概要情報
事件名 |
東海旅客鉄道(掲示物撤去) |
事件番号 |
中労委平成10年(不再)第34号
|
再審査申立人 |
東海旅客鉄道株式会社 |
再審査被申立人 |
ジェイアール東海労働組合 |
再審査被申立人 |
ジェイアール東海労働組合新幹線関西地方本部大阪第一車両所分会 |
命令年月日 |
平成17年 5月11日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
|
事件概要 |
会社が、助役らの管理職をして、組合に貸与している組合掲示板から、掲示中の掲示物14点を撤去したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、初審大阪府労委は、会社に対し、14点の掲示物を撤去したことが不当労働行為に当たるとして、文書手交を命じた。 会社はこれを不服として再審査を申し立てたが、中労委は、初審命令において、会社が撤去することは許されないとした14点の掲示物のうち、3点については撤去相当と、11点の掲示物については会社が撤去することは許されないと判断し、手交文書の内容を改め、その余の再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
Ⅰ 初審命令主文第1項を次のとおり変更する。
1 再審査申立人東海旅客鉄道株式会社は、再審査被申立人ジェイアール東海労働組合及び 同ジェイアール東海労働組合新幹線関西地方本部大阪第一車両所分会に対し、下記の文書 を速やかに手交しなければならない。
記
年 月 日
ジェイアール東海労働組合
中央執行委員長 X1 殿
ジェイアール東海労働組合
新幹線関西地方本部大阪第一車両所分会
執行委員長 X2 殿
東海旅客鉄道株式会社
代表取締役社長 Y1 印
当社の新幹線鉄道事業本部関西支社第一車両所が、平成7年7月3日から平成8年5月30日までの間に、組合新幹線関西地方本部大阪第一車両所分会の組合掲示板から、掲出中の11点の掲示物を延べ16回にわたり撤去したことは、中央労働委員会によって、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。今後このような行為を繰り返さないようにします。
2 その余の救済申立てを棄却する。
Ⅱ その余の本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2620 反組合的言動
3106 その他の行為
会社から貸与された分会掲示板に掲示した掲示物で会社が撤去した14点のうち、交代制職場で組合員間の連絡・情報共有の必要性が高かったこと及び掲示板の設置場所が一般第三者の立ち入りが制限された車両基地内で一般公衆の眼に触れることが少ないこと等を考慮すると、社長のプライバシーに踏み込んだ個人攻撃の内容の掲示物、助役の個人名を挙げて不良管理者等と誹謗中傷する記載のある掲示物、科長のプライベートな時間における言動を取り上げて誹謗中傷する記載のある掲示物の3点は労働協約の撤去要件に該当するが、これらを除く11点の掲示物を撤去したことは、労働協約の定める撤去要件に該当するとはいえず、組合結成以来の厳しい労使の対立関係の中で、会社が自らに都合の悪い11点の掲示物を一方的に撤去したものと認められ、これは労組法7条3号に該当する支配介入の不当労働行為と判断できるとされた例。
|
業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
|
評釈等情報 |
 
|