概要情報
事件名 |
南労会(10年度及び11年度賃上げ等) |
事件番号 |
大阪府労委平成11年(不)第46号
平成11年(不)第105号
平成12年(不)第30号
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申立人 |
全国金属機械労働組合港合同南労会支部 |
申立人 |
全国金属機械労働組合港合同 |
被申立人 |
医療法人 南労会 |
命令年月日 |
平成14年 3月29日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
南労会が、(1)平成10年度及び同11年度賃上げについて、新賃金体系への移行に同意しなかった支部の組合員に定期昇給分の賃上げを実施しなかったこと、(2)平成10年度夏期及び年末並びに同11年度夏期の各一時金の算定について、支部と未合意の勤務時間変更に基づいた遅刻・早退等を控除の対象とすることを条件とし、その条件に従って控除し支部の組合員に支給したこと、(3)支部組合員X1及びX2に対して、警告書交付の処分等を理由に平成10年度夏期一時金が減額したことがそれぞれ不当労働行為であるとして争われた事件で、(1)平成10年度及び平成11年度分賃金について、それぞれ4月から定期昇給相当の賃上げをすること、(2)新賃金体系の移行について誠実に協議すること、(3)遅刻早退を理由とした平成10年夏期及び年末並びに同11年夏期の各一時金の減額について変更前の勤務時間に基づいて遅刻早退回数を計算して各一時金の減額分を算定し直し、既払額との差額を支払うこと等、(4)上記に関する文書の手交、を命じ、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人は、申立人らとの間で誠実に協議した上、全国金属機械労働組合港 合同南労会支部組合員に対して、平成10年度分の賃金については同10年4 月から、また、同11年度分の賃金については同11年4月から、定期昇給相 当分の賃上げを実施しなければならない。 2 被申立人は、全国金属機械労働組合港合同南労会支部組合員に対して平成1 1年8月に実施した新賃金体系への移行について、申立人らとの間で誠実に協 議しなければならない。なお、新賃金体系への移行に当たっては、過去の未実 施の賃上げ相当額を精算するなど、同支部組合員を除く被申立人職員と比較し て同支部組合員らに不利とならないようその移行方法について申立人らとの間 で誠実に協議して決定しなければならない。 3 被申立人は全国金属機械労働組合港合同南労会支部組合員に対し、遅刻早退 を理由として平成10年度夏季及び年末並びに同11年夏季の各一時金におけ る減額について、同3年8月4日以前の勤務時間に基づいて遅刻早退回数を計 算して各一時金の減額分を算定し直し、既払額との差額を支払わなければなら ない。 なお、平成10年度及び同年11年度の賃上げについて妥結に至ったときは 、この賃上げによって生じる同10年夏季及び年末並びに同11年夏季の各一 時金に係る差額を精算しなければならない。 4 被申立人は、申立人らに対し、下記の文書を速やかに手交しなければならな い。 記 年 月 日 全国金属機械労働組合港合同 委員長 X3 殿 全国金属機械労働組合港合同南労会支部 執行委員長 X4 殿 医療法人南労会 理事長 Y1 当医療法人が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組 合法第七条第一号、第二号及び第三号に該当する不当労働行為であると認めら れました。 今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。 記 (1)平成10年度及び同11年度賃上げ交渉において、新賃金体系に同意する ことを定期昇給による賃上げ実施の条件としながら、これについて十分協議 を行うなど誠意ある対応をしなかったこと及び貴組合員に対してのみこれら の定期昇給による賃上げを実施しなかったこと。 (2)平成11年8月に実施された新賃金体系への移行に際し、十分協議を行う など誠意ある対応をしなかったこと及びその移行方法についても誠実な協議 を行わず、過去の未実施の賃上げ相当額を精算しないまま新賃金体系に移行 し、貴組合員を不利益に取り扱ったこと。 (3)平成10年夏季及び年末並びに同11年夏季の各一時金について、遅刻早 退を理由とする控除を同3年8月4日以前の勤務時間に基づかずに実施した こと。 5 申立人らのその他の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
2240 説明・説得の程度
新賃金体系が賃金体系の抜本的変更であるにもかかわらず、組合らの求めに対し必要な資料等を示さず、十分な協議を行わなかったことに加え、具体的な移行方法に関して、組合らが問題提起をしているにもかかわらず、誠実な団体交渉を行っていないことは、労働組合法第七条第二号に該当するとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
新賃金体系を実施する以上、使用者は賃金格差が生じないように配慮する必要があり、新賃金体系への移行に際し、組合らの過去の未実施賃上げ分の精算に応じない行為は、労働組合法第七条第一号及び三号に該当するとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
2240 説明・説得の程度
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
新賃金体系への同意を定期昇給実施の条件としながら十分な説明や協議を行わないまま、組合らが新賃金体系に同意しないことを理由に、支部組合員の賃金を新旧いずれの賃金体系からも排除し、定期昇給を実施しないままこれを放置した行為は、労働組合法第七条第一号、二号及び三号に該当するとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
本協定は、賃上げと一時金をめぐる労使紛争が長期化する中で、平成3年年末以降、支部組合員にのみ一時金が支給されていない等の経過に鑑みると、不合理な条件を組合に押し付け締結に至ったものというべきであり、南労会が各一時金の算定において、本協定により、3年変更等による勤務時間を基準に、支部組合員の実際の勤務時間とのずれを遅刻あるいは早退として取り扱い、遅刻早退控除を実施した行為は、労働組合法第七条第一号及び三号に該当するとされた例。
0411 怠業
3604 労働者に落度がある場合
処分等控除の根拠となる警告書交付の対象となったX1及びX2の行為は、自己の主張を頑なに押し通そうとするもので、警告書交付等何らかの処分を受けてもやむを得ない行為であり、また、同人らが、警告書交付に先立って行われた懲戒処分や注意等に従って懲戒処分や注意の対象となった行為をやめることにより、警告書交付を回避しうる機会が与えられていたにもかかわらず、同じ行為を繰り返した点を併せ考慮すると、本件処分等控除を不当労働行為とみることはできず、この点についての申立てを棄却された例。
5002 不作為命令または不確定な内容の請求
過去の未実施賃上げ分については、いまだ合意に達しておらず、現時点において具体的な金額が確定していないのであるから、本件一時金の計算基礎となる基本給を協定のとおり、その算定期間の平均基本給に基づいて算出しても、これが直ちに不利益取扱いになるものではなく、この点についての申立てを棄却された例。
4413 給与上の不利益の場合
組合らは、平成10年度及び11年度の定昇による賃上げの実施並びに平成11年8月に実施された新賃金体系への移行がなかったものとしての取り扱い、従前の賃金体系の適用の継続を求めるが、定昇の具体的実施方法及び新賃金体系移行問題については、労使間で十分協議した結果に委ねられるべきであり、平成10年度及び平成11年度の定昇による賃上げの実施のみを命じるものであるとされた例。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集122集562頁 |
評釈等情報 |
 
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