概要情報
事件名 |
新興サービス |
事件番号 |
東京地労委 昭和58年(不)第118号
東京地労委 昭和59年(不)第66号
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申立人 |
総評全国金属労働組合東京地方本部新興サービス支部 |
被申立人 |
新興サービス 株式会社 |
被申立人 |
株式会社 新興製作所 |
命令年月日 |
昭和60年 8月27日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
(1)会社社長が、組合と交渉中であった争議中の保案要員問題について、所長会議で従業員から意見を聴取するよう命じ、聴取させたこと、(2)社長書簡を全従業員に配布してストライキを誹謗・中傷し、同書簡に対する意見聴取を指示したこと、(3)58年年末一時金及び59年夏期一時金の要求に対し、争議中の保安要員の確保及び希望退職問題についての会社案を受諾することを条件として固執し、組合がこれに合意しないことを理由に支給しなかったこと、(4)団体交渉に実質的な権限のある者を出席させなかったことなどが争われた事件で、58年年末一時金及び59年夏期一時金を組合員以外の従業員と同一基準で支払うこと、及び上期(1)ないし(3)に関するポスト・ノーティスを命じ、その余の申立て(上記(4)及び親会社に対する申立て)は棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人新興サービス株式会社は、申立人総評全国金属労働組合東京地方本部新興サービス支部の組合員に対し、昭和58年年末一時金及び昭和59年夏期一時金を、組合員以外の従業員と同一の基準により支払わなければならない。 2 被申立人新興サービス株式会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の大きさの白紙に、下記内容を楷書で明瞭に墨書し、被申立人会社入口付近の従業員の見易い場所に10日間掲示しなければならない。 記 昭和 年 月 日 総評全国金属労働組合東京地方本部 新興サービス支部 執行委員長 X1 殿 新興サービス株式会社 代表取締役 Y1 当社が行った下記の行為は、不当労働行為にあたると、東京都地方労働委員会において認定されました。 今後このような行為を繰り返さないよう留意します。 (1)昭和58年10月3日、4日の所長会議において、争議中の保安要員問題について、全従業員からの意見聴取を命じ、実行したこと。 (2)昭和58年10月27日、社長書簡を全従業員に配布してストライキを誹謗中傷し、同書簡に対する意見聴取を指示したこと。 (3)貴組合が、争議中の保安要員に関する覚書(案)及び希望退職者の特別取扱いに関する了解事項(案)について合意しないことを理由に、貴組合の組合員に対して、昭和58年年末及び昭和59年夏期一時金を支払わなかったこと。 (注:年月日は掲示の日を記載すること。) 3 被申立人新興サービス株式会社に対するその余の申立て及び被申立人株式会社新興製作所に対する申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
2900 非組合員の優遇
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が組合の58年年末一時金及び59年夏期一時金の要求に対し、争議中の保安要員の確保及び希望退職問題の二条件について、会社案どおりの形で受諾することを一時金支給の条件としてこれに固執し、組合が両一時金の金額について妥結を通告しているにもかかわらず支給せず、すでに支給済みの他の従業員との間に差異を生じせしめていることが組合員であるが故の不利益取扱いにあたると同時に、組合員に動揺を与え、組合の弱体化を狙った支配介入であるとされた例。
2120 交渉委任
団体交渉の会社側交渉員には会社の意を受けて、Y2専務以下の者が出席しており、社長が出席しない限り交渉が進展しない特段の事情があればともかく、その疎明もないことから、会社が実質的な団交応諾業務を果していないとの組合の主張が斥けられた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
2901 組合無視
会社社長が所長会議において、組合と交渉中であった争議中の保安要員の問題について組合の頭越しに組合員個々人に対し意見の聴取を命じ、実施したことは、組合の存在を無視し、組合員に直接働きかけたことによって、組合員に心理的動揺を与え、組合の意志決定過程に影響を与えようとする支配介入であるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
「ストライキが会社を破滅に追い込んで行く恐しい毒薬である」などの表現が見られるストライキを誹謗・中傷する社長文書を、労使間の最大の慰安であった争議中の保安要員問題について、交渉が合意に達せず中断していた時期に配布し、同文書に対する意見聴取を組合員に直接働きかけたことが支配介入であるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
組合のストライキ通告に対する会社の「警告書」、社長文書「社員に訴える」はそれぞれ組合のストライキ通告に対する会社の対応を明確に示そうとしたものであり、組合によるストライキの中止通告に何らかの影響を与えたとの疎明もないから、いずれも組合の組織運営に対する支配介入であるとはいえないとされた例。
4915 親会社
親会社であるS社は、会社設立の経過、資本関係等からみて会社と密接な関連があるが、人事、労務関係にS社の影響がどのように及んでいたかの疎明はないとしてS社に対する申立てが棄却された例。
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業種・規模 |
電気機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集78集220頁 |
評釈等情報 |
 
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