労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  東日本旅客鉄道(千葉動労スト処分) 
事件番号  千葉地労委 平成 2年(不)第3号 
申立人  国鉄千葉動力車労働組合 
被申立人  東日本旅客鉄道株式会社 
命令年月日  平成 8年 4月16日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、申立組合のストライキ闘争に関し、<1>お詫び広告を発表したこと、<2>準備に対する妨害・威嚇を行ったこと、<3>参加を理由として組合員を処分したことが不当労働行為であるとして争われた事件である。
 千葉地労委は、<1>ストライキに参加した組合員に対する勤務の取扱いを、「否認」又は「不参」から「争議」に変更すること、<2>会社の組合員に対する懲戒処分を撤回し、処分がなかったものとして取り扱うこと、<3>組合役員の施設への立入りを拒否するなどして組合員への指示・伝達を困難にしたことに対する謝罪文の交付を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人が平成2年3月18日正午から実施したストライキに参
加した申立人組合員に対する勤務の取扱いを、「否認」又は、「不参」から「争
議」に変更しなければならない。
2 被申立人は、平成2年7月17日付けないし23日付けで行った別表1記載
の申立人組合員に対する処分を撤回し、処分がなかったものとして取り扱わなけ
ればならない。
3 被申立人は、本命令受領後1週間以内に、下記内容の文書を申立人に交付し
なければならない。
                 記
 貴組合が平成2年3月19日から予定したストライキに際し、当社が組合役員
の当社施設への立ち入りを拒否するなどして、組合員への指示伝達を困難にした
ことは、今般千葉県地方労働委員会において、労働組合法第7条第3号に該当す
る不当労働行為であると認定されました。
 よって、当社は、再びこのような行為を繰り返さないようにいたします。
 平成  年  月  日
                        東日本旅客鉄道株式会社
 国鉄千葉動力車労働組合 様
              (注:年月日は、交付の日を記載すること。)
4 その余の申立ては、棄却する。 
判定の要旨  1400 制裁処分
 会社が繰上ストへの参加を理由として組合員141名を出勤停止などの懲戒処分に付したことにつき、ストは正当な争議行為であり違法ストではないとしてスト参加を理由とする懲戒処分を7条1号及び3号に該当する不当労働行為とされた例

2620 反組合的言動
 会社による繰上ストに関する社長談話の発表や各駅への掲示、当該ストに関する「お詫び」と題する広告記事等の掲載は、繰上げストに対する会社の見解や利用者への謝罪を意図するもので、組合の弱体心を図った支配介入ではないとされた例

3020 組合活動への制約
 本件ストに際し、従来のスト時に是認されていた組合役員の会社施設への立入りを禁止したこと等により、組合本部から組合員への指示伝達を困難にしたことが支配介入に該当するとされた例

3020 組合活動への制約
 本件ストに際し、組合員に対する休養室の使用を拒否したことは、予定ストに対し代替要因をより良い状態で勤務に就かせるために休養室を使用させるためにそうしたものであり、組合の運営に対する介入とはいえないとされた例

4614 文書手交のみを命じた例
 会社がストライキ対策として組合役員の会社施設への立入りを拒否したことが、労組法第7条3号の支配介入に当たると判断し、その救済方法として文書手交のみを命じた例

業種・規模  鉄道業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集104集393頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 平成 8年(不再)第10号/他 全部変更(初審命令を全部取消し)  平成15年 7月16日 決定 
中労委 平成 8年(不再)第8号/他 全部変更(初審命令を全部取消し)  平成15年 7月16日 決定 
東京地裁 平成15年(行ウ)第594号 請求の棄却  平成17年 2月28日 判決 
東京高裁 平成17年(行コ)第94号 控訴の棄却  平成18年 5月30日 判決 
 
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