事件名 |
大手前高松高等(中)学校 |
事件番号 |
東京高裁平成 9年(行コ)第36号
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控訴人 |
学校法人倉田学園 |
被控訴人 |
中央労働委員会 |
被控訴人参加人 |
香川県大手前高松高等(中)学校教職員組合 |
判決年月日 |
平成10年11月30日 |
判決区分 |
控訴の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、(1)学園が行った組合ニュース等のビラ配布を理由とした
委員長等に対する警告書の交付、(2)同じく、小会議室の無許可使用を理由とした警告書の交付、(3)教頭補佐の、組合員に
対するアンケート用紙配布についての発言等、(4)理事長の、縁故者である組合員に対する退職勧奨行為がいずれも支配介入で
あるとして、たま、(1)学園の、前歴計算の方法についての公表の仕方、(2)学園による、昭和52年年末ボーナスの査定項
目等についての説明拒否等がいずれも不誠実団交であるとして争われた事件である。
初審香川地労委は、学園に対して、(1)組合委員長に対する無許可のビラ配布を理由とした各警告書の撤回、(2)組合執行
委員長に対する無許可の小会議室使用を理由とした各警告書の撤回、(3)組合員X1に対する退職を勧奨することによる支配介
入の禁止、(4)組合の正統な組合活動である就業時間外における職員室でのビラ配布及び小会議室使用の職場集会に対して、職
制を通じて制止、警告する等による支配介入の禁止、(5)組合執行委員長等に対する職員祝賀会における抗議行動を理由とした
訓告処分の撤回、(6)前歴計算にかかる要求及び昭和52年年末ボーナスの査定に関する要求について誠実団交の実施を命じ、
その余の申立てを棄却した。
学園からの再審査申立てに対して、中労委は、(1)初審命令(4)を、「組合が組合活動のために行うビラ配布及び学園施設
の利用について、許可条件、手続等を組合と誠実に協議しなければならない」と変更し、(2)初審命令(5)を取消し、この部
分に係る申立てを棄却し、(3)その余の再審査申立てを棄却した。
中労委命令を不服として、学園から行政訴訟が提起され、東京地裁は、中労委命令主文(1)中の「組合が組合活動のために行
う学園施設の利用について、許可条件、手続等を組合と誠実に協議しなければならない」と命ずる部分を取消し、学園のその余の
請求を棄却した。
さらに、学園が控訴したが、東京高裁は控訴を棄却した。 |
判決主文 |
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は、控訴人の負担とする。 |
判決の要旨 |
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合ニュース等を配布していた組合員に対する学園教頭補佐の言動及び同組合員に対する学園の警告は組合弱体化の意図のもとに
行ったもので労組法七条三号の支配介入に該当するとした中労委命令に違法はないとした原判決が維持された例。
1400 制裁処分
3020 組合活動への制約
組合の職場集会のための小会議室の使用に対して学園が就業規則違反を理由に本件警告書を交付したことが組合の弱体化を企図し
た不当労働行為であると判断されてもやむを得ないとした中労委命令を支持した原判決が維持された例。
2621 個別的示唆・説得・非難等
学園の組合員X1に対する退職勧奨が組合の弱体化を意図した支配介入にあたるとした中労委命令を支持した原判決が維持された
例。
2240 説明・説得の程度
2300 賃金・労働時間
原告の昭和52年年末ボーナス査定について査定項目等の説明を途中で拒否し、また、査定項目の定量的な問題について何ら説明
しないという行為を労組法七条二号の不誠実団交にあたるとした中労委命令に違法はないとした原判決が維持された例。
2300 賃金・労働時間
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
組合員は、昭和52年末ボーナス及びその後数次にわたるボーナス受領に当たっては、支給額につき、その時点における労使間の
主張の対立から生ずる差異があることにつき黙示的に異議をとどめ、条件付きないし前渡金として受領したものと認めるのが相当
であり、組合が53年1月30日付け要求書を提出したことにより52年末ボーナスの査定につき団交を要求する意思を放棄又は
撤回したものと認めることはできず、その後もかかる事実は認められないとして、この点に関する学園の主張を斥け、中労委命令
を支持した原判決が維持された例。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集33集794頁 |
評釈等情報 |
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