事件名 |
西日本旅客鉄道(西労ビラ配布) |
事件番号 |
中労委平成16年(不再)第40号
|
再審査申立人 |
ジェーアール西日本労働組合 |
再審査申立人 |
ジェーアール西日本労働組合近畿地方本部 |
再審査申立人 |
個人X1 |
再審査被申立人 |
西日本旅客鉄道株式会社 |
命令年月日 |
平成17年11月16日 |
命令区分 |
全部変更(初審命令を全部取消し) |
重要度 |
|
事件概要 |
会社は、休日に駅前で組合ビラを配布していた組合員のうち1名
が、別組合の組合員である同僚運転士の乗務用鞄の外ポケットに組合ビラを入れたことについて、乗務に向かう途中の運転士の意
識集中を妨げ安全運転に支障を与えたとして書面により厳重注意を行ったことが不 当労働行為であるとして争われた事件で、兵
庫県労委は、本件救済申 立てを棄却した。
組合及び個人は、これを不服として再審査を申し立てたが、中労委は、初審命令を取り消し、組合員1名に対する厳重注意がな
かったものとしての取扱いを命じた。 |
命令主文 |
1 初審命令を取り消す。
2 西日本旅客鉄道株式会社は、ジェーアール西日本労働組合近畿地方本部の大阪支部尼崎電 車区分会の組合員X1に対する、
平成13年10月16日付け厳重注意がなかったものとし て取り扱わなければならない。 |
判定の要旨 |
1400 制裁処分
0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
1601 福利厚生上の差別
3604 労働者に落度がある場合
X1組合員の本件ビラ配布については、勤務に就いているX2に対し、嫌がる行為を強いて職務を妨害するという意味合いにおい
て、問題がなかったとはいえないとしても、本件ビラ配布は、公道上で、主として駅の乗降客を対象に行われたものであって、乗
務に向かう途中の他組合員X3への配布は数秒間の出来事であり、客観的にみて、その後の列車運転に影響を与えるほどの行為で
あったとは認め難く、就業規則に定める懲戒事由に該当するとはいえず、組合活動としての正当性が失われたとまではいえないと
ころ、X1に対する本件厳重注意は、無事故表彰の対象期間が延伸されたほか、名誉感情を害する等の精神的不利益を受けたこと
も否定できず、また、同厳重注意は、ビラ等の内容そのものを直接問題とするのではなく、あえて組合活動として行われた本件ビ
ラ配布の乗務途上の運転士への影響という側面をとらえて、X1に対して相応の程度を越えた不利益性のある措置をとったものと
判断されるのであって、X1に対する不利益取扱いであるとともに、組合に対する支配介入であり、労組法第7条第1号及び第3
号に該当する不当労働行為であるとされた例。
4421 文書掲示等を命じた例
本件厳重注意を不当労働行為に該当しないが、本件ビラ配布には、全く問題がなかったとはいえず、会社として相応の対応は是認
されるべきこと、本件書面厳重注意の不利益性が比較的軽いことなどから、救済方法として文書掲示、文書手交は不相当であり、
Xに対する同厳重注意がなかったものとしての取扱いを命じることとするとされた例。
|
業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
|
評釈等情報 |
|