事件名 |
忠恕福祉会 |
事件番号 |
大阪地労委 平成 5年(不)第25号
|
申立人 |
ユニオン・おおさか |
被申立人 |
社会福祉法人 忠恕福祉会 |
命令年月日 |
平成 8年 4月 5日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
|
事件概要 |
本件は、被申立人社会福祉法人忠恕福祉会が、<1>賃金等各種労働
条件に関する団交申入れ、<2>支部あて郵便物を開封及び返送したこと、<3>支部役員を誹謗中傷したこと、<4>特別休暇
を廃止したこと、<5>X1の定期昇給についての差別等が不当労働行為であるとして争われた事件である。
大阪地労委は、<5>については、定期昇給額の是正と既支給との差額の支払いを、また、<1>から<4>については、文書
手交を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員X1の平成5年度定期昇給額を、8、
000
円として賃金額を是正し、既に支払った額との差額及びこれに年率5分を乗じた
金額を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない
。
記
年 月 日
ユニオン・おおさか
執行委員長 X2 殿
社会福祉法人忠恕福祉会
理事長 Y1
当法人が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第
7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められました
。今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
記
(1) 平成5年度定期昇給において、貴組合かわきた園支部長X1氏を不
利益に取り扱ったこと。
(2) 平成5年3月30日に行われた貴組合との団体交渉において、誠実に協
議しなかったこと。
(3) 貴組合からの平成5年1月19日付け、同年1月23日付け及び同年2
月19日付けの貴組合かわきた園支部宛郵便物を開封し、また、貴組合かわきた
園支部宛郵便物12通を貴組合に返送したこと。
(4) 「かわきた園騒動記」と題する文書を作成の上、平成5年3月の新入職
員オリエンテーションにおいて同文書を読み上げ、また、貴組合かわきた園支部
書記長X3氏の復職に関して、同氏の解雇撤回後も、「伴寮母の復職につい
て裁判所の見解と今後のとりくみ」と題する文書の掲示を続けたこと。
(5) 貴組合かわきた園支部役員が特別休暇に関する文書に署名しなかったこ
とを理由に、特別養護老人ホームかわきた園の特別休暇を一方的に廃止したこと
。 |
判定の要旨 |
2248 実質的権限のない交渉担当者
団交において、交渉担当者が理事会で決定されたメモを読み上げるのみで、組合の内容説明要求に「それはできない」と説明を拒
否するという交渉態度は誠実なものとはいえず7条2号に該当する不当労働行為とされた例
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
忠恕福祉会による三度にわたる組合郵便物の開封及び組合の再三の抗議にもかかわらず行っていた組合郵便物の返送は、組合活動
を妨害することを目的とした支配介入であるとされた例
2620 反組合的言動
支部役員を誹謗中傷する文書を作成し、職員に配布したり、新入職員オリエンテーションで読みあげたことは、職員の組合加入を
阻止し、支部役員を職場で孤立させる支配介入であるとされた例
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
試験的に実施された特別休暇を組合が制度化することを要求し、協議を求めたところ、特別休暇を廃止したことは、職員の組合及
び支部役員に対する反感を煽り、支部役員の孤立化を目的とする支配介入であるとされた例
1201 支払い遅延・給付差別
X1が平成5年度の定期昇給に当たって、他の寮母より低い基本給引上げに止め置かれたことは、その理由が明らかでなく、X1
の組合活動を嫌悪した不利益取扱いであるとされた例
|
業種・規模 |
その他のサービス業(他に分類されないサービス業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集104集322頁 |
評釈等情報 |
|