概要情報
事件名 |
大鵬薬品工業 |
事件番号 |
徳島地労委 昭和56年(不)第4号
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申立人 |
総評全国一般大鵬薬品工業労働組合 |
申立人 |
総評・全国一般労働組合徳島地方本部 |
被申立人 |
大鵬薬品工業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和59年 9月20日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社の職制らが組合員に対して、組合を誹謗・中傷したり、組合脱退を慫慂したこと、昼休みの休けい時間中や就業時間外のビラ配布について、警告書を交付したり就業規則に照らし処分するなどを示唆したこと、組合結成直後に委員長及び書記長に出張を命じたこと、団体交渉を延期したり交渉時間を制限したことが争われた事件で、組合脱退を慫慂するなどによる支配介入の禁止、ビラ配布について警告書の交付、処分示唆による組合活動の妨害の禁止及びこれらについてのポスト・ノーティスを命じ、委員長らに対する出張命令、団交の延期や時間の制限、警告書の撤回並びに謝罪文の手交については申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人会社は、申立人組合員に対して組合を中傷しあるいは組合からの脱退を慫慂するなどして、組合の運営に支配介入してはならない。 2 被申立人会社は、申立人組合が行う休憩時間中又は就業時間外のビラ配布について警告書等を交付したり、処分を示唆することにより、組合活動を妨害してはならない。 3 被申立人は、本命令交付後7日以内に下記の文言を縦1メートル、横2メートルの白色木板に明瞭に墨書し、被申立人会社徳島工場の正門付近の見やすい場所に7日間掲示しなければならない。 記 当社が行った下記の行為は、不当労働行為であると徳島県地方労働委員会において認定されました。今後このような行為を繰り返さないことを誓約いたします。 記 1 当社が、会社職制らをして貴組合を中傷し、また組合員に対し、組合からの脱退を慫慂したこと。 2 貴組合及び組合員に対し、ビラ配布について昭和56年11月4日から同月13日までの間に警告書及び要請書を交付したこと。 昭和 年 月 日 (注 年月日は、文書を掲示した日を記載すること。) 総評・全国一般労働組合徳島地方本部 執行委員長 X2 殿 総評全国一般大鵬薬品工業労働組合 中央執行委員長 X1 殿 大鵬薬品工業株式会社 代表取締役 Y1 4 申立人のその余の請求は、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
0200 宣伝活動
組合が行ったビラ配布は、会社の事前許可を受けてはいないが、その内容、配布方法などに問題はなく、配布により施設管理上、支障があったとは認められず、正当な組合活動を逸脱したものとはいえないとされた例。
2216 その他
2249 その他使用者の態度
会社は組合との合意に基づき予備折衝を行い、これに基づき団交を開催し、今後の団交等について話し合っており、会社が不誠実に団交を拒否していたとは認められないとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社職制らによる組合脱退工作は就業時間中や工場内及び組合結成直後に集中していることを考え合わせると、会社ぐるみで組合の切り崩しを図ったものと認めざるを得ず、不当労働行為であるとされた例。
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合委員長X1に対する出張命令は、会社が同人の業務担当の一環として必要性があったことからなされたものであり、組合弱体化の意図のもとになされたものでなく不当労働行為ではないとされた例。
1302 就業上の差別
1603 組合活動上の不利益
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合書記長X3に対する出張命令は、取り消されており、組合運営に支障があったとはいえず、支配介入ではないとされた例。
3020 組合活動への制約
会社が就業規則を根拠に組合のビラ配布を制限したり、警告書等を交付してビラ配布の妨害・阻止をしようとしたことが不当労働行為であるとされた例。
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業種・規模 |
化学工業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集76集309頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1985年3月1日 443号 82頁 
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