労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  鳴和総合病院 
事件番号  石川地労委昭和57年(不)第1号 
石川地労委昭和57年(不)第3号 
申立人  社会保険鳴和総合病院労働組合 
被申立人  社団法人 全国社会保険協会連合会 
被申立人  社会保険鳴和総合病院 
命令年月日  昭和60年 7月12日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  病院副院長の新規採用医師らに対する発言、非組合員協定の締結拒否、組合費のチェック・オフ方法の変更、組合旗撤去、地労委出席者の賃金カット等が争われた事件で、支配介入の禁止、文書交付、組合費のチェック・オフ実施、賃金カットの撤回及び賃金カット相当分の金員の支払い、時間内組合活動に係る賃金の取扱いについて協議することを命じ、非組合員協定の締結拒否については、申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人社団法人全国社会保険協会連合会及び被申立人社会保険鳴和総合病院は、以下の行為により、申立人組合の運営に支配介入してはならない。
(1)申立人組合員並びに社会保険鳴和総合病院、同売店及び社会保険鳴和看護専門学校の新規採用者に対して組合加入は自由である旨殊更説明し、組合不加入又は脱退を慫慂すること。
(2)春闘の時期において、申立人組合が病院正面玄関屋上に組合記旗を掲揚する場合、これに対して撤去を申し入れ、あるいは被申立人自ら撤去を行うこと。
2 被申立人社団法人全国社会保険協会連合会及び被申立人社会保険鳴和総合病院は、申立人組合に対して、速やかに下記の文書を交付しなければならない。
            記
                    昭和 年 月 日
社会保険鳴和総合病院労働組合
 執行委員長 X1 殿

             社団法人全国社会保険協会連合会
               会 長 Y1
             社会保険鳴和総合病院
               病院長 Y2
 この度、当連合会らの行った下記の行為は、不当労働行為に該当すると石川県地方労働委員会において認定されました。
 今後、このような行為のないよう留意します。
            記
1 Y2副院長が、昭和56年4月2日、Z1、Z2ら新規採用の医師3名に対し、勤務時間や当直の説明をした際、特に質問がなかったにもかかわらず、組合加入は自由である旨説明し、貴組合に加入しないよう慫慂したこと。
2 昭和56年4月、Z2医師について非組合員協定を締結したい旨の貴組合からの申し入れを拒否したこと。
3 昭和56年5、6月ごろ、X2ほか8名の医師らを貴組合から慫慂により脱退させたこと。
4 昭和57年3月以降採用の従業員について、新規採用者各人からの申し出がなかったという理由で、組合費をチェックオフしなかったこと。

3 被申立人社団法人全国社会保険協会連合会及び被申立人社会保険鳴和総合病院は、昭和57年3月以降に採用した従業員について本人からの申し出の有無にかかわらず、組合費をチェックオフしなければならない。但し、申立人組合の規約において非組合員とされている者及び特に申立人組合に対して組合に加入しない旨又は組合を脱退する旨の明確な意思表示のあった者については、この限りでない。
4 被申立人社団法人全国社会保険協会連合会及び被申立人社会保険鳴和総合病院は、申立人組合員X3に対する昭和57年3月9日及び同年5月7日本件調査出席のための外出時間相当分の賃金カット措置及び申立人組合員X4に対する同年4月9日争議行為予告通知のための外出時間相当分の賃金カット措置を撤回し、それぞれ同人らに賃金カット相当分の金員を支払わなければならない。
5 被申立人社団法人全国社会保険協会連合会及び被申立人社会保険鳴和総合病院は、申立人組合員の就業時間中における組合活動に係る賃金の取扱いについて申立人と協議しなければならない。
6 被申立人社団法人全国社会保険協会連合会及び被申立人社会保険鳴和総合病院は、1項から前項までの履行状況を当委員会に文書で履行後速やかに報告しなければならない。
7 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1203 その他給与決定上の取扱い
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
地労委出席等のため外出した組合員2名に対し、賃金カットしたことが不当労働行為であるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
病院副院長の新規採用医師らに対する「組合加入は自由である」旨の発言が、不当労働行為であるとされた例。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
組合費のチェックオフに関し、従業員となると同時に組合員となる慣行があり、本人からの申し出の有無にかかわらず組合費をチェックオフする慣行があるにもかかわらず、従来の方法を変更して本人からの申し出がある場合に限ることとしたことが不当労働行為であるとされた例。

3020 組合活動への制約
慣行化されていた組合旗の掲揚について、一方的に同旗を撤去するよう申し入れたり、病院事務長らをして撤去に及んだ行為が不当労働行為であるとされた例。

4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
留学生である医師に係る非組合員協定締結拒否の申立てについて、同人は既に退職していることから、救済利益は喪失しているとされた例。

4825 その他
組合が組合員として加入させている医師局の各部長、教務主任、庶務係長及び経理課長は、同人らの職務内容からみて労組法2条但し書1号に該当する監督的地位にある労働者、その他使用者の利益を代表する者であるとは認められず、申立人適格を有するとされた例。

4905 経営補助者
組合の被申立人病院に対する申立ては、労組法上の「使用者」は、それが法人組織である場合には、その法人格を有する者のみを指すものであること等から、申立ては却下されるべきであるとの主張に対して、本件における諸行為が、病院において生起したものであること及び同病院長の権限と密接な関連を有していること等から、病院は被申立人適格を有するとされた例。

5200 除斥期間
医師である組合員X1に対する組合脱退慫慂が、同人の組合脱退から申立てまで1年を経過していることから却下された例。

業種・規模  医療業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集78集81頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委昭和60年(不再)第33号 一部変更(初審命令を一部取消し)   昭和62年12月16日  
東京地裁昭和63年(行ウ)第13号
東京地裁昭和63年(行ウ)第44号
救済命令の一部取消し   平成 8年 3月 6日  
 
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