概要情報
事件名 |
大阪ローリー運輸/双辰商会 |
事件番号 |
大阪地労委 平成13年(不)第48号
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申立人 |
大阪ローリー運輸労働組合 |
被申立人 |
有限会社双辰商会 |
被申立人 |
大阪ローリー運輸株式会社 |
命令年月日 |
平成14年12月 9日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、実質的に同社と同一の企業であるS商会への事業移管等を図って、自己破産の申立てを行い、組合員全員を解雇に至らしめたこと及び申立人組合の消滅を図ったことが不当労働行為であるとして争われた事件で、S商会による誠実団交応諾並びに会社及びS商会による文書手交(会社の自己破産、組合員の解雇、組合の消滅を図ったこと等に関して)を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人有限会社双辰商会は、大阪ローリー運輸株式会社の自己破産等に伴 う大阪ローリー運輸労働組合に所属する組合員の雇用問題に関し、新たな労働 条件を提示し雇用する案又は一定の金銭的解決方法等を提示するなどして、大 阪ローリー運輸労働組合との間で誠実に協議しなければならない。 2 被申立人大阪ローリー運輸株式会社及び同有限会社双辰商会は、申立人大阪 ローリー運輸労働組合に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 年 月 日 大阪ローリー運輸労働組合 代表者 執行委員長 X1 様 大阪ローリー運輸株式会社 代表取締役 Y1 代表取締役 Y2 有限会社双辰商会 代表取締役 Y3 大阪ローリー運輸株式会社及び有限会社双辰商会が行った下記の行為は、 大阪府地方労働委員会において、労働組合法第七条第一号及び第三号に該当 する不当労働行為であると認められました。今後このような行為を繰り返さ ないようにいたします。 記 大阪ローリー運輸株式会社の経営不振に乗じ、同社から有限会社双辰商会 への業務及び財産等を事前に移管するなどした上で、大阪ローリー運輸株式 会社の自己破産、大阪ローリー運輸労働組合の組合員の解雇に至り、組合の 消滅を図ったこと。 |
判定の要旨 |
1700 偽装解散
1800 会社解散・事業閉鎖
会社と組合は厳しい対立関係にあったこと、組合は、労働基準監督署に労働基準法違反の指導を求めたり、組合分会と共闘して団体交渉を開催し、活発な組合活動を展開したこと、それを機にS商会への資産、従業員、業務等に係る移管の動きも顕著になったこと等の事実を総合的に判断すると、会社は、経営不振が続き自己破産申立てに至った状況に乗じて、組合を一挙に消滅させ、組合の影響力の及ばないS商会において実質的な会社再建・継続を図ろうとしたとみることが相当であり、こうした一連の行為は、組合員を不利益に取り扱うとともに、組合を消滅させることを企図した労働組合法第七条第一号及び第三号の不当労働行為に当たるとされた例。
4908 営業譲渡後の譲受人
会社につき破産決定がなされたとはいえ、会社の貨物運送事業はS商会を受け皿として継続されていると判断でき、両社は法人格は異なるものの、実質的に一体の企業とみるのが相当であり、S商会の使用者性は明らかであるから、不当労働行為責任については、S商会は会社と共に責任を負うべきであるとされた例。
4602 組合との協議を命じた例
組合と破産管財人との間で労働債権に関する一定の合意がなされていること及びS商会が会社よりも従業員規模が小さいこと等に鑑み、S商会は、会社の自己破産等に伴う組合員の雇用問題に関し、新たな労働条件を提示し雇用する案又は一定の金銭的解決方法等を提示するなどして組合との間で誠実に協議しなければならないことを命じるのが相当であるとされた例。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集124集458頁 |
評釈等情報 |
 
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