労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  西日本旅客鉄道(西労団交等) 
事件番号  中労委平成 9年(不再)第22号 
中労委平成 9年(不再)第24号 
再審査申立人  西日本旅客鉄道株式会社 
再審査申立人  ジェーアール西日本労働組合福岡地方本部 
再審査申立人  ジェーアール西日本労働組合 
再審査被申立人  ジェーアール西日本労働組合福岡地方本部 
再審査被申立人  ジェーアール西日本労働組合 
再審査被申立人  西日本旅客鉄道株式会社 
命令年月日  平成17年10月 5日 
命令区分  一部変更(初審命令を一部取消し) 
重要度   
事件概要   会社は、(1)新幹線運転士を車掌に運用する在勤発令に当たり、 組合との団体交渉に誠実に応じなかったこと、(2)当該発令に係る人選において組合間差別を行ったこと、(3)昇格試験及び 指導員担務指定において組合間差別を行ったことが不当労働行為であるとして、争われた事件で、福岡県労委は、会社に対し、誠 実団交応諾、誓約書の手交を命じ、その余の申立てを棄却した。
 会社及び組合は、これを不服として再審査を申し立てたが、中労委は、誠実団交応諾の取消し、誓約書の一部を変更し、その余 の再審査申立ては棄却した。 
命令主文  1 初審命令主文第1項を削り、第2項の手交文書中「平成6年2月 28日ないし同年6月3日申し込まれた新幹線乗務員の運用に関する団体交渉に誠実に応じなかったことは」を「平成6年3月 30日ないし同年6月3日に申し込まれた新幹線乗務員の運用に関する団体交渉に誠実に応じなかったことは」に改め、同項以下 をそれぞれ繰り上げる。
2 その余の各再審査申立を棄却する。 
判定の要旨  2240 説明・説得の程度
2301 人事事項
本件在勤発令は、通常の昇進経路に逆行する運用であり、期限を明確にせずに運転士を車掌とすることは、実質的な降職との不安 を煽りかねず、また、長期間にわたり運転士の職務から離れることは、運転技術を維持向上させる上で望ましくないことであり、 会社は、本件在勤発令に当たって、従来のローテーション回しを廃止して、新たな取扱いとしなければならない相当な理由を示す 必要があったと考えられるが、会社のローテーション廃止の理由として説明した理由は「より高いサービスを目指すこと」に過ぎ ず、現にサービスの問題が起きているわけでもない中で、相当な説明とは認め難いこと、組合からの再三の要請にもかかわらず、 会社はダイヤ改正で業務量が減少する見込みや車掌の特例募集時期の見通しなどの具体的説明等将来の需要好転を信じるに足る材 料を示すことなく、組合の不安の払拭に何ら努力を払わなかったこと、人選基準について一切説明せず、十分な対応がなされたと はいえないことから、6年3月30日ないし6月3日の団体交渉申入れにそれまでの回答・協議によって討論は尽くされていると して応じなかったことは労組法第7条第2号に該当するとされた例。

1302 就業上の差別
2900 非組合員の優遇
組合と別組合とでは、本件在勤発令除外者となる事故防止委員と指導操縦者の人数及び本件在勤発令を受けた発令率において大き な格差が認められるとしても、事故原因の究明等の役割を担う事故防止委員及び運転士育成を行う指導操縦者を本件発令から除外 することが、経営上の合理性を欠くものであったり、会社の裁量の範囲を逸脱するものであるということはできないこと、会社 が、本件発令の8カ月前に行った指導操縦者の任命時に、既に指導操縦者を本件発令除外者とすることを決め、意図的な調整を 行ったことを窺わせる疎明はないこと、さらに、組合員が運転職員の過半数を割り込むようにする等会社が本件在勤発令を利用し て組合を弱体化しようとしたことを認めるに足る疎明はないことから、組合の本件在勤発令に関する救済申立ては認められないと された例。

2900 非組合員の優遇
組合結成前後における昇進試験合格者数をみると、結成後は組合員の合格者が大きく減少しているが、各年度における受験者数が 不明であること等から、このことのみをもって直ちに別組合との組合間差別とは認められないこと、組合を脱退した直後に昇格し ている8名の昇格が、組合を脱退したが故のものであることを認めるに足りる事実は明らかでないこと、組合結成3年弱で組合員 が20%減少したことが会社の支配介入の結果であると推認するに足りる疎明がなされていないこと等から、組合員と別組合の組 合員の間には合格率の著しい格差が存在し、会社は、両組合員間の勤務態度、勤務成績等についての集団的差異についての疎明も していないが、この合格率の格差が、会社の組合嫌悪の情ないしは組合弱体化の意図によることを窺わせる疎明は十分ではないか ら、会社により昇格試験の合否を通じた差別が行われたとする、組合の救済申立ては認められないとされた例。

2900 非組合員の優遇
リーダーコース合格者ではないX1が指導員に指定されたことについて、指導員はリーダーコース合格者で運用する方針であると の説明は、当時の運転所長の方針を示したものに過ぎず、会社がX2に対し、指導員指定等を条件に組合を脱退するよう慫慂した との疎明はないから、X1がリーダーコース合格者ではなかった一事をもって、組合脱退者が優遇されているとみることはできな いこと、3年9月に組合員2名の指導員解任については、その後任命された後任指導員のうち1名は組合員から指名されているこ と、再審査申立て時の指導員3名、指導補助員2名全てが別組合の組合員で、その内4名は組合脱退者であるが、当該4名の指導 員に対して脱退慫慂が行われたとの疎明はないこと等から、組合の、会社の指導員指定に関する救済申立ては認められないとされ た例。

4617 その他
既に本件在勤発令を受けた組合員は全員原職又は原職相当職に復帰しており、会社により今後同様の発令が行われるといった事情 も認められないことから、会社に団体交渉を命じる必要はなくなっているが、文書手交については、今後の労働関係の安定を勘案 して、文書を修正のうえ、維持することとされた例。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献   
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
福岡地労委平成6 年(不)第6号 一部救済 平成9年6月2日
東京地裁平成17 年(行ウ)第555号 棄却 平成18年10月26日
東京高裁平成18 年(行コ)第311号 棄却 平成19年3月29日
最高裁平成 19(行ツ)191号
最高裁平成19(行ヒ)203号
上告棄却・上告不受理 平成19年7月17日
 
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