労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  毎日放送  
事件番号  中労委昭和43年(不再)第6号  
再審査申立人  株式会社毎日放送  
再審査被申立人  毎日放送労働組合  
命令年月日  昭和44年7月2日  
命令区分  棄却  
重要度   
事件概要   本件は、春闘に際し、組合が放送中継車に対してピケッテイングを行ったこと、生放送中のスタジオの隣室で組合員が労働歌等を高唱して放送妨害を行ったこと等を理由として、組合三役らを解雇したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、初審大阪地労委は、会社に対し、懲戒解雇及び諭旨解雇の取消し、原職復帰及びバックペイを命じ、その他の申立てを棄却した。
 会社は、これを不服として再審査を申し立てた。  
命令主文  本件再審査申立を棄却する。  
判断の要旨  1 スポンサー招待ゴルフ大会で行われたビラ配布は、春闘に関する会社の態度を不満として、同大会出席の社長に抗議し、スポンサーに争議の実情を訴え、組合の立場を理解してもらう意図に出たものと認められ、ビラの内容もおおむねその目的にそったものと認められるから、不当な組合活動であるとは認め難い。
2 組合が、多数のビラやステッカーを社屋に貼付した行為は、中には行きすぎと見られるものもないではないが、組合執行部が、ガラス、タイル等の部分にセロテープ等で貼り、内容も個人中傷を禁止していた態度からみて、これを一貫した加害意図で行われた一連の加害行為として認めることはできない。
3 組合集会で鉄扉を乱打したのは、会社が音楽を大音響で放送し、集会が不可能になるような措置を講じたことに刺激されて行われた偶発的なもので、当時ストが実施されていたこと等を勘案すれば、これが会社の業務に重大な影響を与える活動とは認められない。
4 マラソン放送中継車等に対するピケは、ストの実効を確保するために行われたもので、スクラムによる若干のもみあいとなつた程度で、威迫、暴力行使の事実はなく、団交を拒否した会社にも、一半の責任がなかつたとはいえず、全体としてみるとき、組合活動としての正当性の範囲を著しく逸脱したものと認めることはできない。
5 Dスタジオ副調整室でのピケは、管理職を動員して放送を実施しようとしたことに対抗して行われたもので、会社が同調整室の使用を断念したとしても、直ちにピケが正当な範囲をこえたものとは認め難く、またその際、暴力の行使や威迫が行なわれたとの資料はない。
6 会社の錠前取付が争議対策である以上、これに抗議して組合がピケを張ること自体これを直ちには不当とはいえず、長時間にわたり、作業員の工事をも阻止している点は多少の非難は免れないが、結局、組合は、警察官の要請によりピケを解き、錠前の取付けを認めていることなどを併せ考えると、本件ピケを正当な組合活動の範囲を逸脱したものとは認め難い。
7 組合の行った指名、部分および全面の時限ストは、目的が不明確なものではなく、組合員の処分につながる捜査協力に反対するために行われたものであって、これを正当な組合活動の範囲を逸脱したものとは認め難い。
8 予告なしのストについてみるに、労使間に事前通告に関する取り決めもなく、通告の遅延は、組合の手違いによったものと認められるので、放送事業の特殊性および公共性を考慮しても、通告が若干遅れたことをもって、直ちに違法なストライキであるとは認め難い。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪地労委昭和40年(不)第61号 一部救済 昭和42年12月27日
東京地裁昭和44年(行ウ)第173号 棄却 昭和50年3月25日
 
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