労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  鴻池運輸 
事件番号  中労委平成12年(不再)第13号 
再審査申立人  関西合同労働組合 
再審査被申立人  鴻池運輸株式会社 
命令年月日  平成14年10月23日 
命令区分  一部変更(初審命令を一部取消し) 
重要度   
事件概要  会社が、労災事故を契機に組合に加入した従業員の治療及び復帰の問題を議題とする団交申し入れに対して、申立外K組合との間に唯一団交条項及びユニオン・ショップ条項を含む協約を締結していること、また、当該組合員が申立外K組合の組合員でもあることを理由に団交に拒否したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、兵庫地労委は、申立てを棄却した。
 組合はこれを不服として再審査を申し立てたところ、中労委は、初審命令を変更し、団交拒否、組合の存在の否認に関する文書手交を命じ、その余の救済立てを棄却した。 
命令主文  I 初審命令主文を次のとおり変更する。
 1 鴻池運輸株式会社は、関西合同労働組合に対し、下記の文書を速やかに手
  交しなければならない
                 記
                             年 月 日
  関西合同労働組合
   執行委員長  X1  殿
                       鴻池運輸株式会社
                        代表取締役  Y1
   当社がX2氏の労災問題を議題とする貴組合からの団体交渉申入れに対し
  て、K労組との間で唯一交渉団体条項及びユニオン・ショップ条項を含む基
  本労働協約を締結していること、また、X2氏がK労組の組合員でもあるこ
  とを理由として、貴組合との団体交渉を拒否したこと、及びその結果として、
  当社内での貴組合の結成・存在を認めず、貴組合の運営に支配介入したこと
  は、中央労働委員会によって、労働組合法第七条第二号及び第三号に該当す
  る不当労働行為であると認定されました。
   今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
 2 その余の救済申立てを棄却する。
II その余の再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  2111 唯一交渉団体条項
使用者が別組合との間で唯一交渉団体約款を締結していることを理由に、その従業員が所属する労働組合からの団交申入れを拒否することはできないとされた例。

2111 唯一交渉団体条項
交渉の対象となっている組合員が別の労働組合の組合員であることを理由に団交申入れを拒否することは、別の労働組合から同一事案を議題とする団交申入れがあるなどの事情が認められる場合を除き許されないとされた例。

2111 唯一交渉団体条項
4835 二重加盟労働者の救済
会社が、組合からの団体交渉申し入れに対して、申立外K組合との間で唯一団交条項及びユニオン・ショップ条項を含む基本労働協約を締結していること、また、当該従業員が申立外K組合の組合員でもあることを理由として、団体交渉には応じられないとする態度を示し、また、合意事項についての労働協約の締結を拒否したことは、正当な理由なくして組合との団体交渉を拒否し、その結果として会社内での組合の結成・存在を認めず、組合の運営に支配介入したものであり、労働組合法第七条第二号及び第三号の不当労働行為に当たるとされた例。

4505 その他
4835 二重加盟労働者の救済
会社は、組合との団体交渉に応じ、今後とも応じるとしているが、その理由は当該従業員の申立外K組合からの脱退に伴い、「二重在籍状態が解消され、唯一交渉団体約款の拘束から解放された」というものであり、会社内に複数に労働組合が存し、二重在籍の組合員がいる場合において、唯一交渉団体約款を締結していない労働組合から団体交渉の申し入れがあった場合にも応じなければならないことを認めたものではないから、会社に団交拒否、組合の存在の否認に関する文書を手交させ、再発防止を図ることが相当であるとされた例。

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集124集762頁 
評釈等情報  中央労働時報 2003年1月10日 1006号 23頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
兵庫地労委平成10年(不)第11号 棄却(命令主文が棄却のみ又は棄却と却下)  平成12年 2月15日 決定 
東京地裁平成14年(行ウ)第441号 請求の棄却  平成16年 3月 4日 判決 
東京高裁平成16年(行コ)第126号 控訴の棄却  平成16年 9月15日 判決 
 
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