概要情報
事件名 |
松戸市 |
事件番号 |
千葉地裁平成18年(行ウ)第18号 |
原告 |
松戸市 |
被告 |
千葉県(代表者兼処分行政庁 千葉県労働委員会) |
被告補助参加人 |
松戸市現業職員労働組合 |
判決年月日 |
平成19年4月27日 |
判決区分 |
全部取消 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、X組合がY市に対して申入れた小学校給食調理業務及び斎場業務の民間委託についての労働条件に関する団体交渉において、Y市の対応が労働組合法第7条2号に該当する不当労働行為に当たるとして争われた事件である。 千葉県労働委員会は、Y市に対して、団体交渉義務違反があったとして文書交付を命じたところ、Y市はこれを不服として、千葉地方裁判所に行政訴訟を提起した。 同裁判所はY市の請求を認容し、左記のとおり本件救済命令を取り消した。 |
判決主文 |
1.処分行政庁が原告に対して、平成18年3月3日付けでなした千労委平成15年(不)第3号事件についての命令のうち被告補助参加人に対して別紙記載の内容の文書の交付を命ずる部分を取り消す。 2.訴訟費用は被告の負担とし、参加によって生じた費用は被告補助参加人の負担とする。 |
判決の要旨 |
管理運営事項と団体交渉事項との関係について ① 地方公営企業等の労働関係に関する法律(平成15年法律第119号による改正以前のもの。)第7条ただし書は、管理運営事項は団体交渉の対象とすることができない旨を定めており、管理運営事項そのものは団体交渉の対象とはなり得ないとしても、その処理の結果、職員の労働条件等に関する事項の影響を及ぼす限りにおいては、その範囲内で団体交渉事項となり、団体交渉義務違反の問題となり得ると解すべきとされた例。 争点1(本件調理業務委託に関する団体交渉で、団体交渉義務違反があったか) ② 本件調理業務委託は、学校単位で順次委託するものであると認められ、委託に伴い調理員の職場異動の可能性があること等から、本件調理委託は調理員の労働条件に関する事項ということができるが、X組合とY市教育委員会との本件団体交渉の経緯等に照らせば、組合が委託自体に反対して、これに伴う労働条件の変更についての団体交渉に入ろうとしなかった点が認められ、これが主たる原因で労働条件に関する交渉の開始が委託直前となってしまったものであって、この点について市教育委員会が不誠実な対応をしたと認めることはできず、Y市に団体交渉義務違反があったとはいえないとされた例。 争点2(本件斎場業務委託に関する団体交渉で、団体交渉義務違反があったか。) ③ 本件斎場業務委託は、長年にわたり斎場業務に従事し、今後も従事し続けることを予想していた職員全員を、同時に異なる職場に配置転換させるものであり、その労働条件に関する限度においては、団体交渉事項になり得るといえる。しかしながら、このことに関する前半の団体交渉の経緯に照らせば、「勤務条件の話に乗ってしまうと委託を認めたことになってしまうのではないか。まずは委託の是非について協議が整ってからではないか。」と主張するなど、むしろX組合が団体交渉を拒否し、労働条件との関連を問題にすることを自ら避けていたと認められ、さらに後半の団体交渉において、X組合は、Y市が到底受け入れ難い提案(本件斎場業務委託の趣旨に反し、配置転換となるX組合の組合員に減収補填すること)を行い、また、これに固執しており、このような状況下でY市は合理的に期待される程度の努力は尽くしたといえることから、Y市が誠実に団体交渉に応じなかったとはいえないとされた例。 |