概要情報
事件名 |
ネスレ日本(第三島田工場) |
事件番号 |
中労委 平成 1年(不再)第98号
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再審査申立人 |
ネスレ日本株式会社 |
再審査被申立人 |
ネッスル日本労働組合島田支部 |
命令年月日 |
平成 9年 2月 5日 |
命令区分 |
再審査棄却(初審命令をそのまま維持) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、<1>就業時間開始前に工場正門前において行われ
た組合のビラ配布活動などを妨害したこと、<2>これに参加した組合員に対し警告書を発したこと、<3>ビラ配布活動を行っ
た組合員に対し警告を受けたことなどを理由として「大入袋」を減額支給したこと及び<4>この減額問題についての団体交渉を
拒否したことが争われた事件で、<1>ビラ配布の妨害及び警告書の交付の禁止、<2>減額分の支払い(年5分加算)、<1>
<2>の文書掲示を命じた初審命令を維持し、再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
4825 その他
会社は、島田工場の従業員が組織する労働組合としてはB組合派島田支部しか存在せず、A組合派島田支部が行った不当労働行為
救済申立ては、組合の代表者からなされたものではなく不適法な申立てであると主張する。しかし、昭和58年4月9日、A組合
派島田支部は第11回島田支部臨時大会を開催して、新たにネッスル日本労働組合島田支部規約を制定した。こうして島田工場内
にもこの時点を境にして、A組合派島田支部とB組合派島田支部という、名称を同じくする二つの労働組合が存在するに至った。
したがって、申立人組合は存在しており、会社の主張は採用できない。
0200 宣伝活動
本件ビラ配布活動は、就業時間外に行われ、ビラの内容も会社を誹謗中傷し職場秩序を乱すようなものでなく、配布場所は工場正
門前又は工場食堂であり業務に直接支障を生ずるような場所ではなく、本件ビラ配布活動によって喧騒や混乱状態を生じたという
事情も認められない。一方、労働協約及び就業規則には労働組合の会社施設利用についてなんら規定はなく、会社は、B組合派島
田支部には、特段その都度許可手続きの履行を求めることなく工場内での組合機関紙等の配布を認めている。以上から、会社が本
件ビラ配布活動を妨害し警告を発したことは、組合の存在自体を否認する会社が、施設管理を口実にして組合の活動を抑制し、そ
の弱体化を意図して行った不当労働行為と判断せざるを得ない。
1202 考課査定による差別
本件ビラ配布活動に対して警告書を発したことは、判定要旨2のとおり不当労働行為であり、同警告書に基づき「大入袋」を減額
して支給したことについても不当労働行為と判断せざるを得ない。また、本件ビラ配布活動以外の、X1ら3名の行為を理由とす
る警告書の交付及び「大入袋」の減額支給についても、申立人組合の存在を否認する会社の態度に起因するものと認められ、申立
人組合員であるが故になされた不当労働行為と判断せざるを得ない。
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業種・規模 |
飲料・たばこ・飼料製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集107集488頁 |
評釈等情報 |
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