事件名 |
大阪ローリー運輸/双辰商会 |
事件番号 |
大阪地裁平成14年(行ウ)第186号
平成15年(行ウ)第4号
|
原告 |
有限会社双辰商会(第1事件原告) |
被告 |
大阪府地方労働委員会(第2事件被告) |
被告参加人 |
大阪ローリー運輸労働組合(第2事件原告) |
判決年月日 |
平成15年11月26日 |
判決区分 |
救済命令の全部取消し |
重要度 |
|
事件概要 |
訴外O会社が、実質的に同社と同一の企業である会社への事業移管等
を図って、自己破産の申立てを行い、組合員全員の解雇に至らしめたこと及び申立人組合の消滅を図ったことが不当労働行為であ
るとして争われた事件で、大阪地労委は、会社に対し誠実団交応諾、O会社及び会社に対し文書手交(事業移管、O会社の自己破
産、組合員の解雇、組合の消滅を図ったことに関して)を命じたところ、これを不服として、組合及びO会社が行政訴訟を提起し
た。大阪地裁は、救済命令を取り消した。 |
判決主文 |
1 被告が、平成13年(不)第48号事件について、平成14年
12月9日付けでした不当労働行為救済命令を取り消す。
2 訴訟費用のうち、参加によって生じた部分は原告組合の負担とし、その余は第1事件及び第2事件を通じて被告の負担とす
る。 |
判決の要旨 |
1700 偽装解散
1800 会社解散・事業閉鎖
O会社は、経営状態が悪化したため、利益の一部につき会社への移転を図るとともに、自社の業務を関連会社である会社に移管し
て、事業の継続を図ったものと推認され、破綻に瀕した企業がそのような方法で利益や業務を関連会社に移転して、事業の継続を
図ることはしばしば見られるから、これを直ちに、業務移転等の目的が主としてO会社を清算することによって組合を消滅させ、
組合員らを解雇するためであったと推認することはできないとされた例。
1700 偽装解散
1800 会社解散・事業閉鎖
組合は、臨時大会で選出された新執行部がO会社と厳しく対峙するとの方針を決定した後は、O会社と対立し、組合活動を積極的
に展開するようになったことが認められるが、他方、組合が破産申立てに至るまでO会社との対立関係を厳しく貫いたというわけ
でもないこと等から、組合が新執行部体制に移行した後に業務移管等が行われているからといって、その体制移行後、O会社に組
合を消滅させる意図が生じたと認めることは困難であるとされた例。
1700 偽装解散
1800 会社解散・事業閉鎖
O会社が破産申立てを行った直接のきっかけは、銀行取引停止処分を受けたためであり、O会社の代表取締役2名も、O会社の債
務を連帯保証し、支払不能の状態による自己破産の申立てを行い、それぞれ破産宣告を受けたことが認められることから、本件破
産申立て及びそれに伴う本件解雇自体が組合の消滅を企図したものであるということはできないとされた例。
1700 偽装解散
1800 会社解散・事業閉鎖
4908 営業譲渡後の譲受人
管財人によって解雇されたO会社の従業員は、組合員であるか否かを問わず、その後会社に雇用されていないし、会社の全株式は
会社代表者が所有しており、O会社の元代表者は会社の取締役等には就任していないことが認められ、これらの点に照らすと、O
会社と会社が実質的に同一であるとは断定し難いとされた例。
1700 偽装解散
1800 会社解散・事業閉鎖
6342 不利益取扱いに関する不当労働行為の成否の判断の誤り
6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
上記を総合考慮すると、O会社が、破産申立てに至った状況に乗じて、組合を一挙に消滅させ、組合の影響力の及ばない会社にお
いて実質的なO会社再建・継続を図ろうとしたと認めることはできず、本件破産申立て、本件解雇やそれに至る一連の行為は不当
労働行為に該当せず本件初審命令は違法であるとされた例。
|
業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
|
評釈等情報 |
中央労働時報 2004年 7月10日 1030号 47頁
|