概要情報
事件名 |
ネスレジャパンホールディング(株)・ネスレジャパンマニュファクチャリング(株)外2社 |
事件番号 |
茨城県労委平成15年(不)第1号
茨城県労委平成14年(不)第5号
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申立人 |
ネッスル日本労働組合霞ヶ浦支部 |
被申立人 |
ネスレジャパンマニュファクチャリング株式会社 |
被申立人 |
ネスレジャパンアドミニストレーション株式会社 |
被申立人 |
ネスレジャパンホールディング株式会社 |
命令年月日 |
平成17年 1月20日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)組合本部と申立人支部及び他支部と一括して神戸において労使双方5名以内で行ういわゆる連名方式の団体交渉に固執し、支部が8回にわたり申し入れた支部との団体交渉を拒否したこと、(2)工場従業員の賃金支払明細書等にグループ会社の名義を使用したことに対する説明を拒否し、これにより団交応諾義務の相手方が判然としないことなどから内容のある団体交渉が不可能となり組合活動に支障を生じさせたことが不当労働行為であるとして、争われた事件で、会社に対し、(1)支部の団体交渉申入れのうち6回のものに応じること、(2)団体交渉の申入れをするに際し、自ら申し入れた方式に固執して、支部の運営に支配介入してはならないこと、(3)文書手交を命じ、平成13年に申し入れた2回の団体交渉に係る申立てを却下し、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人ネスレジャパンホールディング株式会社は、申立人ネッスル日本労働組合霞ヶ浦支部から平成14年1月25日付け、同年2月6日付け、同年3月14日付け、同年4月1日付け、同年7月18日付け及び平成15年1月8日付けの文書で申入れのあった団体交渉に、霞ヶ浦工場において、誠意をもって応じなければならない。 2 被申立人ネスレジャパンホールディング株式会社は、申立人ネッスル日本労働組合霞ヶ浦支部に対し、団体交渉の申入れをするに際し、自ら申し入れた方式に固執して、同支部の運営に支配介入してはならない。 3 被申立人ネスレジャパンホールディング株式会社は、申立人熱する日本労働組合霞ヶ浦支部に対し、本命例受領後1週間以内に、下記文書を手交しなければならない(用紙の大きさはA4判、文字の大きさは14ポイントとし、年月日は手交の日を記載すること)
(文書略)
4 本件申立てのうち、平成13年5月10日付け及び同年6月15日付けの文書で申し入れた団体交渉に係る部分については、これを却下する。
5 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
4916 企業に影響力を持つ者
4909 事業分離後の新企業体
会社マニュファクチャリングと会社アドミニストレーションは、会社ホールディングと、実質的に同一の企業体と見なすことができるとの疎明がなく、あるいはホールディングの従業員である組合員の労働条件等に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあるとの疎明もないことから、マニュファクチャリング及びアドミニストレーションは使用者に該当するとは認め難いとされた例。
5201 継続する行為
団体交渉拒否の状態が続いていることは単なる結果の継続であって、労組法27条2項の「継続する行為」には該当しないと解され、このことは、組合が主張する強固な不当労働行為の意思の有無に左右されるものではないとされた例。
2214 上部と傘下組合の交渉範囲
2221 集団・統一交渉
2245 引き延ばし
会社の提案する組合本部と支部が一括して行ういわゆる連名方式の団体交渉は、(1)本件ホールディングによる連名方式による団体交渉申入れが緊急命令時の合意に基づく方式とはいえないこと、(2)連名方式の団体交渉が多数開催されているという実績があるからといって支部が同方式による団体交渉に合意していたとはいえないこと、(3)組合本部や他支部との交渉日程の調整を行うなど適切な措置をとることにより支部との団体交渉が可能であるにもかかわらず、自ら申し入れた場所で団体交渉を行うことに固執して、支部申入れの団体交渉の可能性を誠実に検討しなかったことは正当な理由には該当しないこと、(4)使用者は、組合の申し入れた日時に配慮するか、日程を調整すべきであり、こうした配慮や調整を行わずに交渉担当者が業務の都合で出席できないことを理由に団体交渉に応じないことは正当な理由があるものといえないところ、ホールディングの交渉担当者Y5は支部の申入れた交渉より会議への出席を優先した理由の疎明はなく、同人が団体交渉に出席した場合にホールディングにどの程度客観的・具体的な業務の支障が生ずるかも不明であり、また、ホールディングの交渉担当者Y5は支部に交渉日程の調整を試みていないのであるから、ホールディングが業務上の都合を理由に団体交渉に応じなかったことには正当な理由がないとされた例。
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
ホールディングによる連名方式による団体交渉の申入れは、(1)ホールディングと申立人支部との間に合意が成立していないのであるから、ホールディングは組合本部及び各支部の申入れに個別に対応すべきところ、そうした姿勢をとることがないものであって、組合の存在や団体交渉権に対する配慮が欠けていると言わざるを得ないこと、(2)団体交渉参加人数について、労使双方の協議を経ることなく、いずれかが一方的に取り決めたものを相手方に強いることは、組合運営に対する介入となり、組合活動の制限につながるものであること、(3)交渉場所を神戸とすることについては、申立人支部の規模からみて財政的な負担を強いるものあって、申立人支部の団体交渉権を形骸化させるものであること等からすると、ホールディングのこうした態度は、支部の活動を制限し、その団体交渉権を形骸化させ、ひいては団結権を侵害した組合を弱体化させるものでもあるから、労組法第7条第3号に該当する支配介入の不当労働行為とされた例。
3106 その他の行為
支部は、会社組織の再編に伴い霞ヶ浦工場の従業員の身分や同工場従業員の労働条件等を決定する権限を有するのは会社ホールディング,マニュファクチャリング,アドミニストレーションのいずれなのか、支部との団体交渉をどの会社が行うのかなどについて団体交渉で説明することを求めているが、なるほど被申立人三社のいずれが霞ヶ浦工場従業員の賃金の決定等労働条件を支配、決定する地位にあるのか判然としない面が認められるものの、説明拒否については使用者であるホールディングが支部に十分説明すれば足りることであり、使用者のあいまいさについてもホールディングがあえて支部をかく乱し組合活動を抑制することを企図して名義を使い分けているものともいえず、これらが支部に対する支配介入とはいえないとされた例。
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業種・規模 |
食料品製造業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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