概要情報
事件名 |
松下工業 |
事件番号 |
中労委 昭和58年(不再)第35号
中労委 昭和58年(不再)第36号
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再審査申立人 |
松下工業 株式会社 |
再審査被申立人 |
総評全国一般労働組合長崎地方本部松下工業支部 |
命令年月日 |
昭和61年 3月 5日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)申立組合の組合員の年末一時金の査定分について別組合の組合員と差別したこと、(2)大阪在住の社長と直接折衝するため大阪に出向いた委員長の年休を後日取消し、賃金をカットしたこと、(3)人事考課、欠勤減額及び賃上げ差額問題について誠実に団交に応じなかったこと、(4)慰安旅行のための土曜日半休振替について団交に応ぜず、同日午後勤務しなかった組合員につき賃金をカットしたことが争われた事件で、(1)年末一時金の是正差額の支給(年5分加算)、(2)委員長に対する年休取消処分の撤回とバック・ペイ(年5分加算)、(3)誠意ある団交の実施、(4)これらに関する文書交付、(5)土曜日半休振替における不就労を理由とする賃金カット処分の撤回とバック・ペイ(年5分加算)を命じた初審命令のうち(3)及び(4)に関し、その一部を変更し、(5)を取り消した他は再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 中労委昭和58年(不再)第35号事件(長崎地労委昭和57年(不)第3号)初審命令主文を 次のとおり変更する。 (1)第3項を次のとおり改める。 3被申立人は、申立人組合と昭和57年3月2日付昭和56年年末一時金についての確認書 中、一時金の人事考課に関する事項について、誠意をもって団体交渉を行わなければな らない。 (2)第4項記中「松下工業労働組合執行委員長X1殿」とあるを「総評全国一般労働組合長崎 地方本部松下工業支部長X殿」に、「一時金の欠勤減額・人事考課に関する交渉並びに 昭和56年賃上げ交渉における 547円差額問題について、誠意をもって団体交渉を行わな かったことなどは、」とあるを「一時金の人事考課に関する事項について、誠意をもっ て団体交渉を行わなかったことは、」に改める。 2 中労委昭和58年(不再)第36号事件(長崎地労委昭和58年(不)第1号)初審命令主文を 取り消し、これに係る救済申立てを棄却する。 3 その余の本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1203 その他給与決定上の取扱い
新年旅行の実施にともなう休日振替について、土曜日半休振替日に就労せず、新年旅行への参加も取りやめた組合員に対し、半日分の賃金カットを行ったことを不当労働行為であるとした初審命令は失当であるとされた例。
1203 その他給与決定上の取扱い
1600 休暇の取扱い
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
年末一時金につき大阪在住の社長と折衝するため年次有給休暇を請求した組合委員長に対し、これを取り消し、賃金カットしたことが不当労働行為と判断した初審命令は相当であるとされた例。
1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
残業時間が少ないことを唯一の基準として、組合員の年末一時金の人事考課査定を低くしたことが不当労働行為とされた例。
2247 解決済
昭和56年賃上げにおいて生じた差額問題は、翌年の賃上げ交渉において労使間で協定書が締結されていること等からみて、解決済みであると判断して、同差額問題に対する団交態度を不当労働行為とした初審命令を取り消した例。
2300 賃金・労働時間
人事考課基準について組合との協議を拒否したことが不誠実団交であるとされた例。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
一時金の欠勤減額については、初審結審後、組合が会社の説明を了承し、合意が成立しているので、さらに団交応諾を命ずる必要はないとされた例。
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業種・規模 |
一般機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集79集733頁 |
評釈等情報 |
 
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