概要情報
事件名 |
由倉(団交拒否等) |
事件番号 |
中労委 平成11年(不再)第22号
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再審査被申立人 |
由倉工業労働組合 |
命令年月日 |
平成13年12月 5日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、①組合委員長に対し、夏季一時金の考課査定分を低くしたこと、②同人に係る考課査定及び組合の書記長の配置について団体交渉を、地区労の役員が出席すること等を理由に拒否したこと、③社報に組合を誹謗中傷する記事を掲載し、これを冊子にして従業員の家族あてに郵送したこと④管理職が組合員らに対し組合からの脱退を強要したことが争われた事件で、①組合委員長に対する平成8年度夏季一時金の差額の支払い、②組合員の配置転換に関する誠実団交応諾、③組合が団体交渉の権限を委任した地区労役員の出席する団体交渉拒否の禁止、④社報に組合を誹謗中傷する記事を掲載し、これを冊子にして従業員の家族あてに郵送すること等による支配介入の禁止を命じ、その余の申立てを棄却した初審命令の一部を変更し、その余の本件各再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
I 初審命令主文第5項を第6項とし、第4項の次に第5項として次のとおり加 える。 5 被申立人は、管理職らをして申立人組合員らに対し脱退を強要してはなら ない。 II その余の本件各再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が、組合員X1の夏季一時金を低く査定したことは、同人の勤務成績を理由とするものではなく、X1が組合の委員長に就任して以降、組合が時間外拒否闘争や24時間ストライキの通告を行うなど労使対立が顕在化するなかで、同人が組合の中心的役割を果たしていたことを理由としてなされたものであるといわざるを得ず、組合員らに対する夏季一時金の低査定を労組法第7条第1号に該当する不当労働行為に当たるとした初審判断を維持した例。
2216 その他
2301 人事事項
組合員の配置転換等に関する団交が開催されないのは、事務所折衝において組合が十分な説明を行わなかったためというよりも、会社が組合員の配置転換等については団交議題にならないとの頑な態度をとったためであると見るのが相当であり、配置転換については、労働者の就労場所や従事する業務等労働条件の変更を伴うため、団交の対象となるものであるから、これを労組法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとした初審判断は相当であるとされた例。
2620 反組合的言動
社長自らが、社報において、明らかに組合に対する威嚇や反組合的な姿勢を鮮明にした記事を掲載していることなどを総合的に考慮すれば、会社は、組合の時間外拒否闘争やストライキを嫌悪し、反組合的及び報復的な意図のもとに、会社の方針として、社報への組合の活動を批判する記事の掲載を容認し、さらに、それを冊子にして従業員の家族あて郵送することによって、組合員の動揺を誘い、組合員の家族に不安を与えること等によって、組合の弱体化を企図したものであり、会社が社報に組合を誹謗中傷する記事を掲載し、それを冊子にして従業員の家族あて郵送した行為を労組法第7条第3号に該当する不当労働行為に当たるとした初審判断は相当であるとされた例。
2621 個別的示唆・説得・非難等
組合が平成8年度冬季一時金、平成9年度賃上げ及び夏季一時金が妥結しない状況の中で実施した半日ストライキの前後に、会社が管理職らをして組合員らに対して組合からの脱退を働きかけた行為は、会社が、組合の行った半日ストライキを嫌悪し、管理職らに組合員に対し電話をかけさせる等により、組合からの脱退を強く勧奨したものであると推認され、労組法第7条第3号に該当する不当労働行為であるとした初審判断は相当であるとされた例。
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業種・規模 |
一般機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集121集732頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 2002年4月 997号 15頁 
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