労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  関西大学 
事件番号  大阪地労委 平成14年(不)第1号 
大阪地労委 平成14年(不)第34号 
申立人  大阪教育合同労働組合 
申立人  全国労働組合連絡協議会大阪府協議会 
被申立人  学校法人関西大学 
命令年月日  平成15年12月11日 
命令区分  棄却(命令主文が棄却のみ又は棄却と却下) 
重要度   
事件概要  本件は、大学が、(1)組合員である特任外国語講師であるX1の雇用契約更新について、次年度以降更新を行わない旨明記した平成13年度雇用契約書に署名を求め、平成14年度以降、雇用を継続しなかったこと、(2)組合員である非常勤講師X2の労働条件変更について、組合との事前協議をせず、同14年度授業担当コマ数の削減等を通告したこと、(3)特任外国語講師の契約更新回数制限撤廃等に関する団交に誠実に応じなかったこと、(4)非常勤講師雇用規程の制定に際し、学内の3つの別組合には提案・協議し意見書の提出を求めたが、組合に対しては提案・協議を行わず、労働基準監督署への規程の届出後に通告したこと、(5)組合員の雇用保険の加入について、組合に事前協議をしなかったことが不当労働行為であるとして争われた事件で、申立てを棄却した。 
命令主文  本件申立てを棄却する。 
判定の要旨  4822 混合組合
本件において、使用者は民間団体であって、たとえ、本件申立人組合が地方公共団体の職員を含む混合組合であったとしても、およそ地公法適用との競合は当事者間で問題となり得ず、また、本件の労使関係にあっては、労働組合法適用組合員しか存在しないのであるから、申立人組合の二面的性格を問題にするまでもなく、労働組合法が適用されると解すべきであり、民間使用者及び民間労働者を両当事者とする本件の労使関係の下では、申立人組合について、不当労働行為救済申立ての申立人適格を認めるのが相当であるとされた例。

4823 上部団体
一般に、連合団体である上部組合は、その下部組織に属する労働組合に対する侵害行為に対しては当然に利害関係を有することから、当該下部組合に対する不当労働行為については申立てをなし得ると解すべきであり、本件における上部組合についても、不当労働行為救済申立制度上の申立人適格を認めるのが相当であるとされた例。

1106 契約更新拒否
大学は、特任外国語講師の雇用契約回数が最大3回(3年)までであることを廃止することについても、組合員に限って継続雇用する取扱いについても、いずれも明確に拒否する姿勢を貫いており、X1の雇用継続についての合意はなく、雇用継続への期待を持たせるような状況にも至っていたとはいえないから、たとえ組合との間で本件要求について継続協議することの合意があったとしても、協議が整うまでの間、組合の要求を暫定的にせよ受け入れることを義務付けられるものではなく、また、組合の組合員以外の特任外国語講師が3年を超えて雇用継続されたとの疎明もないことを併せ考えると、X3の雇用を継続しなかった大学の行為は、組合員であるがゆえのX3に対する不利益取扱い及び、組合に対する支配介入のいずれにも該当するとはいえないとされた例。

3106 その他の行為
組合と大学との間には、事前協議・同意約款は締結されていないのであるから、大学は事前協議等を義務付けられるものではないこと、本件コマ数の削減及び担当学部の変更について、大学はX4に対して直接通知し、組合からの抗議を受けた後、X2に対し、一応の理由を示すとともに、空きが出たら優先的にお願いする旨連絡していること、申立後において大学はX4の授業持ちコマ数を四コマに復元したが、このことは大学が経済的な不利益を生じさせないために復元したものとみることができ、結果において、労働条件等の不利益変更があったとはいえず、また、X4に対する当初のコマ数の削減が組合員であることを理由になされたものと判断することもできないこと、さらに、担当学部を変更したことに関しては、その具体的な不利益に関する疎明がないことから、大学が、組合と協議することなく、担当コマ数削減及び担当学部を変更したこと並びにコマ数の復元を本人に直接通知した行為は支配介入に当たらないとされた例。

2240 説明・説得の程度
2307 その他
団体交渉において、大学は、組合からの要求事項について、一定の理解を示しつつこれを拒否する場合は、その理由を示すとともに、さらに、今後とも話合いを継続することを確認しているのであるから、大学が譲歩しなかったことをもって、組合の特任外国語講師の契約更新回数制限撤廃等三つの要求事項に対して、必ずしも不誠実な対応であったとまではいえないとされた例。

2901 組合無視
3106 その他の行為
大学による非常勤講師雇用規程の行政官庁への届出に際し、学内三組合には意見書の提出を求め、組合に対しては意見書の提出を求めなかったことについて、大学には、学内に過半数を組織する労働組合が存在せず、意見書を求めるべき「労働者の過半数を代表する者」の範囲については行政官庁間でも解釈上の疑義があり、必ずしも明確でなかったこと、大学は、昭和58年頃、就業規則を届け出た際、担当監督官から、学内三組合の意見書を添付すればよいとの指導を受け、以後、その指導の下に手続をしてきた経緯があること、大学は、組合との三回行われた団交において、組合に対し、非常勤講師雇用規程を制定し、契約書を交わして雇用条件を明示する旨事前に説明していることが認められ、これらの事実を併せ考えると、大学が組合に意見書の提出を求めなかったことは、組合を差別又は無視することを意図した労働組合法第7条第3号の不当労働行為であるとまではいえないとされた例。

2250 未妥結・打切り・決裂
2253 受取り拒否・申入れなし
2307 その他
2400 その他
雇用保険加入に関する従前の見解変更時に団体交渉を開催しなかったことについて、大学と組合との間で、大学が従前の見解を変更する場合、団交をするとの合意があったとまで認めることはできないこと、また、団交は、組合側が打ち切ったものであって、その後、本件審問終結時に至るまで、この件について組合側から団交申入れを行った事実も認められないことから、大学が団交義務を果たしていないとの組合の主張は採用できないこと、雇用保険の加入手続を直接組合員に通知したことについては、大学にいささか配慮に欠ける点があったことは否定できないが、組合員の雇用保険加入の手続は、組合が大阪労働局に働きかけたことによって、同労働局から大学に加入させるよう指導がなされ、大学がこれに応じたことによるものであることから、大学が大阪労働局の指導に基づき、組合員に直接通知した行為は、雇用保険加入の事務処理上の行為であって、組合を軽視又は無規する意図によるものということはできないことから、これが支配介入には当たらないとされた例。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献   
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪地労委 平成15年(不)第11号 棄却(命令主文が棄却のみ又は棄却と却下) 平成15年12月11日
中労委 平成15年(不再)第64号
中労委 平成15年(不再)第65号
再審査棄却(初審命令をそのまま維持) 平成17年 6月 1日
 
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