労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  田中酸素 
事件番号  中労委平成17年(不再)第16号 
再審査申立人  田中酸素株式会社 
再審査被申立人  田中酸素労働組合 
命令年月日  平成17年12月 7日 
命令区分  再審査棄却(初審命令をそのまま維持) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)書記長に対し配置転換、夏期賞与の減額等を行ったこと、(2)本件初審審問に証人として出頭した書記長らを欠勤扱いにし、賃金減額を行ったこと、(3)書記長らに対し脱退勧奨したことが不当労働行為であるとして、争われた事件で、山口県労委は、会社に対し、(1)書記長に対する夏期賞与について、前年と同査定による再計算及び差額の支払い、(2)委員会への証人出頭時間の欠勤がなかったものとしての取扱い及び減額分の支払い、(3)脱退勧奨するなどの支配介入の禁止を命じ、その余の本件救済申立てを棄却した。
 会社は、これを不服として再審査を申し立てたが、中労委は、再審査申立てを棄却した。 
命令主文  主   文
本件再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
X1、X2組合員に対する、会社社長らの発言は、結成早々の組合が会社に対してプロパン部の欠員補充に関し交渉申入れを行い、会社がこれに対し、定時退社や社用携帯電話の貸与中止の対抗措置を行うなどして、両社が緊迫した労使関係にあった時期において、組合の中心人物からの決別を要求したり、脱退を勧奨したり、役員への昇格ないし賃上げなどの利益供与や退職を示唆したりする発言を行ったものであり、時期及び内容からみて、会社経営者としての正当な意見の表明という程度を越えて組合に対する支配介入であると認められることから、会社の本件行為は、労組法第7条第3号の不当労働行為に該当する。

1202 考課査定による差別
(1)会社の評価制度においては、評価基準シート以外に評価に関する客観的、具体的な資料は見あたらず、X1の査定については、15年は評価シートにおける評価点と査定結果が大きくかい離し、16年は同シートの評価とは別個の理由が用いられていることから、賞与に関する会社の査定制度は裁量の幅が極めて広く、また、X1の16年の査定は15年の査定と一貫性なく行われていること、(2)会社が、X1の16年査定減の理由としている、パワーゲートの取扱いが不十分であることや納品伝票の不提出等はいずれも本件のような大幅な賞与減額の理由として相当なものか疑問であること、③本件の事実経過を見ると、会社は組合執行委員長を会社から追い出そうとして同人を正当な理由なく解雇し、同人が解雇無効確認訴訟を提起し、これを支援するX1を嫌悪し始め、さらに執行委員長らが組合を結成してX1の所属するプロパン部の欠員補助問題などに関する要求を提出したことや、執行委員長を中心とする組合そのものを嫌悪し、これに敵対的な態度をとってきたこと等をかんがみれば、X1に対する同16年夏季賞与の大幅減額は、労組法第7条第1号の不当労働行為に該当する。

3300 不当労働行為とされた例
1203 その他給与決定上の取扱い
会社では、X1らの本件審問出頭に至るまで、就業時間内不就労に対して賃金を減額するという明確な方針は有しておらず、そのような慣行もなかったと認められ、また、その後もそのような方針に転換し、それを貫いているとも言い難いこと、会社は執行委員長の率いる組合の存在と活動を嫌悪し、その不当労働行為救済申立ての活動を嫌悪していたと認められること等から、会社が、X1らの労働委員会証人出頭に対して賃金を減額したことは、会社の不当労働行為を証言する証人として同人らの出頭を嫌悪した会社が、常日頃は就業時間内の不就労を減額してこなかったにもかかわらずその報復として行ったものと認められ、労組法第7条第4号の不当労働行為に該当するとした初審判断は相当である。

業種・規模  物品賃貸業 
掲載文献   
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
山口県労委平成16年(不)第1号 一部救済 平成17年2月24日
山口地裁平成17(行ウ)14号 棄却 平成18年11月21日
 
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