概要情報
事件名 |
ネスレジャパンホールディング(茨城) |
事件番号 |
東京地裁平成19年(行ウ)第601号 |
原告 |
ネスレ日本株式会社 |
被告 |
国(裁決行政庁:中央労働委員会) |
被告補助参加人 |
ネッスル日本労働組合霞ヶ浦支部 |
判決年月日 |
平成20年11月19日 |
判決区分 |
却下 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、X組合からの平成14年1月25日付けから同年7月18日付けでの合計5回の団体交渉申入れに応じなかったことが不当労働行為に当たるとして、中労委によって団交応諾や文書手交を命じる内容の救済命令を発せられたY会社が、中労委命令を不服としてその取消しを求めた事案である。本件訴訟係属中に救済対象者であるX組合の組合員のうち、Y会社の従業員である者がすべて退職し、X組合には現にY会社に雇用されている組合員は存在しなくなった。
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判決主文 |
1 本件訴えを却下する。 2 訴訟費用は,補助参加によるものも含めて原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
1 労働委員会が不当労働行為救済命令を発した後に、その命令の履行を客観的に不可能とし、あるいは救済命令の趣旨・目的からしてその命令を履行することについて、もはや救済の手段方法としての実質的意義を失わせるような事情が発生した場合、当該救済命令はその基礎を失って拘束力を失うというべきであり、使用者はその命令に従うべき義務はなくなるから、使用者が提起した救済命令取消しの訴えは、取消しを求める法律上の利益が消滅し、不適法なものとして却下されると解するのが相当である。 2 本件では、X組合は、Y会社の従業員である組合員を欠くに至っており、退職の効力を争っている者が存在する等の事情も見当たらないから、X組合はY会社に対する団体交渉権を有しない一方、Y会社はX組合に対して団体交渉義務を負わないことになる。したがって、Y会社による団体交渉応諾命令の履行はもはやその意義を失っているといわざるを得ず、本件命令の団体交渉の応諾命令はその効力を失ったというべきである。 3 X組合にY会社に雇用される組合員が存在しなくなった以上、Y会社がX組合との間で継続的な労使関係の維持改善を目的とする団体交渉を行うことは不可能であって、両者の間の労使関係秩序を回復、確保する余地はないというべきである。したがって、Y会社による文書手交命令の履行ももはやその効力を失ったと解するのが相当である。
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