労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  神奈川県厚生農業協同組合連合会 
事件番号  神奈川地労委 平成 9年(不)第12号 
申立人  神奈川県厚生農業協同組合連合会労働組合 
被申立人  神奈川県厚生農業協同組合連合会 
命令年月日  平成11年 5月25日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  連合会が(1)組合員に脱退を勧奨し別組合の結成を支援したこと、(2)組合の教宣活動や役員選挙に介入したこと、(3)組合員1名を伊勢原病院の薬局長から厚木市の事務所の資材課長に配転したこと、(4)組合専従者の出席を理由に団体交渉を拒否したことなどが不当労働行為であるとして争われた事件で、支配介入の禁止・組合員1名の原職復帰及び団体応諾、文書掲示を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員に脱退を勧奨し、あるいは組合役員選挙や教宣活動に干渉するなどして、申立人組合の運営に介入してはならない。
2 被申立人は、申立人組合員X1に係る平成9年4月1日付け配置転換がなかったものとして取り扱い、同人を原職に復帰させなければならない。
3 被申立人は、申立人専従者が出席することを理由に申立人相模原支部との団体交渉を拒否してはならない。
4 文書掲示。 
判定の要旨  5200 除斥期間
組合員の範囲等に関する連合会幹部発言は、申立て時においては一年以上経過しているものの、ほかの支配介入行為との関連性を直ちには否定できるものではなく、一見して明らかに却下事由に該当するということはできないとされた例

3410 職制上の地位にある者の言動
組合員であっても、使用者から指示を受け、又はその意を体することにより支配介入を行うことは可能なのであるから、組合員であることのみをもって、被申立人の使用者としての不当労働行為責任が否定されるものではないとされた例

3410 職制上の地位にある者の言動
所属長、次長及び副総婦長は、部下に対する関係においては、使用者から一定の権限を付与されているのであるから、これらの者がその権限を用いて支配介入にあたる行為を行った場合、使用者として不当労働行為責任を免れないものであるとされた例

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
勤務時間中、部下を課長席に呼び出して「組合を抜けませんか。」と声をかけたり、脱退届の写しを提示する行為は、上司の地位を利用した脱退勧誘であるとされた例

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
上司の関与の下、職場ぐるみで行われる集団脱退表明を部下が拒むことは困難であり、加わらなかったものが2名いるからといって、加わった全員の署名・押印が自己の自由意志によるものだったかどうかは疑わしく、室員らの集団脱退表明は、上司の地位を利用した脱退勧誘であるとされた例

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
本採用となって間もない者が管理者からの組合脱退の勧めを拒むことは極めて困難と考えられ、脱退表明の任意性は疑わしく、管理職の地位を利用した脱退勧誘であるとされた例

1200 降格・不昇格
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
薬局長でありながら組合活動に熱心であったX1が降格人事ともいうべきかたちで配転となった事実を目前にすれば、他の組合員にとって、今後の組合活動は萎縮したものとなり、本件配転は、一般組合員、ことに管理職である組合員には、組合の側に立てば不利になるとの不安を抱かせ、組合活動に支障を生じさせるものとされた例

2624 組合人事への干渉
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
連合会は、脱退勧奨を告発したX1を現場から切り離すことを目的として配置転換を行い、更には組合役員選挙を通じて組合の執行部に対抗勢力を送り込む企てを行い、教宣活動においても組合員の活動を抑圧しようとした一連の行為は不当労働行為であるとされた例

2500 別組合の結成・援助
管理職らを中心に第二組合結成が一つの可能性として話し合われていたとしても、連合会が管理職らをして第二組合を結成させているとまでは認められないとされた例

2700 威嚇・暴力行為
春闘行動時のデモ隊列写真撮影は至近距離で行われたわけではない等により、管理者に認められる権限行使の範囲を超えるものではないとされた例

2123 その他交渉出席者
組合専従者が支部交渉に出席したことがないことにより、組合側の出席者に制約を加えることは、団体交渉権を無視するものとされた例

4500 交渉拒否理由または交渉条件に関する指示に触れた例
支部交渉における会の対応は、組合側の団交出席メンバーに制約を加えることにより支部交渉の形骸化を図ったものと考えられ、正当な理由を欠く団交拒否にあたるとされた

業種・規模  医療業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集114集36頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 平成11年(不再)第28号 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成14年 7月17日 決定 
東京地裁 平成14年(行ウ)第350号
東京地裁 平成14年(行ウ)第352号
救済命令の一部取消し  平成16年 1月28日 判決 
東京高裁 平成16年(行コ)第82号 一部取消  平成18年 3月22日 判決 
 
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