事件名 |
湘南工科大学 |
事件番号 |
東京地裁平成12年(行ウ)第115号
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原告 |
学校法人湘南工科大学 |
被告 |
中央労働委員会 |
被告参加人 |
X1 外2名 |
被告参加人 |
湘南工科大学教職員組合 |
判決年月日 |
平成14年 4月24日 |
判決区分 |
請求の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
組合員を教授に任用しなかったことが不当労働行為に当たるとして申
立てられた事件で、神奈川地労委の救済命令に対し、学校法人は再審査を申立てたが、中労委は初審命令の一部を変更しその余の
申立てを棄却する命令を発した。同法人はこれを不服として東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は同法人の請求を棄却し
た。 |
判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
5008 その他
大学の教授人事をめぐって不当労働行為の成否が問題とされる場合に、労働委員会がこれを審査することができるかは1個の問題
であるが、大学の自治といっても無制限ではなく、教授人事について不当労働行為が行われた場合には、不当労働行為が実定法で
禁止されていることからして、一般市民法秩序と直接関係することになるから、労働委員会はその不当労働行為性を審査すること
ができると解するのが相当である。
6230 主張・立証の制限
不当労働行為救済命令取消訴訟においては、原告が労働委員会の審問手続で主張、立証しなかった新たな事実を主張、立証するこ
とも許されると解するのが相当であるから、原告の主張が不当労働行為救済申立てから約10年経過後にはじめて本訴においてさ
れたからといって、そのような長期間経過後に新たな主張をすることが信義則に反するところがあるとはいえても、時機に遅れた
攻撃防御方法として却下するまでには至らない。
1500 不採用
学校法人のしたX1らについての本件教授不任用は、労組法第七条一号の不利益取扱いの不当労働行為にあたる。
2620 反組合的言動
3200 不当労働行為とされた例
理事会見解の表現と文章構成及び長期にわたるその掲示様態からすれば、理事会見解は、組合の教宣活動に対抗するために発表さ
れたものとはいえ、組合員らに対する悪印象をことさら与えることを企図し、組合員らが不当労働行為救済申立てを行ったことを
こと強く非難するもので、原告に許された表現の自由の範囲を超えるものであり、労組法七条三号の支配介入にあたるとともに、
救済申立てを行ったことを理由として、組合員らと教職員との離反を図ろうとし、組合員らに暗にその取り下げを求めるなどして
同人らに精神的苦痛を与える不利益取扱をしたもので、同条四号の不当労働行為にも当たると認めることができる。
1500 不採用
教授推薦取り下げ等決議は、学校法人の意を受けてされたものであり、組合員らに対する不利益取扱いにあるたと同時に、組合の
弱体化を図ったものとして支配介入にもあたる。
4400 原職相当職への復帰を命じたもの
中労委が、組合員について、不当労働行為がなかったならば昇任したであろう教授に任用されたものとして取り扱うよう命じるこ
とが、不当労働行為の救済として労働委員会に与えられた裁量権の範囲を逸脱したものとまではいえない。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集37集301頁 |
評釈等情報 |
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