労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  フジックス 
事件番号  福岡高裁平成16年(行コ)第10号 
控訴人  フジックス株式会社 
被控訴人  熊本県労働委員会 
被控訴人補助参加人  個人X1ら2名 
被控訴人補助参加人  全日本建設交運一般労働組合熊本合同支部 
判決年月日  平成17年 1月19日 
判決区分  一審判決の一部取消し 
重要度   
事件概要  本件は、会社による分会書記長X1に対する配車差別及び分会書記次長X2に対する会社構内等における組合活動等を理由とする出勤停止処分が不当労働行為であるとして争われた事件で、熊本県労委は、会社に対し、(1)X1に対する配車差別を止め、配車差別前と同程度配車を行うこと及び配車差別がなければ得たであろう賃金相当額の支払、(2)X2に対する出勤停止処分がなかったものとしての取扱い及び処分がなければ受けたであろう賃金相当額の支払、(3)組合員に対する配車差別及び出勤停止等の不利益取扱いを行うことによる支配介入の禁止、(4) 
判決主文  1 原判決を次のとおり変更する。
(1)被控訴人が、熊労委平成11年(不)第3号不当労働行為救済申立事件について、平成13年9月20日になした命令の主文第3項及び第5項中、被控訴人補助参加人X2に対する平成11年11月10日から同月16日までの出勤停止処分に関する部分を取り消す。
(2)控訴人のその余の請求を棄却する。
2 訴訟費用は、第1、2審とも、これを5分し、その4を控訴人の、その余を被控訴人の負担とし、参加によって生じた費用は、被控訴人補助参加人X1及び同全日本建設交運一般労働組合熊本合同支 
判決の要旨  1302 就業上の差別
X1に対する配車差別を組合運営に支配介入を図った不当労働行為に当たるとした原判決が相当であるとされた例。

4406 バックペイに利子・付加金を付したもの
4601 「抽象的不作為命令」を命じた例
地労委が配車差別の不当労働行為の救済として、差額賃金及びこれに対する遅延損害金の支払を命ずるとともに、配車差別を止め、配車差別前と同程度の配車を行うように命じ、併せてポスト・ノーティス命令や抽象的不作為命令を発したことは、不当労働行為救済制度の目的からして、裁量権の範囲を逸脱し又は違法があるとまでは認め難いとする原判決が相当であるとされた例。

0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
1400 制裁処分
X2が会社構内で行った組合活動は問責や制裁の対象とならない正当な組合活動と評価しうるから、同人に対する本件第一処分は、会社の不当労働行為意思に基づく不利益処分に当たるというべきであり、また、X2の組合における地位に照らせば、これにより組合の組織、運営に対し支配介入を図ったものとする原判決が相当であるとされた例。

5200 除斥期間
X2に対する本件第二処分は、同人が会社の本社事務所に無断で立ち入り、通常の運行経路を迂回して荒尾営業所に立ち寄り、運転室内の清掃を怠り、かつ清掃を行った旨の虚偽報告をしたことを処分理由とするものであって、同処分は平成11年11月9日になされ、その出勤停止期間も同月16日に満了しているのであるから、補助参加人らが救済申立ての趣旨を拡張し、本件第二処分について撤回を求めたのは、それから1年以上後の平成12年11月30日であり、労組法27条2項の行為の日から1年を経過後申し立てということになり、補助参加人らが処分から1年以内に申立ての趣旨を拡張して同処分の取消等を求めるに当たっての支障となるべき事実は何ら認められないことを勘案すると、本件第二処分の申立期間を徒過したもの解すべきであり、その余の点を判断するまでもなく、本件救済命令のうちX2に対する本件第二処分に関する部分(平成11年11月10日から同月16日までの出勤停止処分を取り消した部分及び同期間の賃金相当額として8万4392円とこれに対する付加金の支払を命じた部分並びに本件第二処分についての文書掲示を命じた部分)は、労組法27条2項の解釈を誤ったものとして不当であるとされた例。

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献   
評釈等情報   

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
熊本地労委平成11年(不)第3号 全部救済 平成13年9月20日
熊本地裁平成13年(行ウ)第14号 棄却 平成16年3月18日
最高裁平成17年(行ツ)147号
最高裁平成17年(行ヒ)157号
上告棄却・上告不受理 平成19年5月23日
 
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