概要情報
事件名 |
松戸市外2者 |
事件番号 |
千葉県労委平成15年(不)第3号
|
申立人 |
松戸市現業職員労働組合 |
被申立人 |
松戸市 |
被申立人 |
松戸市長Y1 |
被申立人 |
松戸市教育委員会 |
命令年月日 |
平成18年 3月 3日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
本件は、市が、①小学校給食調理業務の民間委託に関し、市教育委員会が組合に正式提案前に市議会で委託予定と答弁してその後の団交において不誠実に対応したこと、②給与改定に関する団交において、誠意ある説明を行わず、勤務時間検討委員会の開催要求に応じなかったこと、③市営斎場における組合の抗議行動を理由に、組合執行委員長及び副執行委員長を戒告の懲戒処分としたこと、④市営斎場業務の民間委託に関する団交において、委託理由を明確に示さなかったことが不当労働行為であるとして、争われた事件である。 |
命令主文 |
1 被申立人松戸市は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記の内容の文書を申立人松戸市現業職員労働組合代表者に手交しなければならない。 記 年 月 日 松戸市現業職員労働組合 代表者 執行委員長 X1 様 松戸市 代表者 松戸市長 Y1 当市が貴組合との間で行った次の事項についての労働条件に関する団体交渉は、千葉県労働委員会によって、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認定されました。 今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 (1)平成15年4月から実施された小学校給食調理業務の民間委託。 (2)平成16年4月から実施された北山会館斎場業務の民間委託。 (注 年月日には手交の日を記入すること。)
2 被申立人松戸市長及び被申立人松戸市教育委員長に対する申立を却下する。
3 申立人のその余の申立を棄却する。 |
判定の要旨 |
4918 自治体
不当労働行為救済命令の名宛人とされる使用者は法律上独立した権利義務の主体であることを要する解されから、被申立人市の執行機関である市長及び市教委に被申立人適格はないので、市長及び市教委を被申立人とする申立てが却下された例。
2304 経営事項
2302 労務管理・労使関係
小学校の給食調理業務を民間に委託するかどうか及び委託の態様の決定は地方公共団体の管理運営事項であると考えられ、民間委託により職員の労働条件に関連をもつ事項は団交の対象となり得るものと解されるから、本件委託により調理員の異動という労働条件に関連する事項について団交ないし事務折衝において委託の内容を充分に説明せず、組合の資料要求にも十分に応じていないことは、労組法第7条第2号に該当するとされた例。
2240 説明・説得の程度
2251 一方的決定・実施
従来からの交渉ルールに従い助役交渉において、給与削減に対する代償措置を示して組合の合意を得ようとしたものの、給与改定に反対する組合との合意がないまま給与改定条例案を議会に上程し、改定を実施したことはやむを得なかったものと判断され、給与改定に関する団交が不誠実であったと認めることはできないとされた例。
1400 制裁処分
勤務時間中の組合副委員長X2が民間委託に対する抗議行動として市営斎場の作業場内に組合旗等を掲示して、所属長に撤去の指示に従わず、腕章着用のまま勤務を続けたことは、到底正当な組合活動と認められないから、同人に対する戒告の懲戒処分は不利益取扱いの不当労働行為といえないとされた例。
1400 制裁処分
市営斎場の作業場内における組合旗の掲揚等は民間委託に対する抗議行動として到底正当な組合活動と認められないから、抗議行動を指示した執行委員長X1に対する戒告の懲戒処分は不利益取扱いではないとされた例。
2240 説明・説得の程度
2244 特定条件の固執
市営斎場の業務委託に関する団交において、労働条件に係わるものは組合に提案し議論すると市は言明したものの、市営斎場の業務員の労働条件の変更についての基本的事項を提案せず、組合から求められた団交に速やかに応じなかったことは労組法第7条第2号に該当するとされた例。
1300 転勤・配転
1203 その他給与決定上の取扱い
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
斎場業務委託に伴って異動した結果、当該組合員全員の月例給与がが減額となったことは、市営斎場が市行財政改革計画で委託対象事業とされたからであり、業務員が全員組合員であることや市営斎場での組合活動を理由に、組合に打撃を与えることを意図して恣意的に委託対象に選定したものではないため、市営斎場の業務員全員の配転及び給与の減額が、不利益取扱い及び支配介入であるとする組合の主張は採用できないとされた例。
5005 損害賠償の請求
労働委員会による救済は、直接的にかつ事実上、団結権に対する侵害そのものを除去し、もって正常な労使関係の回復を図ろうとするものであるから、組合が組合員に対する配転及び配転に伴う月例給与の減額について市に損害賠償を請求する申立ては、不当労働行為救済制度になじまないと判断せざるを得ないとされた例。
|
業種・規模 |
地方公務(市町村機関) |
掲載文献 |
|
評釈等情報 |
 
|