労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]  [顛末情報]
概要情報
事件名  南労会(紀和病院) 
事件番号  大阪地労委 平成 3年(不)第36号 
大阪地労委 平成 4年(不)第9号 
大阪地労委 平成 4年(不)第28号 
申立人  全国金属機械労働組合港合同 
申立人  全国金属機械労働組合港合同南労会支部 
被申立人  医療法人南労会 
命令年月日  平成11年10月 6日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、(1)法人の経営する病院が、分会書記長に対し、掲示物の無断撤去や病院への抗議の際に事務長の会議出席を阻止した(5.15事件)上、これら行為に対する注意警告書に従わなかったこと及び分会事務所破壊事件を調査中の事務長に全治5日間のけがを負わせたこと(2.22事件)等を理由に、同人の処分に係る団体交渉に応じないまま懲戒解雇としたこと、(2)法人が、分会事務所破壊事件に関する被害届を警察に提出し、法人独自の同事件に係る調査を打ち切ったこと、(3)事務長が、分会長に対し、分会長就任前には認めていた学習塾の活動を就業規則に規定する懲戒解雇事由に該当する可能性があるとして報告書の提出を求め、退職に追い込んだことがそれぞれ不当労働行為であるとして申立てのあった事件で、法人に対し、分会長に対する懲戒解雇がなかったものとしての取扱いを命じ、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人全国金属機械労働組合港合同南労会支部書記長X1に対し、平成4年6月30日付けで行った懲戒解雇がなかったものとして取り扱わなければならない。
2 申立人らのその他の申立ては棄却する。 
判定の要旨  3609 その他
組合らは、分会書記長の懲戒解雇処分について、法人が同人の処分等に係る団交を拒否したうえ、当該処分の理由となった2.22事件の目撃者である部長を賞罰委員長にして同事件の賞罰委員会を開催するなど、処分手続きに瑕疵があると主張するが、賞罰委員会の性格が使用者内部の処分手続であり、過去の賞罰委員会において分会が労働者側賞罰委員の選任に応じなかったという経過等も併せ考慮すれば、2.22事件の賞罰委員会の構成に適切さを欠いた点があったとしても、当該処分を無効とするほどの手続上の瑕疵があったとはいえないとされた例。

0208 暴力・不穏当な言動を伴った組合活動
1400 制裁処分
3601 処分の程度
3604 労働者に落度がある場合
12.25事件に係る事務折衝におけるX1書記長の行為は、到底許されるものではなく、正当な組合活動とはいえないものであり、法人が同行為について同人を譴責処分とし、始末書の提出及び同人が壊したテーブルの賠償を命じたことは、不当な処分とはいえないとされた例。

0204 団交・争議に付随する行為
1400 制裁処分
3500 処分の時期
3501 労働者の行為と不利益取扱の時期との関連
3601 処分の程度
3606 労働者のみの責任とすることが不当な場合
X1書記長に対する5.15事件に係る処分は、同事件の責めをX1書記長のみに帰すことは相当とはいえず、「注意警告書」による処理を予定していたにもかかわらず、勤務時間の変更をめぐり労使対立が激化した時期に賞罰委員会を開催して決定された事実からすると「注意警告書」を超える懲戒に該当するものとは解されないとされた例。

0208 暴力・不穏当な言動を伴った組合活動
0600 暴力行為
3601 処分の程度
3604 労働者に落度がある場合
X1書記長に対する2.22事件に係る処分は、同事件におけるX2書記長の行為は重大な人身事故を引き起こす危険性を含むものであり、到底正当な組合活動ということはできず、何らかの懲戒事由に該当することは明らかであるが、同事件に至る経過等を併せ考えると、12.25事件における行為を加味したとしても、懲戒解雇処分とすることは懲戒処分として相当性の範囲を超えるものといわざるを得ないとされた例。

0208 暴力・不穏当な言動を伴った組合活動
0600 暴力行為
3500 処分の時期
3501 労働者の行為と不利益取扱の時期との関連
3601 処分の程度
3700 使用者の認識・嫌悪
X1書記長に対する懲戒処分は、勤務時間の変更等を巡り対立状態にあった組合らを嫌悪するあまり、12.25事件、5.15事件及び2.22事件を奇貨として懲戒処分の相当性の範囲を超えて懲戒解雇処分としたものと判断するのが相当であり、かかる法人の行為は労組法七条一号及び三号に該当する不当労働行為であるとされた例。

3106 その他の行為
3701 他組合等との関係
組合らは、分会事務所破壊事件の調査を打ち切り、その後は同事件に係る団体交渉と一切の調査を拒否して警察に委ねるとの態度に固執している法人の行為は、別組合らを擁護し組合らの弱体化を企図した不当労働行為であると主張するが、法人は通常考えられる調査を行っており、執拗な調査はプライバシー侵害の問題を生じるおそれがあること等を併せ考えると、これ以上の調査は無理であると考え、警察にその調査を委ねたことも故なしとしないとされた例。

2621 個別的示唆・説得・非難等
3500 処分の時期
3501 労働者の行為と不利益取扱の時期との関連
4100 退職届けの提出
組合らは、事務長が、分会長に対し、勤務時間の変更を巡り労使関係が悪化した直後、従前は認めていた学習塾の活動を就業規則に規定する懲戒解雇事由に該当する可能性があるとして報告書を求め、同人を退職に追い込んだことが分会の弱体化を企図した不当労働行為であると主張するが、学習塾の活動が問題とされたのは従業員から就業規則違反ではないかとの疑問が寄せられたためであり、X3分会長は報告書の提出について争うことなく退職を申し出ていることなどから、自らの意思で退職したものと判断するのが相当であるとされた例。

5008 その他
労働委員会がX1書記長に対し懲戒解雇に代わる新たな懲戒処分を命じることは適当でないとして、懲戒解雇がなかったものとしての取扱いのみを命じた例。

4408 バックペイが認められなかった例
組合らが求めるX1書記長に対するバック・ペイについては、法人の同人に対する懲戒解雇に代わる新たな処遇と密接なかかわりを有するものであるとして、これを棄却した例

業種・規模  鉄道業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集115集110頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]

顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成11年(不再)第39・40号 一部変更 平成17年8月29日
東京地裁平成18年(行ウ)第194号 棄却 平成20年3月26日
東京高裁 平成20年(行コ)第201号 棄却 平成20年11月27日
 
[全文情報] この事件の全文情報は約382KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。