概要情報
事件名 |
文英堂 |
事件番号 |
京都地労委昭和62年(不)第17号
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申立人 |
文英堂労働組合京都支部 |
被申立人 |
株式会社 文英堂 |
命令年月日 |
平成 2年 9月 5日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、ストライキに参加した組合員15名に対してスト終了後から終業時刻までの就労を拒否したうえ賃金のカット、出張手当・交通費・会合費の不支給を行ったこと及び就労を拒否された組合員5名が研修会の運営を妨害したとして同人らに対してけん責公示処分を行ったことが争われた事件で、上記組合員15名に対する賃金カット等相当額の支払い、上記組合員5名に対するけん責公示処分の取消し及び文書掲示を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、X1に31,728円、X2に16,335円、X3に16,106円、X4に16,234円、X5に13,898円、X6に13,898円、X7に 9,250円、X8に10,580円、X9に12,670円、X10に12,488円、X11に27,024円、X12に11,765円、X13に 9,680円、X14に19,736円、X15に20,584円をそれぞれ支払わなければならない。 2 被申立人は、昭和62年5月25日付けで行ったX9、X11、X12、X14及びX15に対する各けん責公示処分を取り消さなければならない。 3 被申立人は、下記内容の文章を縦1メートル、横 1.5メートルの模造紙に墨書し、被申立人の本社建物南側の従業員通用口付近の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 記 株式会社文英堂は、下記の行為がいずれも不当労働行為であったことを認め、今後かかる行為はいたしません。 以上、京都府地方労働委員会の命令により誓約します。 記 1 文英堂労働組合京都支部の組合員が、昭和62年4月13日に行った時限ストライキに際し、出張予定者であったX1、X11、X14及びX15に対し、同ストライキ終了後から終業時刻までの同人らの就労を拒否したうえ賃金カット及び出張手当の不支給を行ったこと。 2 文英堂労働組合京都支部の組合員が、昭和62年4月23日に行った時限ストライキ、指名ストライキに際し、同ストライキ終了後から終業時刻までの同組合員らの就労を拒否したうえ賃金カット、交通費及び会合費の不支給を行ったこと。 3 文英堂労働組合京都支部の組合員X9、X11、X12、X14及びX15に対して昭和62年5月25日付けでけん責公示処分を行ったこと。 平成 年 月 日 文英堂労働組合京都支部 支部委員長 X8 殿 株式会社 文 英 堂 代表取締役 Y1 |
判定の要旨 |
0419 ロックアウトとの関連
会社の本件就労拒否はロックアウト的対抗行為であるとする主張が斥けられた例。
1201 支払い遅延・給付差別
1204 スト・カット
1401 労務の受領拒否
組合が行った時限ストにつき、スト終了時から終業時までの間就労を拒否し、賃金カット、出張手当等を不支給としたことが不当労働行為であるとされた例。
1400 制裁処分
研修会会場に乱入しその運営を妨害したとして、支部組合員5名をけん責公示処分に付したことが不当労働行為であるとされた例。
4617 その他
組合員への2度にわたる就労拒否と賃金カット等をなした事実、組合員に対するけん責公示処分とこのことを約1週間食堂に告示した事実と、これらの不当労働行為が公正な労使関係秩序に与えた影響を考慮し誓約文の掲示を命じるとされた例。
4820 単一組織の支部・分会等
申立人は一支部であるが、労組法上具備すべき要件はすべて満たしており、さらに支部独自の活動を行っていることから、労組法上の労働組合と認められ申立人適格を有するとされた例。
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業種・規模 |
出版・印刷・同関連産業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集91集42頁 |
評釈等情報 |
 
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