及びバックペイ、(2)脱退強要及びこれに応じない場合の退職強要の禁止、(3)支部組合員に対す る脱退示唆の禁止、(4)文書手交を命じた。
 会社は、これを不服として再審査を申し立てたが、中労委は、再審査申立てを棄却した。 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  5130 法2条但書との関係
労組法第2条の「使用者の利益を代表する者」とは、役員、人事権を有する監督的地位にある者、労務の機密の事務を取扱う監督 的地位にある者等、組合員になれば労働組合の自主性が失われる者をいうのであって、会社内の位置付けが管理職であるかどうか によるのではなく、その者の権限と業務への参画いかんによって具体的に決定されるところ、本件副管理者は、人事面ではあくま で役員への推薦や意見を付するに過ぎず、雇入れ、昇進等を決定する直接の権限までは有していなかったこと、賃上げ又は賞与の 支給では、その決定過程に直接参画しておらず、労務の機密の事務を取り扱っているとの具体的疎明がないこと、一方、副管理者 は、一般従業員と同様に残業を行い、これに対して時間外手当が支給されていたこと、組合員が長期間にわたり副管理者の業務を 続けていたこと及び副管理者の半数以上が組合員であったことを会社は問題視していなかったこと等を総合的に判断すると、会社 における副管理者は、その権限及び業務の実態をみる限り労組法第2条に規定する利益代表者に該当するということはできないと された例。

2625 非組合員化の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
2610 職制上の地位にある者の言動
会社において副管理者は「使用者の利益を代表する者」と認めることはできないから、組合員資格を有したまま副管理者に就任す ることも認められるべきところ、Y1専務の「副管が組合員ではだめだ。そういう考えであれば会社を辞めてもらう。」等の言動 は、副管理者に任命しようとしたX1組合員に、同人が組合員のままでいたいというにもかかわらず就業上の不利益を示唆して組 合からの脱退を迫ったものであること、また、X1や支部三役に対し「処分を考えている」等発言し、X1が文書を提出した翌日 にはX1の懲戒処分を決めるなど、X1への度を超した厳しい姿勢が一貫していること等から、Y1専務のX1に対する言動は、 組合の組織運営に対する支配介入であり、これを労組法第7条第3号に該当するとした初審判断は相当であるとされた例。

1302 就業上の差別
3603 労働者に落度がない場合
本件職務変更については、X1に教習・検定業務を遂行することが危険になるほどの精神的不安があったことを認めるに足る疎明 はなく、X1がY1専務に組合を辞めたくないので副管になることを辞退する旨言った直後に、教習業務から外され、通常はアル バイト等で行われていた送迎バスの運転業務に専属させたこと等は、X1にことさら不利益を課したものとみるのが相当であり、 同職変更は、組合からの脱退拒否に対する報復措置といわざるを得ず、かかる会社の行為を労組法第7条第1号及び第3号の不当 労働行為であるとした初審判断は相当であるとされた例。

1602 精神・生活上の不利益
1203 その他給与決定上の取扱い
1400 制裁処分
本件懲戒処分については、(1)X1の提出した副管理者の就任を了承する旨の文書は単に同人の意思を表明したものであり、会 社が主張する職場紊乱の事実は、Y1専務が同文書を副管理者らにみせたところ、副管理者らから、副管理者と組合員資格につい ての質問が出された一事のみであり、それを職場紊乱とは到底いえないこと、(2)懲戒処分という重大な処分を科す以上、その 適正の確保が必要であり、より慎重な手続きが要求されるところ、就業規則で開催されることを定められている査問委員会及び幹 部会をどちらも開催せず、社長及びY1専務など一族の3名だけで構成される取締役会のみで懲戒処分を決定したことについて は、慎重かつ適正な手続きであるとは到底いえないこと、(3)本件懲戒処分による本件職務変更を契機にX1に対する運転手 当、食事手当及び休日出勤手当等が、支部組合員平均と比して相当程度減少していることが認められ、また、X1は入社以来教習 又は検定業務から完全に外されたことはなく、本件職務変更により精神上の不利益も生じていたとみるのが相当であること等か ら、X1に対する本件懲戒処分は、労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為であるとした初審判断は相当であるとされた 例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2625 非組合員化の言動
使用者の発言内容が意見の表明と目される場合であっても、発言の内容、発言の前後の状況、発言が与える影響などを総合し、当 該発言が組合の組織、運営に影響を及ぼすような場合は支配介入に該当するというべきであり、Y1専務の「副管が組合員である ことは許されない。」との発言は、副管理者に指名されながら組合員にとどまりたいとするX1を非難することにより、他の組合 員を動揺・威嚇させ、組合や支部の組織、運営に影響を及ぼそうとするものであるから、労組法第7条第3号の不当労働行為であ るとした初審判断は相当であるとされた例。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献   
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
新潟地労委平成 15年(不)第5号 全部救済 平成16年3月31日
東京地裁平成18 年(行ウ)第15号 棄却 平成19年4月19日
 
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