事件名 |
辰巳自動車教習所 |
事件番号 |
中労委 平成11年(不再)第36号
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再審査申立人 |
株式会社辰巳自動車教習所 |
再審査被申立人 |
全労連・全国一般労働組合千葉地方本部 |
再審査被申立人 |
全労連・全国一般労働組合千葉地方本部辰巳自動車教習所分
会 |
命令年月日 |
平成14年 2月 6日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)組合員に対し組合からの脱退を勧奨したこと及び
(2)組合からの申入れに基づく団体交渉を拒否したことが争われた事件で、千葉地労委は、会社に対し、(1)組合員に対する
脱退勧奨の禁止、(2)組合から団体交渉の申入れがあったときは誠実に応じること及び(3)謝罪文の手交及び掲示を命じ、そ
の余の申立てを棄却した。会社はこれを不服として再審査を申し立てたが、中労委は、初審命令の一部を変更し、その余の本件再
審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
I 初審命令主文第2項を取り消し、第3項を次のとおり変更し、同
項を第2項
とする。
2 再審査申立人は、再審査被申立人らに対し、本命令書受領の日から1週間
以内に、下記の文書を手交するとともに、縦1メートル、横1.5メートル
の白紙に下記の内容を明瞭に記載し、再審査申立人の従業員の見やすい場所
に、10日間掲示しなければならない。
記
平成 年 月 日
全労連・全国一般労働組合千葉地方本部
執行委員長 X1 殿
全労連・全国一般労働組合千葉地方本部辰巳自動車教習所分会
執行委員長 X2 殿
株式会社辰巳自動車教習所
代表取締役 Y1 印
当社が、貴組合の組合員に対して、貴組合からの脱退を勧奨したこと及び平
成9年8月28日に貴組合が申し入れた団体交渉を、次長代理及び課長が貴組
合に加入していることを理由に拒否したことは、中央労働委員会によって、労
働組合法第七条第二号及び第三号に該当する不当労働行為であると認定されま
したので、 今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
II 初審命令主文第4項を第3項とする。
III その余の本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
4825 その他
5130 法2条但書との関係
組合員X3及びX4の職務権限等についてみると、両名はともに一般の従業員と同様の業務に従事し、従業員の雇入れ、解雇、昇
進又は異動に関して直接的な権限を持つ監督的地位にある労働者であったとは認められないことからすれば、両名は、会社におい
て管理職とされていたとしても、労働組合法第二条但書第一号に該当する「使用者の利益を代表する者」であったとは認められな
いとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2625 非組合員化の言動
3410 職制上の地位にある者の言動
組合員X3及びX4は、使用者の利益を代表する者とは認められないのであるから、会社がX3及びX4に対し、管理職にある者
が組合に加入していては会社の経営上支障があるので組合を脱退してほしい旨述べたことは、両名に対し分会からの脱退を勧奨し
たものであることは明らかであり、これを不当労働行為であるとした初審判断を維持した例。
2113 交渉団体として不適格
2242 回答なし
組合員X3及びX4は、使用者の利益を代表する者とは認められないのであるから、組合からの団体交渉申入れに対し、次長代理
及び課長の分会脱退が団体交渉開催の前提条件であるとして団体交渉を拒否したことに正当な理由があるとは認められず、これを
不当労働行為であるとした初審判断を維持した例。
4505 その他
5007 謝罪・陳謝・誓約文の手交・掲示
X3が退職して以降、分会員に課長以上の者は存在しなくなり、会社は、分会の団体交渉申入れに対し、団体交渉を行うことを了
承する旨回答し、会社及び分会は、団体交渉の手続に関する協約締結をめぐり話合いを行っていたとの経緯からすれば、団体交渉
応諾を命じた初審命令の背景となる事情は既に消滅したものといわざるを得ないので、初審命令が団体交渉応諾を命じた部分を取
り消し文書の手交及び掲示のみを命じた例。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集122集881頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 2002年5月10日 998号 16頁
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