労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大手前高松高等(中)学校 
事件番号  中労委 昭和59年(不再)第4号 
再審査申立人  学校法人  倉田学園 
再審査被申立人  香川県大手前高松高等(中)学校教職員組合 
命令年月日  平成 5年 5月19日 
命令区分  一部変更(初審命令を一部取消し) 
重要度   
事件概要  (1)組合が、学園の許可なくビラ配布をし、小会議室を使用したことを理由として、学園が警告書を交付したこと、(2)理事長が、組合員X1に対し、退職を勧奨したこと、(3)職員祝賀会の席上において、X2副委員長が抗議文を読み上げたことを理由として、学園がX3委員長及びX2副委員長を訓告処分に付したこと、(4)就業時間外に職員室で行った組合のビラ配布及び小会議室使用の職場集会を学園の労務担当が妨害したこと、(5)52年年末ボーナス査定及び前歴計算に関しての組合要求について、学園が誠意をもって団体交渉を行わなかったこと等が争われた事件で、(1)について警告書の撤回、(2)について組合員X1に対する支配介入の禁止、(3)について委員長及び副委員長に対する訓告処分の撤回、(4)について労務担当の発言等による支配介入の禁止、(5)について誠意ある団体交渉の実施を命じ、(6)その余の申立てを棄却した初審命令のうち(3)を取り消し、その一部を変更し、その余の再審査申立ては棄却した。 
命令主文  1 初審命令主文第4項を次のとおり変更する。
 再審査申立人学園は、再審査被申立人組合が組合活動のために行うビラ配布及び学園施設の利用について、許可条件、手続等を再審査被申立人組合と誠実に協議しなければならない。
2 初審命令主文第5項を取り消し、この部分に係る再審査被申立人組合の救済申立てを棄却する。
3 初審命令主文第6項を同第5項とし、同第7項を同第6項とする。4 その余の本件再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  0208 暴力・不穏当な言動を伴った組合活動
3020 組合活動への制約
3604 労働者に落度がある場合
職員祝賀会で抗議文を読み上げたことを理由に、委員長及び副委員長を訓告処分に付したことについて、正当な組合活動の範囲を逸脱したものであり、同処分は過重なものではなく、不当労働行為であるとした初審判断は失当であるとされた例。

2240 説明・説得の程度
2900 非組合員の優遇
公立学校並み待遇の早期実現に関しての前歴計算方法について、団交の場で何ら具体的な説明をせず、団交が継続中であるのにもかかわらず、組合に知らせることなく職員会議で前歴計算方法を公表したことが不誠実団交であるとされた例。

2240 説明・説得の程度
年末ボーナスの査定問題の団交において、査定項目等の説明を途中で拒否していること、査定項目に対するウェート付けの基準に関し説明を行っていないことが不誠実団交であるとした初審判断を支持した例。

2610 職制上の地位にある者の言動
3020 組合活動への制約
教頭補佐が組合ニュース等を配布していた組合員に対し、組合ニュース配布をやめるように制止したことが不当労働行為であるとした初審判断が支持された例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
理事長が縁故者である組合員に対し、同人の父親を通じて、学園からの退職を勧奨したことが不当労働行為であるとした初審判断が支持された例。

3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
学園の許可なく職員室において就業時間外に組合ニュース等を配布したことを理由に、組合及び組合員に警告書を交付したことが、不当労働行為であるとした初審判断が支持された例。

3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
学園の許可なく職員室において就業時間外に小会議室を使用したことを理由に、組合に警告書を交付したことが、不当労働行為であるとした初審判断が支持された例。

4602 組合との協議を命じた例
労使紛争解決のためには、労使間にルールが形成されることが必要であり、学園に対し、組合活動のために行うビラ配布及び学園施設の利用について組合との協議を命じた例。

5130 法2条但書との関係
組合が加入させている生徒指導主事は、労組法第2条但書第1号に該当するとの学園の主張につき、これらの者の職務内容からみて、使用者の利益を代表するものであると認めるに足りる疎明はないとして斥けた例。

5200 除斥期間
ビラの配布及び小会議室の使用に対する警告並びに団交応諾要求に対する救済請求が除斥期間経過後の初審準備書面でなされたとする学園に対し、上記の救済は初審申立時に請求されており準備書面は救済内容を具体的に記述したに過ぎないと判断した例。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集97集526頁 
評釈等情報  中央労働時報 平成 5年11月10日  866号 15頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
香川地労委 昭和53年(不)第2号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和58年12月10日 決定 
東京地裁 平成 5年(行ウ)第193号 救済申立棄却命令の一部取消し  平成 9年 2月27日 判決 
東京高裁 平成 9年(行コ)第36号 控訴の棄却  平成10年11月30日 判決 
 
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