事件名 |
湘南工科大学 |
事件番号 |
神奈川地労委 平成 3年(不)第11号
神奈川地労委 平成 3年(不)第20号
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申立人 |
湘南工科大学教職員組合 |
申立人 |
X1外二名 |
被申立人 |
学校法人 湘南工科大学 |
命令年月日 |
平成 7年12月27日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、学校法人が、(1)教授会から教授昇任候補者として推薦さ
れた組合員X2ら3名を教授に任用しなかったこと、(2)不当労働行為の救済申立てを行った組合らを誹謗・中傷する理事会見
解を発表し、これを掲示したこと、(3)教授会をしてX2ら3名の教授昇任推薦の取下げを決議させたこと、(4)組合からの
脱退を慫慂したことが不当労働行為であるとして争われた事件である。
神奈川地労委は、(1)X2ら3名を教授に任用したものとしての取扱い、賃金の差額相当額(年5分加算)の支払い、(2)
文書掲示(上記(1)から(4)に関して)を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人X2、同X3及び同X1を平成3年4月1日
付で教授に任用したもの として取り扱わなければならない。
2 被申立人は、申立人X2、同X3及び同X1に対し、平成3年4月1日以降教授として支 給されるべきであった賃金の額と
現に支払った賃金の額との差額に相当する額に、年率5分 相当額を加算した額の金員を支払わなければならない。
3 被申立人は、本命令交付後、速やかに下記の文書を縦1m×横1.5mの白色木板に楷書で明 瞭に墨書し、被申立人の
1号館の見やすい場所に、毀損することなく10日間掲示しなければ ならない。
記
当法人が、教授会から教授昇任候補者として推薦された貴殿らを教授に任用しなかったこ と及び貴組合所属の組合員に対し
て貴組合からの脱退を慫慂するなどしたことは、労働組合 法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であり、当法人の
かかる行為に対して貴 組合及び貴殿らが不当労働行為救済申立てを行ったことに関し、貴殿らを誹謗中傷する内容 の理事会見
解を発表し、掲示するなどしたことは、労働組合法第7条第3号及び第4号に該 当する不当労働行為であり、また、教授会をし
て貴殿らに係る教授昇任推薦の取下げを決議 させたことは、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であ
り、さら に、当法人の学長が、再度にわたって貴殿らに対し、貴組合からの脱退を慫慂し、あるいは 上記申立ての取下げを
迫るなどしたことは、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行 為であると神奈川県地方労働委員会において認定されまし
た。
今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
平成 年 月 日
湘南工科大学教職員組合
執行委員長 X4 殿
X2、X3、X1 殿
学校法人湘南工科大学
理事長 Y1 |
判定の要旨 |
5008 その他
教授に任用することを求める本件申立ては人事権を不当に制限・拘束するものであり、教授任用の問題は固有の人事権に属し、労
委の裁量権の範囲外の問題であるから、却下されるべきであるとの主張が退けられた例
1200 降格・不昇格
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
教授会から教授昇任候補者として推薦された者のうち、申立人 3名のみを教授に任用しなかったことが7条1号、3号に該当す
る不当労働行為であるとされた例
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
理事長等が、組合員に対して組合からの脱退を慫慂するなどしたことが7条3号の不当労働行為に該当するとされた例
2620 反組合的言動
3200 不当労働行為とされた例
申立人らが救済申立てを行ったことに関し、学校が同人らを誹謗中傷する内容の理事会見解を発表し、掲示するなどしたことが、
7条3号、4号の不当労働行為に該当するとされた例
1200 降格・不昇格
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
学校が教授会をして申立人3名の教授昇任の推薦の取下げを決議させたことが、同人らのみを教授に任用しなかったことを糊塗す
ると同時に、昇任の途を封じようとするものであり、7条1号、3号の不当労働行為に該当するとされた例
4415 賃金是正を命じた例
申立人3名を教授に昇任しないことを不当労働行為とし、その救済として教授に任用したものとして取り扱うよう命じた例
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集103集351頁 |
評釈等情報 |
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