労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  フジックス 
事件番号  熊本地労委 平成11年(不)第3号 
申立人  X3 
申立人  全日本建設交運一般労働組合熊本合同支部 
申立人  X2 
被申立人  フジックス株式会社 
命令年月日  平成13年 9月20日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)分会書記長に対する配車差別、(2)分会アンケート配布、会社事務室無断立入り等を理由とした分会書記次長に対する二度にわたる出勤停止処分が、それぞれ不当労働行為であるとして争われた事件で、会社に対し、(1)分会書記長に対する配車差別を止め、配車差別前と同程度の配車を行うこと及び配車差別がなければ得たであろう賃金相当額の支払い、(2)分会書記次長に対する二度の出勤停止処分がなかったものとしての取扱い及び処分がなければ受けたであろう賃金相当額の支払い、(3)組合員に対する配車差別及び出勤停止等の不利益取扱いを行うことによる支配介入の禁止、(4)文書掲示を命じた 
命令主文  主 文
1 被申立人は、申立人X2に対する配車差別を止め、配車差別前と同程度の配
 車を行わなければならない。
2 被申立人は、申立人X2に対し、平成11年7月から平成12年11月まで
 の間(ただし、平成12年6月乃至同年9月を除く)において配車差別がなけ
 れば受けたであろう賃金相当額及びこれに年率6分の割合による金員を付加し
 て支払わなければならない。
3 被申立人は、申立人X3に対する平成11年9月2日から同月3日までの出
 勤停止処分及び同年11月10日から同月16日までの出勤停止処分を取り消
 し、処分がなかったものとして取り扱うとともに、各処分がなければ受けたで
 あろう賃金相当額及びこれに年率6分の割合による金員を付加して同人に支払
 わなければならない。
4 被申立人は、申立人組合員らに対し配車差別及び出勤停止などの不利益取扱
 いを行うことなどにより、申立人組合の組織及び運営に支配介入してはならな
 い。
5 被申立人は、本命令書写しの交付の日から7日以内に、縦1メートル、横7
 0センチメートルの白紙に下記のとおり墨書して、被申立人本社の見やすい場
 所に、10日間掲示しなければならない。
                 記
                             年 月 日
  全日本建設交運一般労働組合熊本合同支部
   執行委員長  X1  様
                     フジックス株式会社
                     代表取締役   Y1
  当社が行った以下の行為は、熊本県地方労働委員会において、労働組合法第
 7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。
  今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
 (1)平成11年6月23日からの貴組合の組合員X2に対する配車差別。
 (2)貴組合の組合員X3に対する平成11年9月2日から同月3日までの出
   勤停止処分及び同年11月10日から同月16日までの出勤停止処分。
 (3)貴組合の組合員らに対し配車差別及び出勤停止などの不利益取扱いを行
   うことなどにより、貴組合の組織及び運営に支配介入したこと。 
判定の要旨  1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
分会書記長に対する本件配車措置は、全社的な労働時間の短縮の一環とも言えず、また、分会書記長の指摘を受けた改善とも言えず、必要性及び合理性がなく、同人が分会員の起こした業務上の事故の裁判で証言等を行うなど正当な組合活動を行ったことに対する配車差別としての不利益取扱いで、労働組合法7条1号に該当する不当労働行為であるとともに、組合に対する支配介入行為で、労働組合法7条3号に該当する不当労働行為であるとされた例。

0200 宣伝活動
1401 労務の受領拒否
分会書記次長のアンケート配布は、勤務時間外又は賃金の支給対象外である時間帯に平穏になされたことから、正当な組合活動の範囲内の行為であり、また、アンケート配布により会社に実害がなかったこと、及び従来会社内で印刷物配布行為があっても処分した例がなかったことを考慮すると、同人に対する出勤停止処分は、労働組合法7条1号に該当する不当労働行為であるとともに、労働組合法7条3号に該当する不当労働行為であるとされた例。

0700 職場規律違反
1401 労務の受領拒否
分会書記次長の会社事務室への無断立入り、運転室の清掃指示違反及びA営業所への無断立寄りを理由とした始末書提出及び出勤停止の懲戒処分のうち、営業所への無断立寄りは就業規則違反ではなく、また、会社事務室への無断立入り及び運転室の清掃指示違反は、いずれも出勤停止処分まで科すに至らない軽微な行為であり、出勤停止処分には必要性及び合理性がなく、分会書記次長のアンケート配布という正当な組合活動を嫌悪してなされた不利益取扱いで、労働組合法7条1号に該当する不当労働行為であるとともに、労働組合法7条3号に該当する不当労働行為であるとされた例。

5200 除斥期間
分会書記次長に対する二度目の出勤停止処分は処分から1年を経過しているが、同処分は、当初申立てがあってから1か月にも満たない時期に行われていること、処分するに至らない軽微な行為等を取り上げて処分していることから、一度目の処分でみられた嫌悪感があったものと推認でき、二度目の処分に係る申立事項は一度目の申立事項と実質的に連続して一体をなすものであり、これは当初申立ての内容を拡張したものとみるべきで、本件審査の対象とすべきであるとされた例。

4411 配転・転勤・出勤停止・下車勤等の場合
分会書記長の配車差別にかかる賃金相当額の算定に当たっては、業務量の季節的変動を考慮して、本件配車差別前6か月の平均月額賃金額をもって算定するのが相当であるとされた例。

4411 配転・転勤・出勤停止・下車勤等の場合
分会書記次長の二度の出勤停止に対する救済における「賃金相当額」は、労働基準法12条の平均賃金により算定した額とし、第二次処分の平均賃金の算定にあたっては、第一次処分の取消しによる賃金相当額を加算するものとされた例。

4406 バックペイに利子・付加金を付したもの
分会書記長の配車差別及び分会書記次長の二度の出勤停止処分に対する救済として、これら行為がなかったら受けたであろう賃金相当額に年6分の付加金を支払うよう命じた例。

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集121集134頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
熊本地裁 平成13年(行ウ)第14号 棄却 平成16年3月18日
福岡高裁 平成16年(行コ)第10号 一部取消 平成17年1月19日
最高裁平成17年(行ツ)147号
最高裁平成17年(行ヒ)157号
上告棄却・上告不受理 平成19年5月23日
 
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