事件名 |
東日本旅客鉄道(千葉動労褒賞金) |
事件番号 |
中労委平成 5年(不再)第22号
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再審査申立人 |
東日本旅客鉄道株式会社 |
再審査被申立人 |
国鉄千葉動力車労働組合 |
命令年月日 |
平成17年 9月 7日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
組合が4回にわたって実施したストライキに際し、会社は、ストラ
イキ実施日及びその前後の日に臨時の勤務に従事した社員に3千円又 は5千円の褒賞金を支給したことが不当労働行為であると
して争われた事件で、千葉県労委は、会社に対し、(1)ストライキに参加した組合員に参加日数に3千円を乗じた金員の支払
い、(2)今後の争議に際し争議不参加者に金員を支給するなどの支配介入の禁止を命じ、その余の申立ては棄却した。
会社は、これを不服として再審査を申し立てたが、中労委は、初審判断の一部を変更し、その余の再審査申立ては棄却し
た。 |
命令主文 |
Ⅰ 初審命令主文第1項を取り消し、第2項以下をそれぞれ繰り下げ
る。
Ⅱ Ⅰで繰り上げた第1項を次のとおり変更する。
1
再審査申立人は、再審査被申立人の行う争議行為に際して、今後、争議不参加者に対し、褒賞金等の名目をもって金員を支給するなどして再審査被申立人の運営に支配介入しては
ならない。
Ⅲ その余の再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1203 その他給与決定上の取扱い
3102 争議対抗手段
(1)本件褒賞金の支給は組合のストライキに関する別組合の申入れが契機となっていること、輸送混乱時の輸送確保に寄与した
職員に褒賞金を支給することを定めた社長通達の適用を組合のストライキまで遡及させていること、これに基づく部長通達等が組
合のストライキの時期を指定して対象期間としていることからすると、本件褒賞金の支給は組合のストライキを意識したものと窺
えること、(2)輸送の確保という点では事故と共通するものの、ストライキの場合は原則として事前に勤務変更が明示され、業
務内容も日常業務であって特段過重なものといえず、勤務変更を命じられた者には別途割増手当が支払われること、これらのこと
からすると、本件褒賞金の支給がスト対策としての性格を有することは否定できず、ストライキに伴う代替の臨時勤務に就いた者
に褒賞金を支給し、会社の方針に協力した者を優遇することはストライキの権利行使の効果を減殺するものといわざるを得ず、組
合活動に対する支配介入に当たるとされた例。
1604 その他
3103 労働協約締結をめぐる行為
会社が組合のストライキに対して褒賞を行うことを制度化することは、今後組合がストライキを行おうとする場合に、ストライキ
期間中の欠員補充として業務する者が増え、また、組合の組合員の中にもストライキ不参加者が増えることになりかねず、ひいて
は組合の団体行動を阻害するおそれが多分にあるから、本件褒賞金の支給は、今後のストライキに対する抑制力となり、組合の弱
体化を意図するものとして支配介入に当たるとされた例。
1203 その他給与決定上の取扱い
3102 争議対抗手段
本件褒賞金の支給は予め指定された勤務以外の勤務等に従事した者に限って支給されたものであること、組合の組合員の中にも臨
時の勤務に従事した者は本件褒賞金支給の対象となっていること、他方、組合員でない者であっても、ストライキ当日又はその前
後の日に業務に従事していない者は褒賞金支給の対象になっていないことからすると、ストライキに参加した組合員が褒賞金を受
け取れなかったことは、正当な組合活動をしたことによる不利益又は差別的取扱いと言えず、不利益取扱いには当たらないとされ
た例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
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