労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  東海旅客鉄道(東海労掲示物撤去) 
事件番号  中労委平成15年(不再)第20号 
再審査申立人  東海旅客鉄道株式会社 
再審査被申立人  ジェイアール東海労働組合新幹線関西地方本部 
再審査被申立人  ジェイアール東海労働組合 
命令年月日  平成17年 7月20日 
命令区分  一部変更(初審命令を一部取消し) 
重要度   
事件概要  会社は、助役らの管理職をして、組合に貸与している組合掲示板か ら、掲示中の掲示物20点を撤去したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、大阪府労委は、会社に対し、20点の掲 示物のうち18点の掲示物を撤去したことが不当労働行為に当たるとして、文書手交を命じた。
 会社は、これを不服として再審査を申し立てたが、中労委は、初審判断にて撤去したことが不当労働行為に当たるとした18点 の掲示物のうち8点については撤去相当と判断し、手交文書の内容を改め、その余の再審査申立ては棄却した。 
命令主文  Ⅰ 初審命令主文第1項を次のとおり変更する。

 1 再審査申立人東海旅客鉄道株式会社は、再審査被申立人ジェイアール東海労働組合及び  ジェイアール東海労働組合新幹 線関西地方本部大阪第一車輌分会に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。



  年  月  日

  ジェイアール東海労働組合

   中央執行委員長 X1 殿

  ジェイアール東海労働組合新幹線

  関西地方本部大阪第一車輌分会

  執行委員長   X2 殿

                       東海旅客鉄道株式会社

   代表取締役社長 Y1 印


 当社の新幹線事業本部関西支社大阪第一車両所が、平成10年11月25日から平成11年9月28日までの間に、組合新幹線 関西地方本部大阪第一車両分会の組合掲示板から、掲出中の下記10点の掲示物を撤去したことは、中央労働委員会によって、労 働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。今後このような行為を繰り返さないにします。



 1 平成10年11月25日撤去及び同月27日再撤去の見出し「会社自ら証明!組合掲示物  撤去の不当労働行為!」の掲示物及び見出し「中央労働委員会を愚弄するのか!」の掲示物

 2 同年12月1日撤去及び同月2日再撤去の見出し「反社会的行為のJR東海会社!」及び  「病気休職中の社員を一方的に『解雇』」の掲示物並びに見出し「弱者を簡単に切り捨てる  JR東海会社』」及び「裁判官も会社側を指摘!」の掲示物

 3 平成11年2月8日撤去の見出し「ん~何か臭うぞ!怪文書『知って得する・・NO.   6』発覚!差出人・・・頭隠して尻隠さず!」の掲示物

 4 同月9日撤去の見出し「原因究明よりも社員に始末書を書かせて責任転嫁!」の掲示物

 5 同月19日撤去の見出し「X3さん運転士職を勝ち取る!会社上告を断念敗北を認め慰謝  料支払いに応じる!」の掲示物

 6 同月20日撤去の見出し「『X3氏不当配転』を会社自らが認める!!」の掲示物

 7 同年9月9日撤去の見出し「またも『怪文書』(?)が組合員宅に郵送!」及び「卑劣な  組織破壊攻撃を断固粉砕しよう!!」の掲示物

 8 同月28日撤去の見出し「『300系電車訓練不当処分裁判』(四人組裁判)で大阪高裁  が不当判決!」の掲示物


Ⅱ その余の本件再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  3020 組合活動への制約
組合が組合掲示板に掲出した掲示物18点のうち8点の掲示物は、摘示された事実の主要な部分について真実性・相当理由がある とは認め難い部分や、個人に対する誹謗あるいは会社に対する信用毀損の程度に行き過ぎた表現があり、組合としての論評、批判 の域を逸脱していると認められる部分があり、当時の会社と組合、組合と東海ユニオン間の対立状況、組合員間の連絡や情報共有 の必要性の高さ、本件掲示物が掲示板の設置位置から一般公衆の目に触れる機会が少ないこと等の事情を考慮しても、会社がこれ を撤去したことには理由があるというべきであり、不当労働行為に当たらないとされた例。

3020 組合活動への制約
組合が組合掲示板に掲出した掲示物18点のうち10点の掲示物には、部分的に真実と異なっていたり、表現に行き過ぎがあるな どかなり不穏当な部分があるが、全体としては一定の根拠に基づく事実に対する組合の批判や見解の表明として許容範囲にある か、協約上の撤去要件に当たるとまではいえないもの、摘示された事実が認められるものの、組合の論評、批判として表現上も問 題がないものと認められるもの、表現に多少問題があるとしても、具体的事実を摘示した掲示物ではなく、組合の見解の表明とし て許容範囲内と考えられるものなど、その程度、ニュアンスに差はあるが、結論として労働協約に定める撤去要件に該当するもの ではないから、会社がこれらの掲示物を撤去したことは労組法第7条第3号の不当労働行為に当たるとされた例。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献   
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成 11年(不)第97号 一部救済 平成15年3月27日
東京地裁平成17 年(行ウ)第378号 一部取消 平成18年10月5日
東京高裁平成18 年(行コ)第277号 一部取消 平成19年5月30日
最高裁平成19年 (行ツ)第237号
最高裁平成19年(行ヒ)第255号
上告棄却、不受理 平成20年11月25日
 
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